最新情報へジャンプ 手作りコスメをやっておられる方も多いと思います。今回からは、そういった方にちょっとしたコツをご紹介します。 保湿剤として皆さんは何を使われているでしょうか?グリセリン、ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na、ベタインなどが多いでしょうか? 今回は、保湿剤としてのハチミツの話です。 保湿剤として糖を使用することも多いのですが、ハチミツは独特の保湿感があり、ぜひ試してみる甲斐があると思います。 添加方法ですが、そのまま添加してもいいのですが、そういた場合、沈殿やざらつきを感じることがあります。また、ハチミツは放っておくと固形の部分と透明な液状の部分に分離していまいます。 そこで一工夫。 ハチミツをよくかき混ぜ10g取ります。その10gのハチミツに水20gを加えて下さい。よく攪拌した後に、日局エタノール(95%エタノール)を20g加えて更に攪拌して下さい。それから、30分ほど置いてから、ろ紙などでろ過すると、ハチミツエキスのできあがりです。 化粧品のプロとして細かいことを言わせて頂きましと、化粧品原料に「ハチミツエキス」は存在しません(なぜ無いかは・・・そういう登録が今のところ無いからでしょう 笑)。この「液」は、正確には、「ハチミツ、水、エタノール」の混合原料ってことになります。細かい話で申し訳ないです(汗) 話を戻しましょう。 このハチミツエキスは化粧水中になら0.5〜5%添加するだけでしっとり感を得ることができます(勿論、好みによりますけどね)。 また、このハチミツエキスは普通のハチミツと違って、固体と液体に分離するといったこともありません。保存は、冷暗所がいいでしょう(冷蔵庫に入れると沈殿していまう可能性もあります。)。保存期間は、半年くらいかな? 注意点としては、アミノ酸が入った処方系に入れると、琥珀色になる場合があります。熱を加えると特に琥珀色になります。これをメーラード反応といって、糖とアミノ酸が反応して着色する原料です。特に身体に悪いモノではないのですが、匂いが発生する場合があります。 ハチミツは色々な種類がありますので、どれが良いとは言えませんが、迷ったなら「日局ハチミツ」が薬局等で購入できますので、使ってみては如何でしょうか? 作って楽しい色々なエキス 手作り化粧品で最も楽しみなのが「自作の生薬抽出液を作ること」でしょう。しかし、その生薬の入手や管理が大変ですね。今回は、生薬でなくても作れるエキスの話です。 化粧品原料には生薬以外にも植物エキスが多々存在します。 例えるなら、グレープフルーツエキスやコメヌカエキスなどです。 そこで、今回は、そういったエキスと抽出溶媒をご紹介致します。早速下記の表をご覧下さい。
植物種によって、溶媒が微妙に違っていることがお分かり頂けるでしょうか? 例えば、グレープフルーツはエタノールやBGの原液での抽出ですが、レモンはBG、グリセリンの原液でも水溶液でもOKです。しかし、エタノールでの抽出がないです。 また、ローズマリーの場合は、尿素を1%含むエタノールなどでの抽出もあります。 これらの抽出方法にて有効成分がどれだけ抽出されるかは、はっきりしたデータはありません。しかし、何らかの裏データなしに、これらの抽出溶媒が選択される訳もないのです。安全性が高く有効成分を多く抽出するための工夫があるのです。 例えば、ローヤルゼローなどは、その有効成分に10-ヒドロキシデセン酸という成分を持ちます。これは、ローヤルゼリー特有の成分で、制ガン作用や殺菌作用(天然の抗生物質)、生活習慣病の改善で知られています。 上記のローヤルゼリーの抽出法では、水、エタノール、BG、若しくはその混液となっていますが、一例を上げるなら、50%エタノール水溶液で10-ヒドロキシデセン酸は抽出可能だそうです。その50%エタノールでの抽出方法は、前回の「ハチミツエキス」を参考にして見てくださいね。 他にも、スターフルーツやキュウイからのエキスなどもあるようです。 では、楽しくエキスを作ってみて下さい。 注意:自作のエキスを使用する際は、必ずパッチテストを行うことを推薦します。また、高濃度エタノールで抽出した場合、水で希釈するとオリや沈殿が生じる場合もあります。ご注意下さい。 ヒアルロン酸Naの活用法 最近ではネットで様々なモノが入手できます。中でも、人気なのがヒアルロン酸Naではないでしょうか? 一般的には「ヒアルロン酸」と呼ばれていますが、化粧品原料として正確に表現しますと「ヒアルロン酸Na」となります。 まぁ、そんな細かい話は、頭の隅っこに追いやって、本題です。 このヒアルロン酸Na。粉で買ったり、1%水溶液で購入したりしてると思うのですが、購入したのは良いが、「余る」と、思いませんか? 毎日、自分の使っている化粧水に添加したり、自作の生薬化粧水に添加したりしても、なお余る!でも、捨てるにはもったいない! そこで、今回は、ヒアルロン酸Naの活用法です。 (ヒアルロン酸Naそのものの性質は、「化粧品屋の独り言 → 過去ログvol.4 → ヒアルロン酸Naについて」を、参考にして下さい。) まず、ヒアルロン酸Naを使うに当たって、(既に、1%水溶液で購入されている方は、問題ないのですが)水溶液にする必要があります。 では、その溶かし方です。 1:1gのヒアルロン酸Naをビーカー用意します。 2:そこに、1gの95%エタノールを入れて良くかき混ぜます。この時、エタノールアレルギーの方は、グリセリン1gでもBG1gでもOKです。 3:一気に水を加えて、全体量を100gにします。そして、勢い良くひたすらかき混ぜます。注意点は、水を入れた直後に素早くかき混ぜることです。 以上でOKです。 ちょっとしたコツとして2つ上げておきましょう。 1つ目は、「3」の時に、40度位に加熱すると早く溶けます。50度とは、人が手に持てない温度ですので、それ以下の温度ということです。参考にしてみて下さい。 2つ目は、「3」の時の「水」を30%BG水溶液にすると、出来上った水溶液(1%ヒアルロン酸Na 30%BG水溶液)の保存が効きます。 30%BGの替りに、0.2%メチルパラベン水溶液でも同様に保存が長く出来ます。 (注意:既に、1%ヒアルロン酸Na水溶液を購入されている方の場合、基本的にメチルパラベンが入っていると思っていて下さい。市販の場合、雑貨扱いされている場合ですと、化粧品のように、「中に何が入っているか」の表示が十分にされていません。) では、ここから本題。1% ヒアルロン酸Na水溶液は、手持ちの化粧水に使用時に少し添加して使うのは周知でしょう。 他にも、シャンプーに添加すると泡質や仕上がりに効果があります。 ただし、リンスやトリートメント、ヘアパックには入れないで下さい。リンス等には「カチオン界面活性剤」が入っています。このカチオン界面活性剤とヒアルロン酸Naは非常に相性が悪ので、リンス等にヒアルロン酸Naを入れると、ヒアルロン酸Naの効果だけでなく、リンスそのものの効果も無くなってしまう場合がありますので、ご注意を! 他の添加法として、手作り石けんに入れるという方法があります。 石けんの中和が終わって、まだ高温で液状の時に入れるのです。添加量にもよりますが、かなりクリーミーな泡質を得ることが出来ます。 石けんに入れられるなら、ボディーシャンプーは?と、思いませんですしたか? 勿論、OKです。クリーミーな泡質と、しっとりとした仕上がりを得ることが出来るでしょう。 他には、入浴剤替わりに、少し湯船に入れることも可能です。 最後に、全体的な注意点です。 ヒアルロン酸Na水溶液は、かなり腐りやすいです。従って、シャンプーやボディーシャンプーに入れる為に、小分けした溶液を風呂場に放置しないで下さい。 保存は、30%BG水溶液や0.2%パラベンタイプなら冷蔵庫保存でなくても、冷暗所なら2〜3ヶ月がもちます。勿論、その保存場所に菌が多かったらダメですし、一旦出した液を「もったいない!」と、言って、容器に戻してもダメですよ。 レシチンの色々 レシチンと一言で言っても大きく分けて2種類存在します。 1つは、通常のレシチン。もう1つは、水素添加レシチンです。 レシチンは主に卵黄や大豆から抽出されます。卵黄由来のレシチンは、「レシチン」若しくは「水素添加レシチン」ですが、大豆由来のレシチンは「水素添加レシチン」になっています。 レシチンは、保湿効果があるのにさらっとした仕上がりになることが、グリセリンやヒアルロン酸Naと異なる点です。しかも0.01%から効果を発揮し始めます。 しかし、レシチンを水系に入れるとその独特の臭気で、「嫌ぁ〜!!!」と、感じる方も多いのも事実です。また、非常に腐り易く、保存は冷凍庫が基本です。 こういった扱いにくさを改善したのが、「水素添加レシチン」です。一般の方が使うなら、「水素添加レシチン」を購入されることをお奨めします。 この水素添加レシチンですが、上記に述べたように、卵黄由来と大豆由来の2つがあります。 一般的に、溶かし易いのは卵黄レシチンの方のような気がします。これは、レシチンの構造に少し差があるからです。 溶かし方は、卵黄由来も大豆由来も同じです。 まず初めに、レシチンを少量のグリセリンに練りこみます。そして、80℃まで加熱し、よく攪拌します。 それを水系に一気に放り込みます。水系は80℃でなくてもかまいません。放り込んだ直後にはしっかり攪拌して下さい。 レシチンの濃度やグレードにもよりますが、上手に出来上がると、ほぼ透明になります。 レシチンの濃度は、0.01〜0.5%の間が良いでしょう。 注意:レシチンと相性の悪い原料として、ヒアルロン酸Naがあります。この場合、グリセリンの濃度を上げるか、ヒアルロン酸Naに加えてキサンタンガムなどの高分子を添加するかなどの工夫が必要です。ただし、作って、1ヶ月以内に使い切る「手作りコスメ」ではそんな配慮は不要です。あくまで、「未開封なら3年は保障」している一般の化粧品の場合の話です。 