最新情報へジャンプ 過去ログへジャンプ <<vol.1...vol.2...vol.3...vol.4...vol.5 vol.6...vol.7...vol.8...vol.9...vol.10 vol.11...vol.12...vol.13...vol.14...vol.15 vol.16...vol.17...vol.18...vol.19>> 米医学誌「The Journal of Clinical Investigation」11月号に、「ストレスによって皮膚感染症にかかりやすくなるメカニズムが解明された」との内容の報文が発表されたようです。 今までは、「防御の最前線は免疫システムのT細胞である」と言われてきましたが、どうもここ最近では、「肌の抗菌ペプチドによる防御作用には相当の効果がある」結果が示唆されつつありようです。 まぁ、化粧品業界では、既に「肌の常在菌を・・・」なんて謳いが出回っていますから、「今更?」と思う気もありますが、医者と化粧品屋ではまだまだ認識の違いがあるようです。また、免疫系の最前性は、表皮の有棘層に存在する「ランゲルハンス細胞」だとわたしは認識していましたので、「え?まだ、T細胞が最前線なんて言ってるの?」と思ったのが正直な感想です。 この抗菌ペクチドは、「ウイルスや細菌などによる攻撃の99.5%を処理できる」と大きくでていますが、そこは、ちょっと警戒、警戒。でも、肌のバリア機能として、こういったペプチドが非常に大きな位置を占めているコトは事実なのでしょう。 また、同報告では、「ストレスによって肌のグルココルチコイドの産生が増大する → 表皮の脂肪合成を阻害 → 抗菌ペプチドが含まれる小胞の分泌が減少 → 皮膚障害を起こしやすくする」と関連性をあげています。また、皮膚感染症マウスのグルココルチコイドの産生を阻害したところ、皮膚の抗菌能は正常に戻ったとも報告しています。 何れも、マウスの実験であり、それはヒトに直接転換できるかは、問題を残します。例えば、ヒトの場合、マウスのような体を包む体毛もないですし、逆に、汗腺が体中にあります。しかし、同じ哺乳類あるマウスで見られる肌バリア機能は、ヒトにもあってもおかしくないとも思います。 表皮付近で何かの生産性を制御するなら、化粧品でもできる可能性は充分に残っています。 「グルココルチコイドの産生が増大」を抑える原料ってのは、厳しいですが、「表皮の脂肪合成を阻害」に近い働きをする原料はありますから、これからが着目かもしれませんね。 ステアリン酸の話 手作り石鹸などで、ステアリン酸を使った経験のある方も多いでしょう。その経験の中で、ステアリン酸の入手先を変えると、同じ様に作っても、石鹸の泡質や固さなどが微妙に違っているコトに気付いた方も多いのではないでしょうか。 なで、入手先が違うと、使用感が変わるのでしょうか? 「含有する不純物が原因なんでしょ♪」 と、思った方は、正解なのですが・・・、実は、そんな「不純物」などと言うレベルではない、ってお話を今日はしますね。 そもそも、ステアリン酸って何でしょうか? まぁ、脂肪酸なんですが、その炭素鎖長が問題になります。ステアリン酸は、炭素が18個ついた脂肪酸で、不飽和がない(二重結合がない)タイプがステアリン酸ですよね。 例えば、 C12に不飽和0個:ミリスチン酸 C16に不飽和0個:パルミチン酸 C18に不飽和0個:ステアリン酸 C18に不飽和1個:オレイン酸 C18に不飽和2個:リノール酸 C18に不飽和3個:リノレン酸 C22に不飽和0個:ベヘン酸 などが有名でしょうかね。 しかぁ〜し、第十四改正日本薬局方(以下、日局)にある「ステアリン酸定義」は、 「本品は脂肪から製した固形の脂肪酸で、主としてステアリン酸及びパルミチン酸からなる」 ってなっています。 「・・・汗・・・?」 パルミチン酸が入っていても「ステアリン酸」ってコトになるようです。 では、化粧品の規格である新粧原基ではどうでしょうか?新粧原基で、ステアリン酸の定義を見ると 「本品は、高級飽和脂肪酸の混合物で、主としてステアリン酸からなる」 と、なっています。流石に、「パルミチン酸」の文字は消えましたが「混合物」という表記があります。 因に、医薬部外品の規格である、新外原規2006では、新粧配規と同じ定義になっています。 「まぁ、パルミチン酸は入っていると言っても、不純物程度でしょう」 と、思っていませんか? そこで、化粧品原料について、調べてみました。一般的な7種類を上げますね。
なんて感じになっています。 一番上などは、ステアリン酸の含有が半分以下ですが、「ステアリン酸」表示になるのです。 因に、75%ステアリン酸タイプで「日局グレード」だそうです。 日局グレードってコトは、医薬品グレードって意味です。まぁ、化粧品屋から言わせて頂ければ、日局が最高純度とは思っていません。オリーブ油なんか化粧品グレードの方が精製度がいいのがありますからね。 「じゃぁ、じゃぁ、パルミチン酸って表示もあるよね。あれは?」 はい、同じ様に見てみましょうか。 因に、日局には「パルミチン酸」の定義はないので、新粧原基の定義をみますと 「本品は、高級飽和脂肪酸の混合物で、主としてパルミチン酸からなる」 と、なっています。 では、その組成比を化粧品原料で見てみましょう。一般的な6種類を上げますね。
脂肪酸が単一成分ではない、ってコトは、化粧品の処方担当者なら周知のコトです。 しかし、実際に、雑貨屋さんや化粧品原料を販売するサイトなどの方々は、その商品の「全成分表示」を見て「ああ、これはステアリン酸なんですね」と判断する訳ですから、「混ざってるコトを知らない」という事実が起こりえます。 実際に「ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸の混合物」として販売されているモノのあるので、表記に「ステアリン酸」とだけ表示されていると「ステアリン酸100%モノ」って思っても仕方ないかもしれませんね。 どうです?皆さんのイメージと随分違ったんじゃないでしょうか? セタノールの話 セタノールという成分名を乳液やクリーム、リンス系などの乳化系の処方で見られている方が多いのではないでしょうか? セタノールは、分類的には「高級脂肪酸アルコール」になります。仕事は、乳化助剤ですね。 助剤といっても、これを配合すると、かなり簡単に安定した乳化系を作るコトができます。 ただ、旧表示指定成分というレッテルはありますが、本当の意味での刺激性はありません(植物由良でしたらね)。前にもカキコしかしたが、セタノールが、表示指定成分になったのは、アメリカ製で石油由来のセタノールに含まれていた不純物によって黒皮症は確認されたコトに起因します。その当時、日本では、鯨油(クジラの脂)からセタノールを作っていましたから、そういった不純物は含まれないのです。しかし、「米にならえ」の方向性で、深く探求もせず、表示指定成分になってしまいました。現在、セタノールは植物由来ですから、旧表示指定成分に危惧されるような刺激はありあせん。 ところで、セタノールは、基本的にC16(炭素鎖16個)のパルミチン酸に水酸基が付いた形のモノを主とします。一方、同じく旧表示指定成分であるステアリルアルコールは、セタノールのパルミチン酸がC18(炭素鎖18個)のステアリン酸に変わっただけのモノです。つまり、この2つの定義は下記の用になります。 セタノール: 高級脂肪酸族アルコールの混合物で、主として、セチルアルコール(パルミチルアルコールのコト)からなる。 ステアリルアルコール: 高級脂肪酸族アルコールの混合物で、主として、ステアリルアルコールからなる。 さて、こんなモノもあります。 セテアリルアルコール: 主として、セチルアルコール及びステアリルアルコールからなる。 非常に単純に見たトキに、 セタノール → セチルアルコール ステアリルアルコール → ステアリルアルコール セテアリルアルコール → セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物 となります。しかし、実際には(定義でもそうですが)、「混合物で、主として」となっています。ですから、成分を見ると、 セタノールもステアリルアルコールもセテアリルアルコールも → セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物 ってコトになるのです。 実際にセタノールでも、セチルアルコール(以下、C16)とステアリルアルコール(以下、C18)の比率が、C16:C18=98:2もあれば、C16:C18=60〜80:16〜26のもあります。C18が少なめで入っているって感じです。このC16:C18=60〜80:16〜26のグレードのモノで「日局グレード」だそうです。 一方、セテアリルアルコールの場合、C16:C18=45〜55:45〜55であり、半々で配合。 ステアリルアルコールは、C16:C18=2:98のもあれば、C16:C18=10〜15:85〜90といったC16が少なめに入っているタイプもあります。これも、C16:C18=10〜15:85〜90のグレードで「日局グレード」だそうです。 処方担当をやっていると、メーカーによって、セタノール処方系の出来上がりが違ってきます。それは、こういった組成の違いです。でも、「◯◯社製のセタノールSKの全成分を下さい」と原料メーカーに言うと「セタノール」とだけ表示された紙面がきます。その中に、どれくらいのステアリルアルコールが混在してるかは、全成分表示だけでは分かりません。(追加で質問すれば簡単に教えてくれますが) そういった点を気付かない、若い処方担当者は、「メーカーによって、クリームのできが随分違うなぁ。何でだぁ?」と、悩むわけです。 最近は、セタノールなどもネットで簡単に入手できます。手作りコスメの方々も同じ悩みを感じたの方もいるでしょうね。 因に、セタノールの融点は、46〜55℃で、セテアリルアルコールの融点の46〜56℃とほぼ同じです。しかし、ステアリルアルコールの融点は、54〜62℃とちょっと高めです。ですから、ステアリルアルコールの比率が高い程、性状(見た目)は固くなる傾向があります。 経皮吸収を考える 肌に物質Xがどのくらい浸透しやすいか?を簡便に式で表すコトが出来るらしいです。 その「式」は以下の様になっています。 P = a + K - WM P:物質の肌への浸透しやすさ a:任意の定数 K:油性度(オイルなら100、水なら0) WM:物質の分子量 です。単純にこの式を見ますと、 「 K 」は足し算なので、油性度の高い程、肌に入りやすいコトを意味します。 また、「 MW 」は引き算なので、分子量が大きいと、浸透しにくいコトを意味します。 まぁ、当たり前と言えば当たり前ですがね。 で、逆に言えば、MWが小さいと肌に浸透しやすいって意味です。じゃぁ、どのくらいの分子量のタイプが肌に浸透しやすいのでしょうか? 一般的には分子量500以下が肌に入り、1000以上になると肌には入るコトが期待薄であり、1万を超えると絶対入らない、と、言われています。(因に、通常、化粧品に配合されているヒアルロン酸Naは、分子量120万程度。小さいのでも数十万ありますから、決して肌に入らないでしょう) でも、最近は「ナノ粒子が肌に入る」と言われますよね。じゃぁ、そのナノ粒子ってどのくらいの大きさ(ナノが既に大きさなので変な話ですが)なのでしょうか?面白い換算表があったので、ご紹介します。