水の話 水、一言で片づけるには色々なタイプがあります。 水をどういったモノかと区分けする方法は多く有りますが、ここでは、「硬水」と、「軟水」といった形で分けたいと思います。 「硬水」とは、ミネラル分を多く含む水のことで、温泉やヨーロッパ全体の水がそうですね。コンビニで飲料水として売られているミネラル水も硬水に属します。 他にも、海洋深層水やにがりを入れた水も硬水ですね。 こういった硬水は、保湿力があると言われています。その原因は主にマグネシウム塩のお陰です。 例えるなら、にがり水を美肌水として使う理由もそうです。このにがりには多くのマグネシウム塩が含まれているのです。 また、海に入った後の肌やタオルの乾きが遅いことも実体験済みでしょう。これも、マグネシウム塩の為です。 化学の時間に習ったと思うのですが、化学的な言葉で「潮解性(チョウカイセイ)」というものがあります。現象的でみるなら、「粉」を皿の上に放置しておくと、勝手に空気の水分を吸って液体になってしまうという、超吸湿性のあるモノの性質です。 マグネシウム塩にはそういった性質があり、それを逆に保湿作用に使っているのです。 しかし、ミネラル塩は諸刃の剣で、生薬成分や他の多くの化粧品原料と相性が悪く、「沈殿」や「オリ」、「濁り」の原因になるのです。 ですから、多くの化粧品は「軟水」を使っています。 軟水とは逆に「ミネラル分の少ない水」のことです。 日本の水はヨーロッパに比べて軟水であると言われています。 それ以前に、身近な所では、「水道水」や「イオン交換水(脱イオン水)」、「純水」、「超純水」が軟水に当たります。 水道水は塩素が入っていますが、一昼夜放置したり、一旦煮沸することで塩素を抜くことが出来ます。 また、多くの化粧品は水からイオンを除いた「イオン交換水」が使われています。 「純水」はバッテリー水(バッテリーの中に入れる水)やコンタクトレンズを洗浄する水に使われていますし、「超純水」は、細胞培養やIC機器の洗浄に使われます。 もし、ご自分で生薬エキスを抽出したいなら、使う水は「軟水」をお薦めします。 また、「水は腐る」と言われます。水自体は、栄養価もなく菌が増えることはないのです。しかし、水に菌が入る時に、菌だけが入る訳ではありません。菌は、埃や何かの有機物と一緒に混入します。その有機物を食って菌が増殖するのです。 特に、軟水は腐りやすいの使用にはご注意下さいね。 ミツロウの話 ミツロウと一言で表現しても様々なモノが存在します。 まずは、精製度の差から区別しますと、精製度の低いモノから、「黄ロウ」、「白ロウ」更に精製度を高めた「精製ミツロウ」などがあります。 そもそもミツロウとは、ミツバチの巣の主原料で、パルミチン酸メリシルなどの高級脂肪酸と高級アルコールのエステルが成分の70%を占めます。 ミツロウは、ミツバチの腹部の分泌腺から分泌されるのです。その巣を熱時ろ過し、湯洗浄し、不純物を除いたモノが「黄ロウ」です。その黄ロウを漂白したモノが「白ロウ」といい、別名を「サラシミツロウ」と言われています。多くの化粧品で使われるミツロウはこのサラシミツロウかそれ以上の精製を行ったモノです。 そもそも、ミツバチ由来の成分ですから、当然、ヨーロッパ系とアジア系では成分が異なります。ヨーロッパ産のミツロウを特に「高酸価ミツロウ」と呼び、アジア系のミツロウを「低酸価ミツロウ」と呼んでしました。化粧品の全成分上では、「ミツロウ」、「サラシミツロウ」、「低酸価ミツロウ」の区別はなく、等しく「ミツロウ」表記になっています。ただ、高酸価ミツロウは「高酸価ミツロウ」と区別されて表記されます。 高酸価ミツロウと低酸価ミツロウの違いは、含有する遊離脂肪酸組成と炭化水素組成の差です。(以下、表参照)
ミツロウはご存知の通り、乳化作用があるので乳液や口紅などに使用されてきました。他にも「親水ワセリン」というモノにも配合されています(因みに、親水ワセリンは、ステアリルアルコール、セタノール、ミツロウ、ワセリンで出来た混合成分です。)。 リップスティックなどでは、 ミツロウ5%、キャンデリラロウ6%、カルナウバロウ2%、セレシン7%、ヒマシ油42%、ラノリン8%、顔料7%、ワックス3%、エステル油20% などといった具合に配合されているのです。ミツロウの濃度の参考にしてみて下さいね。 酸化チタンと酸化亜鉛 紫外線防御の化粧品にはよく「酸化チタン」と「酸化亜鉛」なるものが入っています。また、ファンデーションやメイク化粧品にも入っていますよね。 酸化チタンや酸化亜鉛には2つの大きな働きがあります。 1つは、紫外線散乱作用です。 これは、紫外線カットの化粧品に添加された場合の働きで、具体的にはSPFとかPAなどの表示でその力が表現されます。 主に、酸化チタンは、紫外線B波を防ぎ、酸化亜鉛は紫外線A波を防ぎます(これは基礎的な話で、実際はもっと高度なコトになっているのですが・・・)。 ご存知の方も多いでようが、紫外線B波とは、日焼けして肌が赤くなる現象を引き起こすモノです。一般的な日常生活では、SPF18程度の値があればいいでしょう。ちょっとスポーティーな場合は、SPF30以上が必要でしょうね。 一方、紫外線A波は、日焼けして黒くなる現象を引き起こすモノです。力の度合いはPAで表現され、最も強い効果を示す場合「PA+++」と表現されます。 この紫外線カットに使われる酸化チタンも酸化亜鉛も、その粉末はシリカで表面がコートされています。これは、直接金属が肌に触れて、そこで光触媒作用や何かが起こるのを危惧しているからです。ですから、これらの粉体は、水にも油にも馴染みませんので、簡単に石けんなどでは洗い流せないといった副作用を持ちます。 2つめの働きはメイク関係です。 酸化チタンや酸化亜鉛はその粒子の大きさによって、塗布すると白くなります。また、粉の密着感を高める効果もあります。この効果を利用したのが、メイク系への添加です。 口紅やチークやファンデーションなど、酸化チタンや酸化亜鉛は白くしてくれた上に色がのるのです。もし、白くする効果がないと、肌の色の影響を大きく受けて、美しい色を出すことが出来ないのです。 また、顔料の肌への馴染みを上げることで、奇麗な仕上がりにしているのも、酸化チタン、酸化亜鉛の働きです。 最近、「この洗浄化粧品で洗ったら・・・ほぉ〜ら、白くなるでしょぉ♪」などと、左右の手の甲で見比べさせている化粧品がありますよね。夜中よくやってますが・・・。あれは、洗浄後、肌に酸化チタンがうっすら付いて白く見えているのです。決して直接的な美白ではないですし、宣伝でも薬事法に掛らない上手い表現をしていますね(苦笑) これらの酸化チタン、酸化亜鉛は、その粒子の大きさや形でその効果を大きく変化させます。ネットで酸化チタンや酸化亜鉛を入手する時には、その粒子の大きさやちゃんとシリカで表面コートしてくれているのか、チェックしましょうね。 コラーゲンの秘密 平成15年12月末に、アメリカでBSE(狂牛病)が発生した事件は記憶に久しいでしょう。それに伴い、アメリカ産ウシ由来原料の使用ができなくなりました。 有名なところでは、吉野屋も牛丼を販売できなるなるようですね。 ウシ由来の原料として、有名なのはコラーゲンでしょう。コラーゲンは元々水には溶けにくいモノですが、特に水に溶けるコラーゲンを「水溶性コラーゲン」という名で呼び、化粧水などに配合されています。 ヒアルロン酸Naと共に配合すると、その保湿力を強化してくれるコトから、化粧水へ多用されました。また、ココイル加水分解コラーゲンKなど、アミノ酸系界面活性剤(正確にはペクチド系とか言わなくてはいけないのかな?)としても有名で、そのコンディショニング効果は抜群です。 平成12年に初のBSE問題を厚生労働省が取り上げ、当時の全成分表示にウシ由来原料には(ウシ)の表示が義務付けられました。それは、今もそうなのですが、実際、(ウシ)と表示されたコラーゲンを見たことはあまりないでしょう。 どんな仕掛けがあるのでしょうか? 全成分表示で「水溶性コラーゲン」と表記されるモノは、旧名称では、「水溶性コラーゲン」、「水溶性コラーゲン液(1)」、「水溶性コラーゲン液(2)」、「水溶性コラーゲン液(3)」がありました。正確には「水溶性コラーゲン(4)」というのもあるのです。 この違いはなにでしょうか?それは、何由来のコラーゲンであるのか?という違いです。表にしてみましょう。
こういった感じです。 水溶性コラーゲン液(2)は、ウシだけです。しかも胎盤を使っています。これは厚生労働省の「原産国を問わず、使用してはならないウシの部位を含む成分」に相当した為に、早期に使用が出来なくなりました。それに伴い、多くのコラーゲンは、ウシからブタまたは、舌平目に変更されました。 現在、市販されている化粧品に配合されている水溶性コラーゲンは、ブタ若しくは舌平目です。他にも、鯛の鱗やキハダマグロから取られたコラーゲンが使用されています。 それでも、多くのコラーゲンが人気なのは、やはり、その効果と使用感が好まれるからでしょうね。 ご自分の使っている化粧品の全成分表示を見直してみて下さい。魚由来のコラーゲンが入っているかもしれませんよ。 乳化剤の話 乳化剤という言葉を耳にしたことのある方は多いでしょう。また、その働きも、「水に油を溶かし込む働き」であると認識されている方も多いでしょう。今回は、その乳化剤のお話です。 最近のしっとりタイプの化粧水やエッセンスは、今までになくしっとり感を感じますね。その理由は、化粧水に少量の油やエモリエント剤が添加されているからです。 乳液とは言わず、しっとりタイプの化粧水という表現をしていますので、ついつい乳化剤は入っていないと勘違いしがちです。 ご存知の通り、水と油は単純には溶け合いません。アロマ系で自家製の化粧水を作る時に精油を添加した経験のある方もおられるでしょう。キサンタンやヒアルロン酸Naなどの高分子を少量配合しても、油を抱えることはできません。 水に油を溶かす簡単な方法は2つあります。 1つは、エタノール濃度を上げる。