分子量500以上は肌に入らないで、ペプシンとかアルブミンなどの数万の分子量のタンパクは肌に入るはずがありません。例えば、ペプシンなどは、胃で働くタンパク質分解酵素の一つですし、アルブミンは、卵白です。 しかし、ペプシンにしろ、アルブミンにしろ、分子の大きさ(分子径)では、10ナノより小さいです。この10ナノなどの小さい粒子を酸化チタンで作ると「超微粒子酸化チタン」なとど言われて、「ナノ粒子だから危惧される」なんて話題になる大きさです。 でも、ペプシンにしろ、アルブミンにしろ肌に入るとは思えません。 「だから、微粒子酸化チタンなどは、肌に入らないんだぁ」 と、早々には言えません。 また、スクロースやラフィノースの様な糖は、肌に入っても「代謝」されますが、「金属系」は蓄積が危惧されます。「代謝されるモノ」と「代謝されないモノ」は別に考えておく必要があるのですよね。 パール剤の話 シャンプーなど、手に取ったトキに、キラキラと光ってパールっぽく見える商品が多いですよね。 あれは、ジステアリン酸グリコール(旧名称をジステアリン酸エチレングリコール)って成分が、パール感を出しているのです。500mLタイプのシャンプーで、透明でないタイプには殆ど入ってるのではないでしょうか。配合の目的は、「パール感を出す=高級感を出す」ってところです。 (わたしも、よく誤字で、ジステアリン酸グリセリルって書いちゃう場合があるのでうが、これは乳化剤なので、別物です 汗) このジステアリン酸グリコールは、メーカーによってかなりパール感の出方が違ってきます。また、アミノ酸系界面活性剤を主剤とするシャンプーの場合、パール感が出にくいので、特にどのメーカーのモノを使うか選択しなくてはいけません。 どうして、メーカーによって、パール感に差があるのでしょうか? このジステアリン酸グリコール(旧名称、ジステアリン酸エチレングリコール)の定義は、 「主としてジエチレングリコールとステアリン酸のジエステル」 と、なっています。 さぁ、出ました、「ステアリン酸」(笑) 以前に、このコーナーで、ステアリン酸の中にかなりの%でパルミチン酸が入っているって話をしたと思います。実は、このジステアリン酸グリコールに使用されるステアリン酸中のパルミチン酸は50%近い場合があるのです。逆に言えば、その比率が、奇麗なパール感を出すか出せないかの差にもなります。 また、乳化器などつかって、細かく分散させるかとか、冷却時、結晶化する温度をどのくらい保持するかなどで、結晶の見え方が違ってきます。 まぁ、これはこれで、極めると面白い分野なんですよ (^o^)/ プラセンタエキスの種類 プラセンタの歴史は古く、不老不死の秘薬として秦の始皇帝が愛飲したと言われるそうです。 この業界に於いては、プラセンタエキスは医薬部外品の美白の有効成分になる他、美肌成分としても周知されていますね。 一番始めは、ヒト由来のプラセンタエキスが使用されていました。今でも、古い方に話を聞くと、「ヒトにはヒトの乳酸菌・・・ヨーグルトの宣伝じゃないですが、ヒトの肌に一番合うのはやはりヒト由来のプラセンタだね」と言われます。 しかし、今はヒト由来のプラセンタエキスは使用できません。それは、倫理的な問題ではなく(笑)、原因は、エイズなどの感染症の問題からです。 そこで、次に出たのが、ウシ由来のプラセンタエキスです。なぜ、ウシなのでか・・・。入手が簡便であったのと、量が手に入りやすかったからです。また、ウシは、死ぬと急激に体温を落としますから、死んだウシの体内で、自己消化酵素は不活性になり、結果として菌の発生が少ないのです。 しかし、ウシもH12.12.12(魔の、トリプル12)に、狂牛病問題が上がって、使用ができなくなりました。 その後、一時は、植物由来のプラセンタなんて、似非ものが出回った時期もあります(プラセンタは胎盤ですので、植物にはありませんからね)。 今は、ブタ由来のプラセンタで落ち着いています。 しかし、ブタを使用するには苦難がありました。 ブタはウシ同様に入手が簡単なのですが、胎盤の大きさがまず、ウシに比べて非常に小さいので、量が取れません。また、ウシと違って、ブタは死んでもなかなか体温が下がらないので、体内で自己消化酵素が働きまくり、分解物を餌に菌が発生します(だから、ウシの生はあっても、ブタの生はダメっていうのです)。 現在は、そういった菌の問題もクリアして、再び、プラセンタエキスが活気づいています。 因に、プラセンタエキスにはいくつか種類があります。 種類の分類方法は大きく2つあります。 1)由来別の区分 2)機能性別の区分 です。 「由来別」ですが実質、今はブタしかないので、意味はありません。まぁ、実際にはヒト、ウシ、ブタ以外に、ヒツジ由来のプラセンタもあったのですが、狂牛病系でアウトです。 気にするのは「機能別の区分」です。 機能とは具体的には「アルカリフォスファターゼが活性であるか否か」です。 他にも、含有するアミノ酸量の基準などが違います。 アルカリフォスファターゼとは、APLと略されて「健康診断」などで見たコトのある方もいるでしょうか。APLは、リン酸化合物を分解する働きを持つ酵素です。 「リン酸化合物を分解する」と言うと、難しいですが、細胞エネルギー成分といわれる、アデノシン三リン酸(ATP)は、このリン酸が取れる時にエネルギーを放出します。そのリン酸を外す仕事を「リン酸化合物を分解する」といいます。つまり、細胞のエネルギーアップに使われている酵素です。だから、APLは(量はさておき)全ての細胞に存在します。 最近では、未分化細胞にも発現のある酵素で、医薬の分野では、細胞賦活や創傷治癒促進作用、代謝改善に関与してるのではないかと言われている成分です。要は、塗る場合、美肌の為の成分ですね。最近では、アトピーにも有効と言われているようですが、詳細なデータはありません(汗) (健康診断でAPL値が高いってコトは、細胞が破けているってコトなので、病気を危惧しますが、塗る場合の話とは全く別モノです)。 タンパク変性 最近は、動物実験は禁止になってきて、様々な代替え法が出ています。その中で、刺激を確認する方法に、タンパク質の変性の確認があります。 使用するのは、卵の白みのトコだったり、血球だったりするのですが、ようは、「タンパク質が変化してしまうような成分には刺激があるはずだ!」ってのが、この試験の根拠です。 まぁ、それだけで、刺激があるとは言えませんが、1つの指標ですね。 そこで、ちょっと変わった「遊び」をやってみました。 タンパク質として、ヘマチンという髪のタンパク質を使ってみました。ヘマチンを使った理由は、 1)水に簡単に溶けるのでやりやすい 2)黒いので、写真に撮りやすい からです。実際に「決められたルール」に乗っ取った試験ではないのであくまで「遊び」です。 今回のターゲットは、「DPG」(ジプロピレングリコール)です。 PG(プロピレングリコール)は、旧表示指定成分です。DPGは、PGが2つ付いた形をしていますが、旧表示指定成分ではありません。しかし、(個人的ですが)わたしは塗り切りで使用すると痒みを感じます。 で、「遊び」です。 まず、ヘマチンを水に溶かします。すると、左ビーカー(No.4)のように、真っ黒になります。 今度は、水に6%程DPGを添加した水溶液にヘマチンを溶かします。そのまま放置すると、やがて、右ビーカー(No.7)のようにヘマチンが変性して、溶けられなくなり分離、沈殿をを生じました。 「おお!お、面白い♪」 今度は、他のでもやってみたくなりました(笑) 注意)専門性の高い方々へ(の、言い訳 笑) ただ、これは、正式な確認法ではありません。この沈殿現象が、ヘマチンのタンパク変性によるコトが原因なのか、詳細なバックデータをとったモノではありません。あくまで「遊び」の範疇ですので、専門に近い仕事をされている方、ご注意下さい。 ただ、通常のタンパク質では、6%程度尾DPGでは塩析しませんし、ヘマチン自体、加熱やpHなどでも変性しにくいタンパク質であるコトは確認しております。また、DPGもタンパク質に結合をするタイプの分子ではないですし、純粋にどういった現象で沈殿が生じているのかは、疑問ですけどね。 ラウリル硫酸Naが練り歯磨きで使用される訳 石油系の合成界面活性剤として、名を馳せているラウリル硫酸Naですが、今やシャンプーの主剤として採用される例は見かけなくなりました。しかし、化粧品に並ぶモノに歯磨きがあります。そこで使用されている練り歯磨きには未だにラウリル硫酸Naが採用されています。 シャンプーの世界では、より刺激を押さえる為に、ラウリル硫酸Naの側鎖にポリオキシエチレンをつなげて全長を長くしたラウレス硫酸Naが使用されるようになって、随分経ちます。価格的にも、決してラウレス硫酸Naは高価ではなく、充分に練り歯磨きの原料で使用できるはずなのです。 しかし、未だに、刺激の強いラウリル硫酸Naを練り歯磨きは使用しています。 なぜでしょうか? その理由は、「味」だそうです。 ヒトの味覚は非常に鋭く、たった3つのポリオキシエチレン鎖が付いただけで、全く別の味に感じてしまって、ダメなんだそうです。 洗浄と言えば、石鹸!安全な練り歯磨きとして、石鹸系を推薦する方もいるそうですが・・・ 石鹸の官能基はカルボキシル基です。これを口の中に入れると、悪臭と嗚咽を感じるらしいです。 いくら安全と言えど、これでは商品として長く使用して貰えません。 他にも、シャンプーでは、マイルド系として両性界面活性剤を使用したりますが、これも口に入れると最悪な味になるそうです(汗) ヘアケアやボディー、フェイスで安全とされている定義には、確かに脱脂や吸着などのチェックがありますが、「味」とはね・・・ そんな理由で、練り歯磨きは未だにラウリル硫酸Naが主流になっているらしいです。 醤油と生詰めの話 わたしは、醤油が結構好きで、地方に出かけた場合は、日本酒と同じ様に地元の諸油を探して買って帰ります。日本に於いて、醤油製造会社は、1800件とも言われているようですが、実際に、従業員が4人に満たない会社がその半分だと言われています。つまり、半分は超小規模な会社って訳です。しかし、当然、醤油製造会社の「大手」と言われるトコもある訳で、醤油市場の50%を大手5社で占めているらしいです。 でも、醤油って、「発酵物」なんですよね。4人に満たない超小規模な会社は、その発酵すらしていないトコも沢山あります。そういった会社は、協業組合等から、醤油を買って、それを火入れとろ過をして(もっとすごいトコでは、ろ過済みの醤油を買ってきて、火入れするだけ)で自社ブランドの醤油として発売しているようです。 そう聞くと、地方で醤油を購入しているわたしとしてはちょっとげんなり(ToT) さて、これを化粧品業界で照らし合わせて見てみましょうか。 例えば、「原液化粧品」と言われ、ちまたで「100%ヒアルロン酸原液」などと言われて売られています「液体」の商品がありますよね。あれは、化粧品原料メーカーが、粉のヒアルロン酸Naを水に溶かし、ろ過、殺菌してくれたモノを瓶詰めにしているのです。基本的には1%ヒアルロン酸Na水溶液になっているモノが多いのではないかと思います。 