もう1つは、乳化剤を添加することです。 最近のしっとりタイプの化粧水やエッセンスに使われる乳化剤は、PEG-30やPEG−30水添ヒマシ油などです(30という数値は色々変わります)。 PEG-30とは、旧名称をポリエチレングリコール1500といい、そのモノがエモリエント効果を持ちます。 また、PEG−30水添ヒマシ油は、旧名称をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油といい油を乳化させる乳化剤です。このポリオキシエチレンとは石油系成分になります。 次いで、乳液の話です。 乳液というモノは、水と油と乳化剤(界面活性剤)で出来ていることは周知でしょう。その時に使われる乳化剤は、ステアリルアルコールやセタノールでしたが、この成分は旧表示指定成分にあたる為に使われない場合が多くなっています。その替りに、ステアリン酸グリセリルやステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60(60という数値は色々変わります)などが使われます。 ステアリン酸グリセリルやステアリン酸ソルビタンは、ステアリン酸という脂肪酸にグリセリンやソルビット(糖類)が付いた単純なモノです。一方、ポリソルベート60とは、旧名称を「モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)」といい、ステアリン酸と糖類に加えて、ポリオキシエチレンという石油系の原料で出来ています。そう、先ほど化粧水であがったポリオキシエチレンです。 そして、最後に・・・クレンジング剤(メイク落とし)です。 これは、単純に石けんではありません。落ちにくいオイル成分を特に落としやすくする工夫がされています。それが・・・乳化剤の添加です。 クレンジング剤に添加される乳化剤は、トリイソステアリン酸PEG−30水添ヒマシ油やイソステアリン酸PEG-20ソルビタン、トリイソステアリン酸PEG−20グリセリル、PEG−80水添ヒマシ油などです。 どうでしょう?先に上げた化粧水や乳液に添加されている乳化剤に似てると思いませんか?イソステアリン酸PEG-20ソルビタンなどは、ビオレのメイク落としなどにも使われている成分です。他の成分もクレンジングには必須の成分です。 どうでしょうか?わたしは、クレンジング剤や石油系成分そのものをどうこうはいいません。しかし、塗りきりの成分には、配慮が必要ではないでしょうか? ナノテクノロジー 最近は「ナノ」なる言葉が流行っています。ナノとは、まぁ、「すっごく小さい」という意味で使われているのでしょう。ちょっと、理系的に考えるとメートルに対してナノメートル(nm)が存在して、グラムに対してナノグラム(ng)がある訳で、ナノ単独の言葉はないのですよね。まぁ、ぞんな蘊蓄はおいときましょう。 今回は、2004年に着目されるナノテクノロジーをご紹介。 では、早速。 1)マイクロパイル これは、ナノデバイス・システム研究所と立命館大学の教授が開発したもので、非常に微細な針です。この針は非常に小さいので刺さっても痛みを感じません。 この針は、体内に残り溶けます。溶けた中には有効成分が入っているという仕掛けです。材質は糖質です。(そう言えば、韓国の爪楊枝もトウモロコシデンプンで出来ているなぁ。)具体的的には、白い粉末状の機能材をマイクロスパイルで入れれば、体内で溶解してシミを抑えると、いった具合です。 2)ナノカプセル 結晶しやすい成分(リコピン)などを小さなカプセルの中に抱合して安定した形で製剤に添加する方法です。リコピンは、トマトから取れる非常に優れた抗酸化剤です。しかし、直ぐに結晶化し、処方組が困難でした。そこで、微細なカプセルに包んで安定化を図ったのが、ランコム(発売元日本リレアル)の美容液です。 他にも、油剤をカプセル化して配合する技術も多くの化粧品メーカーが行っています。 3)アミノ酸系シリコン 資生堂は色々考えるものです。バリンやイソロイシンなどのアミノ酸に非常に短いシリコンを合成することで、シリコンのゲルを作ったのです。一般の方には「だからななに?」と、思われるかもしれませんが、この技術を活かすと、新しい化粧品が生まれる可能性があるのです!流石、資生堂!原料から作るか! 4)多機能柔軟剤粒子 これを開発したのはライオンです。直径150nm程の粒子の中に、香り成分、防臭成分、吸水成分を含ませたのです(防臭成分とは、菌の活性を抑制することで臭いの発生を抑える成分)。この粒子は繊維に付着して、タバコの臭いを抑制したり、汗を吸い取ったりします。 ナノ、ナノと何だか分からないままに宣伝文句になっている場合もありますが、上記のような化学的に工夫された成分を含む化粧品等もあるのです。 特に2)のナノカプセルは今後、油剤に利用されたら、油剤の酸化もかなり抑制できていいのじゃないかと思いますね。 アミノ酸系シャンプーの言葉の綾 アミノ酸系のシャンプーについての商品トークに以下のようなものがあります。 「アミノ酸を配合したシャンプー」 「アミノ酸系界面活性剤使用」 「アミノ酸系石けんシャンプー」 などがあります。どう違うのか?お分かりでしょうか? まず、1つ目の「アミノ酸を配合したシャンプー」についてお話しましょう。 これは、シャンプーの主剤となる界面活性剤は何でもいいのです。石油系のラウレス硫酸Naでも石けんでも何を使っているかは関係ないのです。ただ、「アミノ酸をシャンプーに配合していますよ」と、いうだけの宣伝です。 シャンプーにアミノ酸を配合する理由は、そのアミノ酸が髪の傷んだ部分に付着して改善することを期待しています。 髪の表面は、健康なら疎水性です。ですから、シリコンやオイルなどが付着しやすい訳です。ところが、キューティクルが傷ついて、中が現れると親水性になります。この親水性の部分にアミノ酸が引っ付くという仕組みです。 最近では、このアミノ酸にシリコンを引付け、傷んだ部分には、アミノ酸の部分が引っ付いて、それを蓋するようにシリコンが覆う仕組みの原料もあります。 続いて、「アミノ酸系界面活性剤使用」です。 これが、正統派のアミノ酸系シャンプーに当たります。具体的には、ココイルグルタミン酸NaやココイルメチルタウリンNa、ココイルグリシンNa、ココイルメチルアラニンNa、ココイルサルコシンNaなどがあります。この「ココイル」とは、ヤシ油脂肪酸を意味します。当然、ココイル以外にも、ラウロイルやミリストイルやステアロイルなど、脂肪酸の組成によって名が変わります。 他にも、最後の「Na」の部分も「K」、「TEA」などその塩の形で変わります。その使用感の違いは、石けんと同じ感じで、ラウリン酸が引っ付いたラウロイルタイプが最も洗浄力が高く、ステアリン酸の付いたステアロイルが最も刺激が小さい傾向があります。また、塩の部分も、「K」タイプはさっぱり系であり、「TEA」タイプは(お薦めではありませんが)しっとりタイプです。 それに加えて、アミノ酸の部分で、性質も変わります。 例えば、ココイルグリシンNaは石けんのような使用感ですし、ココイルグルタミン酸Naはきしみが緩和されています。また、ココイルメチルタウリンNaは泡立ちは低めですが細かい泡ですし、ココイルサルコシンNaは荒く大きな泡立ちになります。 更に、加えるなら、これらアミノ酸系界面活性剤は、そのpHが弱酸性でも弱アルカリ性でも使用でき、そのpHによって使用感も変化します。 一言で「アミノ酸系界面活性剤」といっても、かなり多彩な芸風を持っている訳です。全体的に言えることは、(弱酸性で使用した場合特に)他のアニオン界面活性剤に比較して、安全性が高く、マイルドであるということです。(ついでに言うなら、原価が高い!こと 苦笑) 最後に、「アミノ酸系石けんシャンプー」ですが、これは脂肪酸+アルカリ塩でできている石けんの、塩の部分がアラニンというアルカリ性のアミノ酸でできているのです。ただ、全成分表示で「ラウリン酸K」はありますが、「ラウリン酸アラニン」はありません。この場合「ラウリン酸」、「アラニン」と別々の表現で表記されます。(注意:「アミノ酸系界面活性剤使用」に挙げた「ココイルメチルアラニンNa」とは別の存在になります。) この「アラニン」塩タイプは「Na」や「K」塩タイプに比較して、つっぱりも少なくマイルドだと言われます。ただ、変臭が激しく、製剤にした場合、長期に置くと臭いが発生する場合があります。 因に、「石けん」は全成分表示で「石ケン素地」または、「カリ石ケン素地」などの表現になっています。 今回挙げた例はシャンプーですが、洗顔料や洗顔フォームでも同じ性質を示します。 最後に、pHによって肌や頭皮からのアミノ酸の流出量が異なる様をグラフ化した例がありますので、「化粧品屋の独り言→過去ログ vol.2→低刺激性界面活性剤」も参考にしてみて下さいね。 化粧品業界の動き(カネボウと花王) 化粧品メーカーで一番大きいのはどこだと思われますか? 「資生堂」と、回答される方が多いでしょう。実際に、正解です。 では、二番目に大きいのは?ライオン?花王?カネボウ?ポーラ?・・・、どこだと思いますか? 2003年上半期上位5社という新聞の発表では、 資生堂315億円前期比1.5%、カネボウ250億円前期比-4.2%、コーセー77.8億円前期比2.8%、ファンケル42.5億円前期比-2.4%、マンダム24.7億円前期比1.9% と、なっています。ちょっと花王が入っていないのが「なぜ?」と思うのですが、1つの情報として見て下さい。 ネットの情報では、こんなのもあります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2004年02月16日(月) カネボウ、再生機構活用で再建へ 化粧品事業の売却断念 化粧品業界2位のカネボウは16日、産業再生機構を活用して再建を目指す方針を固めた。