勿論、ヒアルロン酸Naの原末(100%モノ、粉)を購入して、自社で溶解、ろ過、殺菌するコトも可能なのですが、コストや品質面を考えると、「溶解・ろ過・殺菌済み」の原料を買って、瓶詰めにする方が、いいのです。 と、見ると、醤油と変わらない気もします。いや、醤油よりブランド力はないかも(汗) だって、醤油の場合、「火入れ」で味なども変わりますからね。 まぁ、化粧品原料も、そのろ過方法や防腐方法で使用感や刺激も変わりますから、気にする点は同じなのかなぁ。 バイオエタノール このところ、バイオエタノールなる話題が飛び交っています。簡単に言えば、トウモロコシやサトウキビを使って、発酵エタノールを作るコトです。 さて、今、なぜ、エタノールが注目なのでしょうか? エタノールと言えば、お酒や消毒のイメージか強いでしょうかね。しかし、ご存知の通り、エタノールの大きな特徴の1つに「燃える」というコトがあります。 バイオエタノールは、ガソリンに混ぜて燃焼燃料として使用されるのです。 例えば、ブラジルなどでは、既に25%エタノールの入ったガソリン(通称、E25)が使用されています。他にもE100と言われる100%エタノールでも走る車も出ています。 アメリカに於いても、10%エタノールの入ったガソリン(E10)や85%エタノールのタイプ(E85)がガソリンの代替え燃料として使用されています。 化粧品業界でも、それまで、石油由来しかなかったBGが、サトウキビ由来で製造されていますし、時代は変わりつつあります。因に、日局エタノールや化粧品で使用されるエタノールは、まず、100%発酵法で作ったエタノールです。発酵法でないエタノールは、「変性エタノール」ですが、今は殆ど化粧品での使用はなくなってきていますね。 ちょっと目線を変えてみましょう、農地面積というのはそれ程変わらないわけで、今まで穀物を作っていた農地でサトウキビやトウモロコシが作られる訳です。当然、商品輸入国日本としても、気になるトコでしょう。 石油を燃焼燃料として活用する時代から、少しは移行してきています。まぁ、二酸化炭素対策の一環にもなりますしね。しかし、あっちを立てればこっちが立たずといった一長一短が見えてきていますね。 女性用育毛剤とは 女性用の育毛剤というモノがありますね。 一般的には、男性用とどう違うのか分からないですよね。そこで、今回は、そのあたりの話をしましょう。 コンセプト的には、 1)女性用は、重さを考えて軽くしてある。よって、硝子ボトルではなく、プラスチックタイプになり、男性用よりも容量は少なめになる。 2)アルコール濃度が男性要理も低め 3)香料のついているタイプが多い 4)有効成分として、抗男性ホルモンよりも、血行促進タイプが主 5)メントールの配合がない という感じです。 しかし、実際には、1は必須項目で、そのメーカーも採用しているコンセプトですが、2以下はメーカーで変わります。 例えば、2についてですが、女性用育毛剤でも95%以上のエタノール配合のタイプもあれば、30%程度しかエタノールを含まないタイプもあります。 3に関しては、5にも連動しますが、男性用はほぼ100%の確立でメントールが配合されています。しかし、女性は、メントールを好まないので、配合を避ける傾向があります。このメントールを配合しないコトで、逆に、自由な香り付けが可能になるので、女性用には香りをつけやすいのです。 4は、特にオタネニンジンエキスの配合やセンブリエキスの配合が多いですね。他にも消炎作用に着目して、グリチルリチン酸ジカリウムの配合があります。 ただ、女性の方が男性用の育毛剤を使っても、男性が女性用の育毛剤を使っても特に悪影響がある訳ではありません。 また、初めて購入される際には、ボトルタイプの高級品でなくても、スプレー缶タイプの3000円級のでも充分ですよ。 円形脱毛症 円形脱毛症という言葉をご存知でしょうか?文字通り頭皮が円形に毛が抜ける病気です。これは、男性、女性に限らず生じる病気です。 そう、円形脱毛症は、「病気」に分類されているのです。ですから、一般的な育毛剤の謳いには、円形脱毛症に関しての効果は謳われません。 円形脱毛症に有効とされる成分は、セファランチン(タマサキツヅラフジアルカロイド)とか表示されている成分です。このセファランチンは、医薬品ですが、医薬部外品の育毛剤にも採用されています。 さて、円形脱毛症の原因は、自己免疫疾患と言われています。つまり、自分の免疫が自分の毛根を攻撃して、その結果、脱毛を生じます。面白いのは、黒髪の毛根を選択的に攻撃する場合が多く、白髪は抜けない場合があります。しかし、そのシステムはまだ解明されてはいません。 円形脱毛症は、ストレスが原因でにありますから、ストレスの原因が無くなれば自然に完治してしまう場合も多いです。 しかし、注意も必要です。それは、脱毛が頭皮だけでなく、眉毛も抜けた場合です。眉毛が抜ける場合は、円形脱毛症といかストレスが原因とかのレベルを超えています。 即、医師の診断を受けた方がいいですよ! 進化するカルボマー ゲル化剤として有名な成分にカルボマーがあります。石油合成系の高分子ですが、安全性の高い原料ですし、1%以下の微量でしっかりゲルを作ってくれる優れモノです。 このカルボマーは、中和するコトでゲルを作ります。 その中和の前に、「水にカルボマーを分散させる」という作業があります。 作業は単純です。水にカルボマーを入れてゆっくりかき混ぜればいいのですが・・・、通常のカルボマーですと、約1時間撹拌しないと奇麗に水に分散しません。そこで、カルボマーの開発が行われます。「もっと水に分散させやすいカルボマーにしたい!」 その結果、5分程度で水に分散できるカルボマーが誕生するコトになります。 次に、カルボマーのゲル化に必須の中和です。 通常は、水酸化Kや水酸化Naなどで中和しますが、中にはTEAなどで中和する場合もあります。 しかし、どうも、強アルカリの水酸化Kや水酸化Na、毒性が危惧されるTEAで中和したくない処方担当は、アミノ酸で中和する方法を編み出します。それが、アルギニンを用いた中和です。 アルギニンを用いた中和は一見色んな面を解決したかに見えますが、水酸化Kでのゲルに比べると柔らかいゲルになってしまいます。これは、使用感や安定性に不安を残します。 折角ゲルを作ってもカルボマーのゲルには欠点もあります。それは、「塩」に弱いというコトです。 例えば、塩化Naなどの塩が入るとたちまちゲルが崩れます。活性剤やイオン化する原料が入っても同じようにゲルが壊れる場合が多々あります。 「もっと、塩に強いカルボマーを!」というコトで、今度は、塩の配合がある程度あってもゲル化を維持するカルボマーができました。 さて、ここまで、来て、思いませんか? 同じカルボマーという名なのに、どうして機能に差がでるのか・・・? 実は、カルボマーとは総称名であって、その官能基の付き方や数に違いがあります。つまり、カルボマーと銘打っていても、実際にはかなり種類があって、癖や中和率も変わってくるのです。 どの原料メーカーのカルボマーを使っているのかなどは、実際にはメーカーの企業秘密の1つになるのですよね。 アロエとワシントン条約 保湿成分とさて、アロエエキスは有名でしょう。 以前にはアロエエキスには1と2があり、その違いは刺激成分のアロインを含まないかどうかであるコト(化粧品の場合1が含まない)、その番号が化粧品と医薬部外品で逆であるコト(部外品では2がアロインフリー)を上げました。 今回はアロエエキスとワシントン条約の話です。 ワシントン条約ってご存知ですか?絶滅危惧種を保護すべく、そういった動物等の輸出を制限する約束です。麝香やアロワナ、一部の猿やカメでも話題になる条約ですね。 実はアロエエキスもこのワシントン条約に引っ掛かって、アロエエキス配合の化粧品は海外に輸出できない場合があります。 この「場合」と表現したのは、全てのアロエエキスがダメではなく、キダチアロエとアロエフェロックス(別名、ケープアロエ)はダメですが、アロエベラはOKなんです。これはキダチアロエやアロエフェロックスが絶滅危惧種だからです(ベラは大丈夫だそうです)。 但し、それは野生種に限りますので、アロエエキスの原料になったキダチアロエが畑で作られたコトを証明すると配合された化粧品も輸出可能になります(どこの農園から採れたか調べ、証明する必要はあります)。 キダチアロエなんか庭先の植木鉢によく飼われているのに・・・ 因に、アロエベラというのは、皆さんのイメージするアロエの100倍以上でかくて、サボテンってイメージですね。アレを見て、日本人が「アロエ」をイメージできないかも・・・。 テキーラ好きの方や「もやしもん」(漫画)をお読みの方は、竜舌蘭(アガベ)とかマゲイといったイメージでお分かりになるかと・・・(え?マニアック? 汗) 因に、これがアロエベラです 天然オイルとサンオイル オイルを塗ると日焼けするとかオイル焼けすると思っていませんか? そう思ってしまう原因には日焼け用オイルのイメージがあるかもしれません。実は、通常のオリーブオイルと日焼け用オイルでは大きな違いがあるのです。 では、まず、日焼け用オイルの処方を分解してみましょうか。 日焼け用オイルは日に当たるコトで肌を黒くします。これは、 1)日に焼いても痛くならない工夫 2)日に焼いても赤くならない工夫 3)能率よく肌に紫外線を注がせる工夫 がされています。 まず1の為に消炎剤を配合します。更にオイルで皮膜するコトで肌の乾燥を抑えます。 そして2の為に紫外線B波(肌を赤くする)の吸収剤を配合。しかしA波(肌を黒くする)は吸収を調整します。 最後に3は肌に吸収しにくいオイル(実際はミネラルオイル)を使用するコトで肌表面の乱反射を抑制します。 つまり、通常のオイルでは早い時間でオイルが肌に馴染むのでダメなんです。でも、B波を遮断しA波を調整し肌に浸透しないオイルにらこんがり焼けますけどね。 ミネラルオイルとパン ミネラルオイルはその昔は流動パラフィンの名で知られていました。今でもって古い化粧品情報では使います。 このミネラルオイルは鉱物油の代表なので嫌う人もいますが、それは化粧品なのに精製の悪い工業用を採用していた時代の話で、品質がブランドになるこの時代では、ミネラルオイルは安心感の高い原料です。 化粧品に使用されるミネラルオイルは、純度99.9995%モノが使われて残りの0.0005%はVEが配合されています。 このミネラルオイルが食品にも使われているコトをご存知ですか?実は、パンを製造する過程でパン生地を自動分割機により分割する際及び焙焼する際の離型の目的での使用時に使えます。ただし、パンには0.10%以上残ってはダメですがね。 業界が変わると、面白いトコにも使われるモノですね。 中国産の偽物ハチミツ ハチミツは、色々日本でも商品や化粧品、医薬品の分野で出回っていますが、その多くが中国産でるってコトをご存知でしょうか。 最近は、偽物ハチミツなどが中国で出回っているようですね。TVの情報では、中国市場のハチミツの7割が偽物とも言われているようです。中国の偽物ハチミツは、 1)大量の砂糖に適度な量のクエン酸を水に溶かし、加熱します。 2)適度にハチミツっぽくなったところに、本物のハチミツを20%程加えて できあがりです。 