経営が悪化して再建中の同社は、収益源の化粧品事業を花王に売却、財務体質を改善しつつ繊維や食品事業を核に生き残りを目指すことを決めていたが、労働組合をはじめ社内に反対が強いことから断念し、方向転換した。主取引銀行の三井住友銀行などの金融機関による債権放棄に加え、再生機構による新規出資も検討されると見られる。 カネボウは、主力事業の一つである繊維事業の不振などから、昨年9月末で629億円の債務超過に転落、5000億円を超える有利子負債を抱えた。不良債権処理を急ぐ三井住友銀の意向もあり、今年3月末までに自力で債務超過を解消し、有利子負債を大幅削減することが急務となった。このため、全売上高の4割を占め、年間300億円前後の営業利益を稼ぐ化粧品事業を生かした再建策を検討してきた。 昨年10月には、化粧品業界4位の花王との提携を発表。当初は2社で合弁会社を設立する計画だったが、今年1月末には化粧品事業を従業員も含めて花王に完全売却する方針に切り替えた。花王への売却代金は4000億円を超えると見られ、3月末の臨時株主総会の開催と承認取り付けへ詰めを急いでいた。 ところが、売却後に残る繊維や食品、薬品事業はいずれも競争力に乏しく、社内で不安が台頭。伝統的に経営に強い影響力を持つ労働組合が今月11日、完全売却に反対する姿勢を明確にしたため、暗礁に乗り上げた。 今年初めにカネボウとの合弁会社設立案を提案していた国内投資ファンドのユニゾン・キャピタルとの話し合いを再開するなど、完全売却案の見直しに乗り出したが、3月末の株主総会開催には日程の余裕が乏しく、時間切れの格好で再生機構活用が決まった。 カネボウは1887年の創立で、戦前の36年には民間企業で売上高が日本一になったこともある名門企業。繊維事業の競争力が低下する中、60年代から多角化を進めた。とくに、日本航空会長を務めたこともある伊藤淳二氏が68年に社長に就任後、繊維のほか化粧品と薬品、食品、その他の5部門からなる「ペンタゴン(五角形)経営」を推進したことで知られる。 化粧品事業は順調に拡大、世界的なブランドを抱えるまでに成長したが、同事業の収益を繊維など他の赤字部門が食いつぶす構造が続き、96年3月期には連結ベースで初の債務超過に陥った。労組の影響力が強いこともあり、従業員の削減などリストラへの着手も後手に回っていた。 昨年5月に業務を開始した再生機構は、これまで三井鉱山や金門製作所など11件の再建に着手しているが、中堅・中小企業がほとんど。東証1部上場の名門企業で、消費者にも知名度が高いカネボウの再建は、存在意義を示す機会になりそうだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 実際に2004.2.17の読売新聞などにも載っていますが、カネボウは化粧品は別会社として扱いたかったらしいのですが、労働組合や取引先からの反対が多かったらしいです。 世界的には、多くの化粧品メーカーが合併して、トイレタリー市場や中国市場などを獲得に図ってるケースがあります。 銀行も合併化することで生き残りを掛けています。大きくなって資本と市場を獲得したいのでしょう。 しかし、如何なものでしょうか? 嘗て、パン屋業界は、大手のパンメーカーにその市場を牛耳られました。しかし、今現在になり、「町のパン屋」が見事に復活しているではありませんか! 巨大スーパーに持っていかれた市場も、徐々に町のスーパーに戻りつつあります。 大きくなることは、その会社の維持として必要でしょう。しかし、最も大切なのは、顧客との距離ではないでしょうか? この数年、売り上げを落としている化粧品業界ですが、カウンセリングを中心としたケア化粧品は売り上げをあげています。 顧客との距離、これがこれたらの「ブランド」だと思うのです。 尿素の話 日局グレードの尿素は、純度が99.0%以上のものであり、1%水溶液はpH5.6〜6.2を示します。また、化学大辞典などでは、尿素は弱塩基性で10%水溶液はpH7.2を示し、酸と反応して塩を作ると記されています。 尿素の保存は密閉容器程度で良いのですが、分解が進むとアルカリにシフトしていきます。その原因として、分解物にアンモニアが含まれるからです。 尿素自体の薬効は、角質の水分保持量を増加させ、乾燥した肌質の改善、角質化した肌の剥離作用などがあります。また、アトピー性皮膚炎、足底部きれつ性皮膚炎の改善効果もあります。 しかしながら、使用上の注意として「傷面への直接投与を避ける」と、あります。実際に、尿素系のローションを傷口に塗ってしまい痛い思いをした方もおられるでしょう。 規制緩和前に化粧品で尿素を配合できる上限は、洗い流すタイプで10%、塗りきるタイプ(化粧水など)で3.0%と規定がありました。勿論、医薬品などは、10%、20%の濃度で使われている訳ですが・・・。これは、「化粧品には高い効能があってはいけない」という規制から生じたものです。同じように、シワに効果が期待されたビタミンKも、効果が高い点で医薬品扱いされ、今は化粧品に配合が出来ない状態です。 尿素を使ったローションで有名なのは肌水でしょう。ネットをちょっと探せばその処方が載っています。最近では、薬局で尿素を購入したらその裏面に書いていたりすます。肌水は実際に、価格も安価ですし、作ることも簡単です。効果もそれなりにありますしね。いいものです。 しかし、水溶液になった尿素は、粉末の状態と比較にならない程、分解が激しくなります。つまり、アンモニアを発生させてしまうのです。(臭いで直ぐに分かります) ですから、肌水も使用期限が短く記されていますよね。防腐だけの問題じゃないってことです。 そこから先の処方組み(化粧水の中で安定して尿素を配合するコツ)は、プロの仕事です。また、尿素自体と相性の悪い原料もありあす。 折角ここまで読んで頂きましたので、1つコツを・・・。 尿素をうまく化粧水の中で安定化させるのは、pHを調節する必要があります。pHを一定に保った液を緩衝液といいます。弱酸性の緩衝液の性質を化粧水に持たせると、尿素の安定化が出来ます。 どのくらいのpHがベストなのかは、ヒミツです(♪)。でも、無茶なpHではないですよ。 それから、尿素と同じくらいpHの影響を受ける原料にコラーゲンがあります。表示名称では、水溶性コラーゲンとか、加水分解エラスチンなどがそうなのですが、pHをきちんと維持しておかないと時間が経つとオリが生じたりします。生薬(甘草)からの抽出物で消炎作用で有名なグリチルリチン酸2KもpHを検討しないとオリが生じたりします。 一般の方にはなかなかpHを自在に扱うことは難しいかもしれませんが、化粧水を作る1つのポイントがpHなのです。 簡易、ビタミン紹介 化粧品に添加される成分も、時代によってもてはやされるモノが違ってきます。 嘗ては、ヒアルロン酸Naやヒマシ油系の合成物(化粧水に油分を分散させたり、それ自体がエモリエント効果をもつ)でしたが、最近はもっぱらビタミンです。 今回はビタミンの話をしましょう。 世界ではじめにビタミンを発見した人はどなたか知っていますか? 実は日本人の鈴木梅太郎という方です。それは現在のビタミンB群にあたる物質でした。(実はこの辺の歴史は、学会発表のタイミングや背景が絡み、ちょっと泥って、面白いのですが、今回のテーマではないので、はずしますね) では、早速本題です。 ビタミンは、アメリカのポーリング博士のアスコルビン酸の大量摂取(メガビタミン)を発端に栄養素以外の機能の研究がされてきました。しかし、その主立ったものは、経口摂取であり、皮膚への塗布による効果の研究はそう多くはありません。 大きく分けてビタミンは油溶性と水溶性があります。 油溶性では、ビタミンAを筆頭に、トコフェロール(ビタミンE)や酢酸トコフェロールがあります。 一方、水溶性では、ビタミンB群、ニコチン酸アミド、アルコルビン酸、パントテニルアルコール、ビオチンなどがあります。 特にアルコルビン酸(ビタミンC)には、その誘導体が多く存在します。 例えば、リン酸アスコルビン酸Mg、アルコルビルリン酸Naなど化粧品の表示名称リストには20種類以上が存在します。 また、最近流行りのコエンザイムQ10は、ユビキノンという名称で添加されます。 コエンザイムQ10は補酵素であり、その動物種によって、コエンザイムQ9とか数字が異なります。何れも、ミトコンドリア内で働き、細胞代謝に関与することから、美肌のビタミンとして活用されていうようです。 このユビキノン(コエンザイムQ10)の構成成分になると言われ着目を浴びているのがパンテノール(ビタミンB6)です。パンテノールはスキンケアだけでなくヘアケア化粧品にも多く添加されています。 このパンテノール、飲むよりも局部に塗る方が吸収率が高いと言われ、5%含有の医薬品の軟膏が火傷、皮膚潰瘍などの効能で販売されています。最近では、化粧品に於ても、上皮細胞の活性化、抗炎症抗か、保湿を目的に高配合での応用が検討されています。 続いて、ニコチン酸アミドです。これもビタミンB群に属します。最近はこの「ニコチン」という名称から悪いイメージがあるので「ナイアシンアミド」と名称を変えています。非常に安定性の高いビタミンで、血行促進、セラミド合成促進などの皮膚バリア機能の向上、色素沈着の低減などの効果が報告されています。 続いて、ビオチンです。この名称を知っている人はかなり少ないようです。別名をビタミンHと言われます。(ビタミンにHってのがあることすら知らない人が多いですね) ビオチンは皮膚疾患の治療として用いられてきましたが、最近ではアトピー関係の分野で着目されています。と、いうのは、アトピー患者の何割かは、血中ビオチンの数値がかなり低く、それがアトピーの原因の1つになっているらしいのです。ビオチンは、平成15年6月26日付けで保健機能食品用途として食品添加物として指定を受け、「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素」と謳われています。 最後に、ビタミンK。