この偽物ハチミツが入ってきても、日本の検査で偽物か分かると日本のハチミツ食品メーカーは回答していました。 そこで、ちょっと、日本のハチミツの基準の1つとして、日本薬局方のハチミツの規格を上げてみましょう。 規格 1)ヨーロッパミツバチ又はトウヨウミツバチがその済み集めた甘味物を採取したもの 2)性状:淡黄色〜淡黄褐色のシロップのような液状で、通例、透明であるが、しばしば結晶を生じて不透明となる。 3)比重:50.0gを水100mLに混和した液体は、20℃での比重が、1.111以上 4)酸の確認試験 5)アンモニア呈色物に関する試験 6)レゾルシン呈色物に関する試験 7)でんぷん及びデキストリンに関する試験 8)異物として花粉以外の異物を認めない 9)灰分 0.4%以下 となっています(4〜8のトコは抜粋表記しています)。 偽物ハチミツに例え本物のハチミツが20%程度配合されていても、比重や各試験項目て、確かに、区別がつきそうですね。流石、日本薬局方! コラーゲンは、動物原料か? コラーゲンは動物由来の成分です。どの動物に於いても、その動物の体温あたりで柔らかくなります。例えば、ヒトのコラーゲンは、37℃前後で柔らかくなります。 これを化粧品に配合する場合、ヒトに塗る訳ですから、ヒトの体温で柔らかくなるコトが条件になります。例えば、狂牛病の問題の前は、ウシのコラーゲンが多用されていましたが、それは、入手しやすいといった点だけでなく、ウシはヒトと同じ37℃くらいの体温なので、ヒトの体温あたりでコラーゲンが柔らかくなるのです。 一方、鶏もコラーゲンを多く持っていますが、鶏の体温は40℃程度なので、ヒトの肌に塗った時に違和感を感じます。 で、ヒトの体温以下の体温の動物!ってコトで、最近は、魚由来のコラーゲンが化粧品市場に出回っています。 具体的には、シタビラメやマグロ、鯛の鱗、シャケなどが使用されています。 他にも、魚由来の原料はあります。例えば、DNA-Kといった、遺伝子の有名なDNAも化粧品原料になっていますが、これも、魚由来です。詳しくは、タラの白子由来ですね。 他にも、魚の鱗をパウダーにした粉体(魚鱗箔)なんてのもあります。 ところで、魚って「動物」だと思いますか? ちょっとバカみたいな質問ですが、奥が深い質問なんですよ。 生物学的には、魚は当然「動物」です。しかし、化粧品業界の定義では、「動物とは、哺乳類及び鳥類」を指します。ですから、ウシ由来のコラーゲンは「動物原料」ですが、「魚由来のコラーゲン」は動物原料ではないってコトになるのです(苦笑) ちょっと、妙ですね。 オイル組み合わせと肌での挙動 肌にオリーブ油などを塗ると肌へ浸透しますね。で、その後、どうなっていくと思いますか? 肌の入ったオリーブ油は常在菌や肌の酵素の影響で分解されます。オリーブ油は、トリグリセリドと言われ、グリセリンに脂肪酸(特にオレイン酸)が3つ付いた構造になっています。分解されると、オリーブ油は、グリセリンとオレイン酸になります。更に、このオレイン酸は、リン酸化されて、脂肪酸のリン脂質になります。 このオレイン酸タイプのリン脂質は、肌へ悪さもしない変わりに、そんなに効果も高くはないです。 ところが、この天然油がモルティエラ油のようなリノレン酸やリノール酸チッリなオイルの場合、肌の中で、リノール酸やリノレン酸タイプのリン脂質ができます。γタイプのリノール酸やリノレン酸タイプのリン脂質は、肌の中でコラゲナーゼやセラミドの合成を促進するようです。 こういった現象は、スクワランのような炭化水素系やホホバ油のワックス系の成分では起こらない「肌バリア促進効果」です。 しかし、こういった天然油も意外なコトで効果を失います。 例えば、オリーブ油やモルティエラ油のようなトリグリセリドタイプは、そのまま肌に塗ると上記のように肌に入って効果を発揮するのですが・・・。スクワランやワセリンと一緒にすると、肌に入らず、肌表面に残ってしまいます。つまり、肌の表面に残って浸透をしないスクワランやワセリンと一緒に馴染んでしまって、肌への浸透が妨げられるそうです! こう考えると、アトピー肌の方にやたらワセリンを塗るコトにちょっと躊躇を感じますね。 温泉水と県の経済 温泉水などという化粧原料があります。温泉というのは、当然地域性があります。 例えば、近畿圏では、湯本温泉や龍神温泉などが有名でしょうかね。 この温泉水とは、こういった温泉場からの温泉をその原料にしています。 しかし、そのまま温泉を瓶詰めにして「県外に出す」コトができないそうです。 「県の中のモノを県外に出す場合は、県の中の企業によって加工をする必要がある」 らしいのです。つまり、県の中の資源を使う場合、県内の企業によって加工するコトで県内にお金を落とすシステムを取っているようです。つまり、三重県の温泉を、大阪の企業が汲み取って、加工して販売するコトはできないそうです。ですから、三重県の温泉を、三重県の企業が一旦加工して、大阪の企業には転売可能です。 この「加工」とは、精製して、防腐を施すコトで充分だそうです。 温泉水意外にも、湧き水や海洋深層水なども同じですね。やはり、県単位での経済管理って色々されているようですね。 グリセリンの規格変更 グリセリンに不純物としてジエチレングリコールが混入(人為的に配合されていて)して、死者も出る大きな問題になったコトは記憶に新しいのではないでしょうか。 それに伴い、日本でもグリセリンの規格を見直すコトになりました。 日本では、医薬品につ扱われる原料の規格となる「第十五改正日本薬局方(日局)」と、医薬部外品の規格となる「医薬部外品原料規格2006(外原規2006)」、化粧品の規格である化粧品原料基準(新粧原基)」のいずれもが、2008年2月にグリセリンの規格を変更しました。 