正確にいうなら、ビタミンK1と呼ばれ、油溶性のビタミンです。別名をフィトナジジオンと言われます。 今までは美容関係ではマイナーなビタミンだったのですが、最近、目の下のクマの改善、妊娠線の改善などで着目を浴びています。特に、ビタミンAと併用することで、クマの改善報告は多く存在します。が、そのメカニズムはまだ改名されていません。更に残念なことに。ビタミンK1は医薬品の主剤であり、現在、日本国内に於ける化粧品の配合が認められていません。 今回は、ビタミンAとCについては、ネット上に多くの資料が存在しますので、あまり深く触れませんでした。 以上、簡易、ビタミン紹介でした。 ビタミンに凝る(ビオチン) ビオチンという名を耳にしたことはあるでしょうか? ビオチンとは、ビタミンB群複合体に属し、ビタミンH、コエンザイムRと言われるモノです。医薬品としては、湿疹やニキビの対策に用いられている。しかし、なぜか内服剤若しくは注射剤として使われ、外用剤としては使われていないようです。先の”独り言”でも述べた用に、ビオチンは平成15年6月26日付けで保健機能食品用途として食品添加物として指定されていますが、こちらも「食べる」話になります。 また、ビオチンは、生態的には腸内細菌によって作られます。 実験的にネズミをビオチン欠乏症にすると、脱毛、皮膚炎などを起すという報告があります。 性質として、水やエタノールに溶けにくいなど少々化粧水に添加するには扱いにくい成分です。 ここ最近では、アトピーやドライスキンの方用の化粧品に添加し、「塗って」効果を出している報告もあります。ただ、その報告書によりますと、ビオチンを配合し効果をみた化粧品には油溶性ビタミンCが5%も入っており、「実験」としてみた時には疑問を感じる報告書でした。 結果としては、ビオチンには0.2%でアトピーの方に対する肌質改善がある旨でまとめていましたが、結果が良い報告なだけに少々残念でした。 ビタミンKが医薬品の主剤なので化粧品位配合できない現状で、ビオチンは面白い存在なのですが・・・、もっとしっかりしたデータがあったらなぁ〜。 ビタミンに凝る(ニコチン酸アミド) ニコチン酸は1912年に日本人によって米ぬかから精製されました。ニコチン酸若しくはニコチン酸アミドは、その「ニコチン」という名称のイメージが悪いことから、ナイアシン、ナイアシンアミドなどの名称に呼び名が変わっています。分類的にはビタミンB群のひとつになります。 ナイアシンアミドは、元々は、NADとNADPの補酵素として働いています(クエン酸回路の一部で働いているのですね)。 最近では、セラミドなどの合成や皮膚バリア機能の改善などが報告されています。
その他にも、マウスを用いた実験では、アトピー性皮膚炎の痒みを抑える効果や、敏感肌特有のスティングング(パラベンやエタノールと塗った時に感じるピリピリ感)の抑制の報告もあります。 更に、ニキビ肌に対する有用性や、5%で塗布するとシミの改善効果があるという報告もあります。また、これは塗布した場合の効果ではないのですが、ナイアシンアミドがヒトリンパ球のDNA修復を高めるとか、アポトーシス(細胞の自滅)を抑制する報告もあります。 ちょっと、興味深いビタミンですね。 トリインフルエンザと鶏原料とBSE 最近、巷を賑わせているのは、やはりトリインフルエンザの問題でしょう。 基本的にトリインフルエンザはヒトには感染しません。その証拠に、何万羽も鶏が死んだ養鶏所のヒトはインフルエンザに感染していません。アジアで数例みられる、トリインフルエンザに感染した例は、そもそもヒトインフルエンザに感染した上で、重ねてトリインフルエンザに感染しているようです。 しかし、インフルエンザに感染した鳥肉を食ったトラが発病していたり、そもそも、身近なカラスなどの野鳥が感染すると、ちょっと怖さを感じざるえないのは事実ですね。 化粧品に使われる原料にも、鶏由来の原料は多くあります。例えば、レシチンやヒアルロン酸Naはソレに当たります。 レシチンなどは、玉子由来です。玉子は、その構造上、ウイルスが中に混入することはありません。しかし、殻の表面に付着して、殻を割る作業中に菌が入る可能性があります。サルモネラ菌も同じです。 ですから、アメリカでは日常的に、調理前に玉子を洗う習慣があります。見習うべきでしょうね。 実際、トリインフルエンザに関する問い合わせは、ヒアルロン酸Naよりも、玉子の系統が多いらしいです。 工業的に作られる卵黄由来のレシチンは、玉子もちゃんと処理されていますので、ウイルスの感染はありませんので、安心して使って下さい。 一方、ヒアルロン酸Naですが、これは鶏のトサカ由来です。ヒアルロン酸Naにはバイオタイプもありますが、使用感の差などから、鶏トサカ抽出のヒアルロン酸Naを使っているメーカーも多いですね。 ヒアルロン酸Naは、原料となるトサカの地点で、80℃以上の熱処理を十分に行っています。インフルエンザウイルスは熱に弱いので、この加熱工程でしっかり滅菌できます。大手メーカーの製造するヒアルロン酸Na(先の玉子もそうですが)は、その養鶏所もチェックしていますので、感染した鶏がいない環境で入手した原料となります。ですから、化粧品グレードのヒアルロン酸Naから、トリインフルエンザに感染する可能性はありませんので安心して下さい。 そんな処理をしているのに、BSEの問題は残るのは何故でしょうか? BSEの原因はプリオンというタンパクです。 このタンパクは、(非常に荒く、簡単に説明しますと)悪玉と善玉がいます。悪玉プリオンが体内に入ると、それまで善玉だったプリオンを悪玉に変えていきます。結果として、ヒトも脳をやられヤコブ病のような症状を引き起こします。 このプリオン、タンパクのくせに、実にウイルスより性質が悪いのです。 熱処理しても有機溶媒で処理しても一向に不活化(変性)しないのです。ですから、BSEの発生した国のウシ由来原料は化粧品で使ってはいけないことになっています。 国から、BSEに関するQ&Aのページが設けられています。ぜひ、一読してみて下さい。 http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0308-1.html 因に・・・、ここだけの情報ですが・・・。 BSEの研究も進んできています。当然、プリオンの研究となるのですが、いちいちウシを使うのも厄介です。そこで、BSEの実験は、実は鶏で行われているのです。 鶏なら入手も簡単ですしね。 ?????、鶏? そう、鶏もBSEのようなプリオン病にかかるのです。余り公にされていませんが・・・。また、チェックも入ってませんが・・・。 注意点として、鶏がプリオン病にかかることはかかりますが、実験的にプリオン病にしているだけで、日常的に感染した鶏がいた例は報告はないです。 まぁ、この数年は鶏プリオン問題はないでしょうね。 2003年度の化粧品や医薬部外品の回収状況-前編 2003年度の化粧品や医薬部外品の回収状況をみてみました。 回収はクラスIからクラスIIIにまで分類されます。 クラスIIとは、その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性があるか又は重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいいます。 クラスIIIとは、その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況をいいます。 これは、医薬品機構のホームページを閲覧すると見ることが出来ます。 今回、気になった数点をピックアップすると共に、コメントしてみましょう。 2003年度医薬品等の回収(クラスII)に関する情報 肌用ローション、目元クリーム 回収理由 日本においては化粧品成分のイミダゾリジニルウレア(防腐剤)は洗い流さない使用用途では使用できないことが判明したため、当該化粧品を自主回収する事に致しました。 危惧される具体的な健康被害 配合されているイミダゾリジニルウレアは、洗い流さない使用用途でも、欧米においては広く使用されているものでありますが、健康被害を生じる恐れがあることを完全には否定できません。 また現在までに、海外を含め健康被害の報告はありません。 コメント:最近は、規制緩和になって何でも出来るかのようになっていますが、事実上はいくつか規制が残っているのです。特に、防腐剤や色素、香料はアメリカと日本では規制が異なります。 フェイスパック 回収理由 弊社が輸入した当該化粧品中に、日本では「パック製品」に使用できない「イミダゾリジニルウレア(防腐剤)」が含まれていることが判明し、また一部の成分表記が異なっていたため当該化粧品を自主回収することにいたしました。 危惧される具体的な健康被害 配合成分である「イミダゾリジニルウレア(防腐剤)」は、欧米において通常使用されている成分でありますが、日本の化粧品基準においては配合が認められておりませんので、お客様の体質如何によって何らかの皮膚トラブルを招く恐れがあることを完全には否定できません。 また、当該成分以外の配合成分は、化粧品基準の範囲内であることが確認されております。 平成15年6月18日現在、現在まで皮膚障害などの苦情は頂いておりません。 コメント:先にあった回収例と同じですね。パッチテスト行う場合、日本人はアメリカ人に比べて敏感だという報告や事例があります。訴訟の国アメリカでOKなら日本で使っても安心・・・なんて法則は成り立ちません! 化粧品(効果:肌をなめらかにする) 回収理由 当該商品は化粧品の範囲を逸脱する効能(脱毛)が有ることが確認されたため。 危惧される具体的な健康被害 当該商品は、使用部位により体毛が抜ける可能性がありますが、現在まで健康被害の報告は受けていません。 コメント:基本的に化粧品は「はっきりした効果があってはいけない」と、薬事法で定められています。効果の高いモノはその副作用が懸念される訳です。