変更の内容は、概ね「グリセリン中に含まれるジエチレングリコール濃度は、0.1%以下」とするモノです。また、化粧品の歯磨へのジエチレングリコールの配合を不可とするモノです。 このグリセリン中のジエチレングリコール濃度の確認には、ガスクロマトグラフィという超微量なモノでも測定可能な分析機器を使用する規格を新たに設けています。 中国からの輸入に頼らざる得ない日本にとっては、水際で抑えたいのでしょうね。 化粧品の特許の話 化粧品には色々特許問題があります。 有名なトコでは、乳液にヒアルロンサンNaを配合するのは資生堂の特許です。まぁ、業界では有名な特許ですが、以前に、ノエビアさんが乳液系にヒアルロン酸Naを配合して、資生堂さんに特許侵害の指摘を受けて問題になりました。その解決としては、ヒアルロン酸Naを資生堂さんから購入するといった解決法を取っています。 他にも、βーアルブチンは、資生堂さんの特許でガチガチであって、まず使うコトができませんでした。しかし、昨年からその特許がぼちぼち切れて、今年当たりから通常に使用が可能になりそうです。 しかし、この特許は、あくまで「βーアルブチン」の話です。特許がある時代には、この対抗策としてαーアルブチンでグリコさんなどが対抗したコトは、有名です。 また、ペンチレングリコールやヘキサンジオール、カプリリルグリコールなどのアルカンジオールは、パラベンやフェノキシエタノール、アルカンジオール同士の組み合わせなどを行うとマンダムさんの特許に引っ掛かる可能性があります。例えば、手作り化粧品関係で有名なSYMDIOL68などの1,2-ヘキサンジオールとカプリリルグリコールの組み合わせもマンダムさんの特許に掛かる可能性があるのです。しかし、カプリリルグリコール単品(例えば、1,2-ヘキサンジオール単品)では、かなり前に花王さんの特許切れがあるので、今では使えます。特許は、期限が切れると自由に使用可能になるのですね。 他にもシリコン系には非常に非常〜〜〜〜に多くの特許があって、逆に互いの特許を把握できない状態になっているようです(笑) 現在、特許系で強いのは、当然、資生堂さんですが、花王さんもかなり強いですね。マンダムさんは、これから強化に掛かっているようです(汗)でも、アルカンジオールで特許をかなり押さえている割には、アルカンジオールを使ってないんですよね(-_-; お高い化粧品原料 この世には、お高い化粧品原料がいくつかあります。 例えば、今でこそ安くなりましたが、トサカ由来のヒアルロン酸Naも1kgで50ccのスクーターが2〜3台購入できる金額の原料でした。今ではバイオタイプが多く出回り、1kgでiPod touchと同じくらいの値段にまで下がりました。 トサカ由来のヒアルロン酸Naの値段を少々超える値段が、フラーレンです。 更に、その倍の値段・・・、つまり、原料1kgで、軽自動車が買える値段のモノが2つもあります。しかも、結構有名! 1つは、スーパーヒアルロン酸として有名な「アセチルヒアルロン酸Na」です。 通常のヒアルロン酸Naよりも2倍もの保湿力を肌で発揮します。しかも、グリセリンやエタノールにも馴染みがいいといった強者です。 もう1つは、卵からと白身の間にある薄皮・・・、「加水分解卵殻膜」という原料があります。 実はこの原料、キューピーさんしか扱えない原料です。そう、マヨネーズのキューピーさん! マヨネーズと言えば、卵ですよね。ですから、キューピーさんは卵系・・・正確には鶏系の化粧品原料が得意なんです。例えば、「加水分解卵殻膜」や「レシチン」や「トサカ由来のヒアルロン酸Na」は何れもキューピーさんの分野です。 因に、「加水分解卵殻膜」は、III型コラーゲンという赤ちゃんの肌に多く含まれるコラーゲンを選択的に合成促進する仕事をします。また、シスチンを多く含む為に、食べたりしても「美白」効果のデータがあそうです。美肌と美白、2つの効果をもつ強者です。まぁ、値段も強者ですけどね(苦笑) 化粧品原料の読み方の変更 この数年で化粧品原料の名称が随分と変わってきました。 例えば、トリオクタノインと言われていたモノがトリエチルヘキサノインに変わっています。 これは、同じ構造のモノをどう区切って表現するのか?という有機化学の表現法の変更からきています。具体的には、「オクタン酸」と言われていたモノは「エチルヘキサン酸」になっています。同様に「オクチル」は「エチルヘキシル」になっています。 有機化学の経験のある方なら「ああ、そういう意味かぁ」と簡単な話なのですが、そうでない方にはチンプンカンプンですね。 少々、ひも解いてみましょうか。 例えば、メタノール(メチルアルコール)は、Cが1個です。エタノール(エチルアルコール)はCが2個です。ですから、エチルと表現するとCが2個を意味します。メチルならCが1個って意味です。 ヘキサン酸のヘキサンとは「6」を意味します。クイズヘキサゴンなども6人の回答者でしょう。 因にペンタゴンというアメリカ国防省の建物を見たコトがある方も多いと思いますが、五角形をしています。つまり、ペンタとは「5」を意味します。 オクタン酸の「オクタ」とは「8」を意味します。例えば、タコのコトを英語でオクトパスといいますね。八本足・・・つまり「8」です。 で、話を戻してみましょうか。 オクタン酸はCが8個です。これが変わった「エチルヘキサン酸」とは「エチル+ヘキサン」なので、「2+6」=「8」であって、同じモノであるコトがわかります。 ですから、一度に「8」と言い切っていた「オクタン酸」の表現を「2+6」と分けて表現したのが「エチルヘキサン酸」になります。 ややっこしいですね(汗) |