毎日使う化粧品には副作用があってはいけないので、こういった規制があるのです。 逆に、医薬品は、毎日使う訳ではなく、症状が治まるまでの間なので、副作用があっても、効果がなくてはいけないのですね。その中間に、医薬部外品があるのです。 この「脱毛」とは、医薬部外品の分野になるので、化粧品としては駄目なのですね。 基礎化粧品 回収理由 ロット#7524におけるニコチン酸トコフェロールの配合量が試験結果により規定値を下回っているため、医薬部外品における効果が不十分になる恐れがありますので、販売先に報告すると共に当該ロット製品を自主回収することと致しました。 危惧される具体的な健康被害 有効成分の含有量が承認規格に満たない場合、期待される効果が得られない可能性がありますが、含有量は承認規格を大幅に下回るものではないため、重篤な健康被害を及ぼす可能性は少ないと考えられます。 なお、現在までに本件に関する健康被害の報告は一切受けておりません。 コメント:医薬部外品はその有効成分の濃度がしっかり決まっています。製造毎にちゃんとその濃度を測定しているのです。勿論、それが出来ない場合は、出荷できない訳です。 しかし、この回収の場合、出荷されているから回収なのですよね。と、いうことは、国がチェックして、違反であることを見つけた可能性があります。 国は、不適に市販の商品の有効成分を測定して、違反がないかチェックもしているのです。 入浴剤 回収理由 当該製品に配合されているメントールの量が、化粧品種別許可基準に掲げられていた分量である1%を超え、3%配合されており、またメントールを3%配合する化粧品の承認事例を当社で確認できなかったため、自主回収します。 危惧される具体的な健康被害 本品は入浴剤であり、使用時に約1万倍に希釈されるため健康被害はないと考えます。 現在までに健康被害の報告はありません。 コメント:これは配合濃度の上限を超えて添加した例ですね。先の医薬部外品の濃度と同じように、国からチェックが入って「ばれた」のでしょうね。 上限の決まっているのもは、パラベンなどの防腐剤以外にも幾つか存在します。 日本薬局方消毒用エタノール 回収理由 平成15年12月5日に東京都薬事監視員の立ち入りを受けた際、同日付にて日本薬局方消毒用エタノール(製造番号:ABF71)を収去され、東京都健康安全研究センターに試験されたところ、比重による含量が82.92%(日局規格は76.9%〜81.4%)と規格に合わないとの指摘を受けました。 平成16年1月9日、同センター研究員の技術的支援を受けた上で、在庫(保存サンプルも含め)のあった製品について、弊社試験室で再度試験を行った結果、日局規格に合わないものがありましたので、当該製造番号の製品について回収を実施することとなりました。 危惧される具体的な健康被害 日局規格の上限を超える濃度の一番高いもので、82.92vol%であり、日局規格の上限値より1.52%高いものでした。 通常エタノールの殺菌力は60〜90%の中で変わらないといわれていますので、当該製品による具体的な健康被害は考えにくく、また、現在までに当該製品に起因すると思われる健康被害に関する情報は受けておりません。 コメント:これはちょっと驚きました。こんなモノ(商品)も回収があるのですね。 ただ、このコメントで重要な情報があります。それは、「通常エタノールの殺菌力は60〜90%の中で変わらない」と、いうところです。 殺菌に用いるエタノールに数十%水を加えるのは、揮発してしまわないためです。100%エタノールは直ぐに揮発して、有効時間が足りないのですね。そこで、70%程度に薄めて使うのです。 ボトルの殺菌も100%エタノールよりも70%エタノールの方がいいですよ。 今回はここまでです。 2003年度の化粧品や医薬部外品の回収状況-後編 先に続き、003年度医薬品等の回収(クラスIII)に関する情報とコメントです。 と、その前に、最新情報です。 先にあげたクラスIIの回収情報も、今回のクラスIIIの回収情報も、医薬品機構のホームページから閲覧出来ます。 しかしながら、2005年の4月からは、各化粧品メーカーが自分のホームページを通して、回収の発表、報告を行うことになります。これを「市販後安全対策」といいます。 これは薬事法の改正に伴い、行われるようになるのですが、それに先駆けて、「ジュジュ化粧品」で3/18付けで自社品回収の報告をホームページを通じて行っています。br> 見たい人は、検索エンジンで「ジュジュ化粧品」でホーうページを見つけ、「アクアモイストピュアH100に関するお詫びとお知らせ」を開くと見つかると思います。 今回のジュジュ化粧品の回収は、ヒアルロン酸Na原液商品に「菌」が発生したことが原因です。 ジュジュ化粧品は、そのロットを早期に発表、菌も同定(その種類を判定すること)し、安全性やQ&Aも掲示しています。 実に敏速で、顧客のことを真剣に考えている企業だと思いました。 こういった商品の回収は、費用がかかるだけでなく、企業イメージのダウンを恐れて、ひた隠しにするメーカーも少なくありません。そのことからしても、ジュジュ化粧品は、商品や顧客を大切にしているのですね。 では、今回の本題に入りましょう。 先のクラスIIに比べて軽症な事故が多いです。クラスIIIでは、表示やロットのミスによる回収が一番多いですが、今回はその他の例をあげてみました。 頭髪用化粧品(トリートメントクリーム) 回収理由 当該商品には、変性アルコールが含有されておりますが、その表示がありませんでした。 危惧される具体的な健康被害 化粧品基準で配合可能な原料を使用していることから、健康被害のおそれはないものと思われます。 また、現在のところ健康被害等の報告はありません。 コメント:この場合、わざわざアルコールを添加した場合というよりも、植物エキスなどに含まれるエタノールの表示を書き忘れたパターンかなぁ?と、思いました。 全成分表示なってから、「センブリエキス」は、「センブリエキス、エタノール、水」と溶かしている溶媒の表示も必要になったのです。 因みに、これは日本独特の傾向です。欧米ではそこまで厳密ではないのですよねぇ〜。 シャンプー 回収理由 全成分表示に表示すべきサリチル酸の記載がもれていたため。 危惧される具体的な健康被害 内容成分については化粧品基準に適合しており健康被害は発生しないと考えられる。 コメント:単純なミスかなぁ?たまにあるみたいですね。 化粧品(効果:肌にツヤを与える。肌にハリを与える) 回収理由 当該製品の外箱に、化粧品の効能の範囲を逸脱した「メラニン生成を防ぎます」と表記していたため。 危惧される具体的な健康被害 本品に品質上の問題はありませんので健康被害を生じる恐れはありません。 また、これまで健康被害の報告はうけておりません。 コメント:これは、効果のある有効成分を入れた為に回収になったというよりも、表示上の宣伝文のミスですね。この他にも、化粧品では、美白とか育毛なんてコメントは表示してはいけないのです。 基礎化粧品 回収理由 本製品の成分表示欄に、配合されているステアリン酸グリセリルおよびステアリン酸ナトリウムの記載漏れが判明したため回収します。 危惧される具体的な健康被害 本製品は化粧品基準に基づき、配合可能な成分を用いて製造しておりますので、健康被害の恐れはありません。 また、現時点において健康被害の報告はうけておりません。 コメント:界面活性剤や乳化剤の場合、予め複数の原料が混ざっていて、「混合原料」になっている場合があるのです。こういった場合、表記漏れが起こる場合がありますね。いけない事なのですけどね。 洗浄基礎化粧品 回収理由 当該製品の表示に、化粧品としての効能の範囲を逸脱した、「除毛」に関する表現を記載したため。 危惧される具体的な健康被害 当該製品は品質上問題ありませんので、健康被害を生じる恐れはありません。 なお、現在までに健康被害が発生したとの報告は受けておりません。 コメント:これは、先にあった「メラニン生成を防ぎます」と書いて回収になったパターンと同じですね。除毛は医薬部外品の謳いなのです。 フェイスクリーム 回収理由 当該製品の容器の表示に、化粧品の効能の範囲を逸脱した「乾燥による小じわに」を表記していたため。 危惧される具体的な健康被害 当該製品は品質上の問題はないため健康被害を生じる恐れはありません。また、現在まで健康被害の報告は受けておりません。 コメント:これは先の部外品の謳いを表記したのとちょっと違うのです。 現在、部外品でも「シワ改善」は謳えません。シワに関する部外品有効成分はまだ決定していないです。ですから、美白のような効果効能をシワに対して、医薬部外品でも謳えないのです(まして、化粧品では駄目ですね)。 以上、チェックポイントでした。 こうした「ミス」を並べてみると、色んな疑問がまた沸いてきませんか? 白髪抑制剤の開発暦とエキス 発毛剤の開発には、まず、禿げ進行中の被験者を使わなくてはいけません。 白髪も同様です。白髪の改善を行うには、やはり白髪が発生していなくてはいけません。 某巨大S化粧品でも白髪の研究は行われていますが、この「白髪の被験者」を多く集めることが至難で、実際のところ実験の進行は難航状態だそうです。 そんな中、動物実験で白髪を確認する事例もあります。 マウスにストレスをかけるとある一定量の白髪が発生するそうです。ストレスとは、マウスを足場の立たない水槽にに放り込み泳がせ続けるというものです。これを水浸ストレスといいます。(ストレスとは体裁のいい言葉ですが、一種の虐待ですね) (予断になりますが、ライオンは、どのマウスを用いると白髪試験に向いているかで特許もとっています。) この水浸ストレスを用いた実験で、マウスの白髪の発生を抑えられたと、三省製薬という会社が、1996年6月日に報告しています。 白髪を改善した成分は、ジチオール誘導体・マロチラートという肝タンパク代謝改善作用を有する医薬品の成分です。 その後、資生堂の研究で、白髪の発生状態が報告されました(1999年11月11日)。それによりますと、 1:白髪の大部分は、毛根からメラノサイトが完全に消失している。 2:脱毛時に多くのメラノサイトが一緒に失われている。 3:毛乳頭がメラノサイトを誘引している。 などが分かりました。 そこで、資生堂は、改善の成分として、サンショウエキスをあげています。このサンショウエキスは、チロシナーゼ活性促進やメラノサイトの遊走促進に働くらしいです。 同じように白髪の発生システムを京都大学の西川氏と理化学研究所の大沢氏が解明。それによると、 1:髪を黒くする色素細胞が毛根の中ほどに集中すていること。 2:毛の生え変わる周期にあわせて、毛根の方に色素細胞の元となる細胞が集まってくること。 3:集まった元細胞は、毛乳頭付近で、色素細胞に変化すること。 を突き止めています。 白髪改善の効果があると、科学的なデータがあるのは、先にあげたサンショウエキス以外に、近畿大学は発表したトンガ産のコショウ科の植物(有効成分も確認されています)や、ライオンやポーラが発表したバラ科のサンザシ(山査子)やナリスが発表したルチン(そばに特有に含まれるポリフェノール)などがあります。 何れも、育毛と異なり、毛根の活力アップではなく、メラニン合成の促進を促す成分として選択されています。つまり、直接毛根に働く訳ではなく、メラノサイトとなる細胞に働く成分がいいと判断されているのですね。 また、これらのエキスを用いたローションを使って効果が現れるのはやはり3ヶ月はかかるようです。何れも0.5〜1%程度の濃度で確認しているようですよ。 ソフトな乳液(クリーム)の見分け方 乳液やクリームはご存知の通り、界面活性剤と水、オイルからなります。 肌質の健康な方が一般の乳液を使ってもなんら問題はないでしょう。しかし、日本人の自称敏感肌の方が50%を超える昨今、乳液(クリーム)の組成にも気を配りたいと思うものです。 乳液やクリームを作る界面活性剤は、基本的には、シャンプーやボディーシャンプー、石けんなどの界面活性剤とは異なります。イメージ的に一番違う点は、泡立たなく、より多くのオイルを抱える性質を持ちます。 主だった例をあげるなら、ステアリルアルコールやセタノールなどがよく配合されているでしょうか。説明によっては、乳化剤と言われる場合があります。この2つは何れも旧表示指定成分に指定されていた成分です。 世に、多くの乳液が存在して、それがソフトなものなのか、敏感肌の方のコトを本当に意識して作られているのか、判断に困りますよね。そんな時は、全成分表示をみて、上記のステアリルアルコールやセタノール及び、PG(プロピレングリコール)が含まれていないモノを選んでみましょう。 わたしもそうなのですが、処方を開発する側としてが、敏感肌やソフトを意識した時に、これらの成分は排除して処方組みします。また、逆に、使用感や効果を重視した場合は、これtらの成分は配合せざるえないトコもあります。(余談ですが、リンス中にステアリルアルコールの配合がなく、ベヘニルアルコールの配合になっているタイプもマイルドを意識しています) 次に、オイルの話です。 肌にいいオイルと悪いオイルがあります。オイルは基本的液状の脂肪酸みたいなものです。不飽和脂肪酸もオイルとして使われます。 不飽和脂肪酸(オレイン酸など)が皮膚上で長く存在すると皮膚のキメを悪化させるという報告を資生堂などが行っています。不飽和脂肪酸とは一般的に目にするタイプは先にあげたように、液状の脂肪酸です。オレイン酸以外にもリノール酸やリノレン酸もあります。 今回の報告は、オレイン酸を中心に取ったデータですので、リノール酸やγ-リノレン酸は別でしょう。なぜなら、アトピー肌の方には、リノール酸やγ-リノレン酸が有効であるという報告が多くあるからです。ボリジ油や月見草油、ローズヒップ油などが有名で しょう。 ただし、γ-リノレン酸を経口摂取して補う必要があるのは、高齢者やアトピー性皮膚炎の人の様に病的な状態にある人で、健康な人が、γ-リノレン酸を経口摂取しても何ら効果を示さないと言う報告もあります。それは、健康な人は、リノール酸からγ-リノレン酸を体内で作ることが出来るからです。 逆に言えば、アトピーの方の血中のリノレン酸濃度は低いという報告があり、やはり病的状態であるとおもわれます。幸い、γ-リノレン酸は、肌からの吸収も報告されていますので、活用してもいいでしょうね。 でも、リノール酸やγ-リノレン酸は酸化して、臭いが発生しますので、なかなか市販の乳液には配合されていません。たまに、配合があっても、量が非常に少なかったり、香料が配合されていたり・・・。 オイル原液では、塗りにくいし、ベタベタする・・・。 やはり、この手のモノを使うには、手作りかな? と、いうことで、次回は、手作りコスメで、乳液を作ってみましょう♪ 手作りコスメで、乳液を作ってみましょう♪ 手作り化粧品、楽しんでおられる方も多いでしょうね。 手作りできる化粧品の醍醐味は、自分で成分を調整出来ることです。 調節いっても、幾つかの意味があります。 「パラベンなどの表示指定成分フリーの化粧水が欲しい」、「荒れ肌なのでエタノール配合の化粧水は痛くて使えない」、「市販のモノよりも安価で有効性の高いモノを作りたい」などがありますね。 そこで、今回は、乳液(クリーム)の製造方法をちょこっとご紹介しましょう。 これまで、乳液やクリームは「界面活性剤と水とオイル」で出来ていることをご紹介してきました。また、そこで使われる界面活性剤の幾つかは、クレンジングクリームに使われるモノ類似系であることも紹介してきました。 手作り化粧品でクリームを作りたいと言う方は多いようです。その殆どの方は、ミツロウを使っておられるようです。ミツロウについては、今期の化粧品屋の独り言の「ミツロウの話」で触れています。 本来、ミツロウは、安全性も高く、抗菌性もある成分ですから有効利用したい原料の1つでしょう。また、アロマ系の方は、自作化粧品の紹介としてミツロウの話を1回は耳にしているようで、「クリームはミツロウを使って・・・」という固定観念があるようです。しかし、上手く作れないものですよね・・・(汗) 本来、クリームや乳液を使う理由は、油分の補給です。 単純に油分の補給だけなら、直接オイルを肌に塗るのも1つの方法です。 しかし、そんなことをしたら、べた付いて気持ち悪いと感じる方も多いでしょうね。 そこで、もっと潤った感じでオイルを補給する為の化粧品が乳液やクリームな訳です。 つまり、「気持ち良くオイルを肌に馴染ませる」ことが出来たら良い訳です。 そこで、今回、ご紹介したいのが、「界面活性剤を使わない、乳液(クリーム)」です。実際のところ、今回紹介する処方は、乳液とクリームの中間的な使用感になります。使用量も少なめの方が心地良いでしょう。 では、早速、処方紹介です。
処方1はシャパシャパなタイプです。処方2は濃厚な乳液というか柔らかいクリームタイプです。 この処方の発想は、「キサンタンガムのゲルにオイルを分散させる」という点です。 つまり、保湿成分とオイルでのみ出来ている処方になります。 また、エタノールは防腐の為に入れています。処方としては、冷蔵庫で1ヶ月近く保てるはずです。エタノールが嫌な方は、30%濃度までBGを入れるのも1つの手段です。同じくらいの保存力はあるでしょう。 しかし、今回は、パラベンなどの防腐剤が入っていない、また、加熱工程がないので、臭いや色が変化したら、直ぐに捨てて下さいね。鉄則です。 ではでは、作り方です。 処方1,処方2のどちらも、まずは、キサンタンガムにエタノールを加えます。更にグリセリンも加えよく攪拌します。処方1の場合、使うヒアルロン酸Naが粉体なら、この時に同時に入れて下さい。 次に、水にベタインや液状のヒアルロン酸Na水溶液を加えて下さい。 この水溶液を一気に、キサンタンガムの方に放り込みます。 そして(ココがコツなのですが)、一気に2分間は必死でかき混ぜて下さい。 すると、加熱しなくても奇麗なゲル状になります。 次に、そのゲル状のトコにオリーブオイルを入れて攪拌します。 この時、棒でかき混ぜるよりも、ビニール袋に入れて、手で揉むと非常に細かく攪拌できます(写真参照)。
キサンタンガムの濃度にゆとりを持たせているのは、購入したキサンタンガムによってゲル化の力が異るからです。 グリセリンやエタノール、オイルの濃度は、好みがあるので、紹介した%幅で調節して見て下さい。 因に、キサンタンガムは処方1では0.3%、処方2では0.8%が推奨です。 また、グリセリンは6%、エタノールは15%、オリーブオイルは8%が推奨です。 この他にも、オイルの種類やベタインの変わりに、エキスを入れるなどの工夫も可能です。 一度お験しあれ! 化粧品の使用期限 一般的な化粧品には、使用期限が書かれていません。使用期限を書く必要がない訳ではないのです。法律的には、「3年以上、その性状が変わらないモノは、使用期限を各必要なない」事とされているのです。 じゃぁ、トレンド的に、流行ってる化粧品は3年前にもう出来ていたのか?と、いうとそうではないです。 一般的な開発期間は、店頭販売系で半年〜1年、早いと3ヶ月ってのもあります。訪問販売系は、開発に何年も掛ける場合もあります。 この違いは、回転率です。 店頭販売モノの多くは、1年も経たない内に、リニューアルされる場合があります。裏表示の名称を見たら「○○シャンプーb」とか、「○○洗顔f」とかトングセラー商品に多いのですが、最後にアルファベットが付いている場合があります。何かトラブルが生じたら、名称を変更する・・・と、いった場合もありますが、大抵は、使用感に飽きがこないように、ちょっとずつ変化させているのです(宣伝文句も兼ねてです)。よく「○○エキスを配合しました!」と、いうのを聞いたことがあるでしょう。あれです。 一方、訪問販売は、一旦、上位のレディーさんやマザーさんが購入して、更に下の方に、その更に下に・・・と、売っていきます。すると、1つの商品の期間が非常に長く、リニューアルを短期で掛けられないのです。その分、効果性が高く、安定性の良い商品を作る必要がある訳です。 さて、化粧品の使用期限ですが、法的な視点からいきますと、使用期限の書いていない化粧品は未開封の場合、何れも3年保障です。開封後は、1〜3ヶ月で使い切るのがベストですね。 と、言っても、実際はどうか???以下、未開封の場合の話です。 基本的に、オイルの配合の高い商品は、製造日から1年以内が使用期限ですね。例えば、口紅やワックス、乳液などです。オイルの自己酸化もありますからね。引き出しの中に古い口紅を持っている方、多いのではないでしょうか?いつ買った忘れたような口紅は捨てた方がいいですよぉ。 逆に言えば、粉モノは強いです。ファンデーションや白粉、目元メイクの鉛筆型のタイプは、実際5年以上もちます。勿論、保存条件が悪いと、異臭がしたり、菌の発生が危惧されますが、しっかり保存していれば大方は大丈夫です。 パール入りのシャンプーやリンスは安定性がめちゃ高いと言い切れない部分がありますから、3年前のは止めましょう。1年が新鮮でいいんじゃないですかね?ホテルから持ち帰った袋入り(専門用語で四方(ヨンポウ)シールといいます。シカクシールじゃないです 笑)のシャンプーセットも、1年経ったら捨てましょうね。そういえば、リンスを衣類の洗濯の柔軟剤に使うって人がいました。実際、使えますが、香料が入っていますから・・・どんなもんでしょうか? 化粧水は、最も厳密に作られる商品の1つです。大手なら未開封で3年は保障できます。 大手といったのは、聞いたことのない化粧品屋の中には、安定性をちゃんとみてない場合もあるからです。化粧水を作るだけなら簡単です。長く安定させるが難しいのです。例えば、ビタミンC系を単純に化粧水に配合した場合、安定性が崩れる場合があります。それでも出してしまう粗悪な商品も確かに出回っているからです。 化粧品以外にも、グリセリンやBG,エタノールをお持ちの方もいるでしょう。粉モノの原料を持っている方も多いかな?これらの原料は、保存さえちゃんとしていたら、半永久的にもちます。グリセリンやBGは腐ることはないのです。ただ、扱いが悪く、水滴が入ったり、埃が入ったりしたら、その水や埃が腐ります。結果として、グリセリン全体が菌に侵されるのです。 オイルの単体は、購入して直ぐに小分けして、冷凍庫に入れてしまいましょう。数ヶ月は大丈夫です。 でも一旦解凍したオイルは、再び凍らせないで、1ヶ月以内に使い切りましょう。オイルは生ものですからね。冷凍食品を凍らせて、解凍して、また凍らせる・・・って、しませんでしょ。 (専門的な細かい話をしますと、一旦凍られたオイルは、溶かしても気温より低い温度で開封していまう場合が多いのです。そうすると、大気中の水分がオイル表面に付きます(冷たいコップに露が付くのと同じ理由です。)。オイルにわずかでも水分が入ると、急速に酸化が進みます。ですから、2回凍らせる事は素人さんは止めましょう。我々プロは、ドライボックスで室温に戻るまで置いてから開封します。) 開封、未開封に関わらず、化粧品も原料も、基本姿勢は、色が変わったり、臭いが変わったらアウトです。肌の為に、惜しみなく捨てましょうね。 また、開封して使ってしまった化粧品は、先に書いたように、3ヶ月が使用限度です。勿体なくても捨てましょうね。 雑貨と化粧品の違い 最近、化粧品原料などもネットで入手が可能になってきていますよね。便利だと思います。しかし、その反面、チェックしなくてはいけないコトもあります。 手作り化粧品を作りたい方は、「自分の楽しみとして」という方以外にも「もっとやさしい原料の化粧品を!」という方も多いでしょう。パラベンお初めとした旧表示指定成分を好まれない方が多いことからも察することが出来ます。 ご存知の通り、化粧品は全成分表示が法的に義務づけられています。しかし、その反面、「雑貨」は野放し状態と言わざる得ません。 「化粧品の様な雑貨」としては、化粧品の製造販売業の許可を持たない会社(個人)の作っている手作り石けんなどです。雑貨の石けんは、基本的にヒトの体を洗う為のモノではなく、台所洗剤扱いです。つまり、「ヒトの体に使っても、それは勝手ですが、トラブルや肌荒れが生じても何の保証もないです」ってモノなのです。 手作り化粧品として作られる化粧水も同じです。法的には、自分で作って、自分で使う限りは、化粧品だろうが医薬品だろうが作っても問題はないのです。しかし、ソレが無料で配付したモノであれ、他人ではなく自分の家族に渡した場合であれ、自分以外のヒトに渡すことは、違法になります。場合によっては、法的処置を受ける場合もあるのです。 最近は、手作り化粧品の原料を「雑貨」として販売しだしています。しかし、「雑貨」には「全成分表示の義務」がありません。ですから、その商品中に、パラベンが入っていても、その成分そのものが旧表示指定成分であってもお構いなしなのです。 特に、「植物由来」という表示をチラつかせ、その反面商品の成分を表記していない商品が多いようです。勿論、法的義務はない訳ですから、何ら問題のない行為のように思われます。しかし、「植物性」=「安全・安心」という消費者の勝手なイメージをついた商品戦略だとしか思えません。植物由来原料であっても、旧表示指定成分であるモノは多くあります。セタノールやステアリルアルコールがそうです。 また、「植物由来なら石油由来でない」と、勝手に想像してしまっている方は多くないでしょうか? 成分の一部が植物由来であり、その他の部分は石油由来っていう合成原料が非常に多いのです。特に、界面活性剤や乳化剤に多いです。旧名称で「ポリオキシ」とか「アクリル」とかいう名称が入っているモノは石油由来の部分を多分に持ちます。 例えば「ポリソルベート80」などという成分は、「モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)」という名称でも知られています。この「モノ」とは「1つ」という意味で、「モノオレイン酸」とは、「オレイン酸という脂肪酸が1つあります」という意味です。「ソルビタン」とはソルビトールという糖の一種です。問題は、「ポリオキシエチレン」の部分です。これはバリバリ石油系の成分です。「(20E.O.)」とうのは、この石油系の部分が20個存在していることを意味します。でもこの原料もその内容を表記せずに「植物由来の原料」という表現が雑貨では可能なのです。 法的な義務と、消費者が求める点は異ります。不明瞭な商品は、その成分が何なのかメーカーに問いあわせてから入手するといいでしょうね。 ヘアスプレーの変化 ここ数年、ヘアスプレーの売り上げが急激に減少しています。 その理由として考えれられたのが、消費者のニーズの移行でしょう。 嘗て、ヘアスプレーは、髪のセット剤として生まれました。今も、多くの方がそのイメージを持っているのではないでしょうか。 ヘアスプレーは、以前は「スタイリングの仕上げにスプレーして、髪を固める」という効果の他に、消費者自身の行動として、「セット後は髪を触らない」という暗黙の了解があったのです。 しかし、ここ最近、「セット後も髪を触る」方が多くなっているようです。 ここに花王さんが行われた「ヘアスプレーの使用を中止した主な理由」についてのアンケート結果を一部紹介しましょう。
「白い粉が出る」という回答は、セット後に櫛を通したり指でいじったりした時に生じるセット剤の粉のことのようです。 そこで、最近ではセット剤の機能も変化してきました。以前までの「固める」効果中心だったカルボキシルビニルポリマーから、「もっと柔軟性と自然な風合い」を持たせたアクリル系のポリマーにシリコンを付けたタイプに代わってきています。 ヘアスプレーを開発するにあたり、当然、セット力への配慮は必要ですが、最近は柔軟性を持たせることが大切になってきました。また、長時間コートする力も必要です。しかし、その反面で開発者側にも少し難問が問われます。それは「洗い」の問題です。 セット剤の最も開発で考慮しなくてはいけないのは、洗髪時にしっかり落ちること。シリコンは場合によってはビルド作用(どんどん重なって層状に厚みを持つ性質)があるので、そこのところの調節が必要です。 しっかりコート、でも柔軟に、でもって、洗髪時にはきれいに洗い流せる・・・。 ですから、商品の開発には、その処方力以外に、如何に使うかの情報提供が重要なのですよね。 泡と洗浄力 最近、泡で洗う、泡の洗浄を謳っている洗顔料やシャンプーが多いですね。 顔やボディーなどは、タオルや道具で洗うよりも、手や泡で洗う方が肌にソフトなのです。 ソフトという理由として、「手や泡の方が摩擦が少なくて肌に負担が少ない」、「泡立てるということは、希釈することになるので、泡立てることで、高濃度の洗浄剤が肌に付かない。だからソフト」の2つが大きな理由です。ですから、泡立てネットなどで泡立てて、その泡で洗うことは非常に意味のあることなのです。 しかし、ここのところ、「細かい泡で洗浄」の理由として、「泡が細かい(泡立つ)=洗浄力がある」と、錯覚させる宣伝を目にします。細かい泡が毛穴の中に入ることで洗浄力をあげているようなことをイメージさせる宣伝の多くなったことか! はっきり言って、洗浄力と泡立つかは全く別の話なのです。 洗顔で、泡を細かくクリーミーにさせる方法の1つは、界面活性剤中に高分子を混ぜる方法です。他には、界面活性剤そのものの性質もありますし、複数の界面活性剤を組み合わせることでクリーミーな泡を作ります。 しかし、それと洗浄力は全く別の話。 処方を組む側の思考としては、「泡は○○と○○で、こんな感じにしよう。脱脂力(洗浄力)は、△△と△△でこのくらいの強さにしよう」と、2つの機構を組み合わせて商品化します。 また、ツッパリ感などは、ノニオン界面活性剤をどのくらい入れるか、界面活性剤の塩の種類をNaにするかKにするかとか・・・。これまた、ツッパリ感と洗浄力も直接の関係はないのです。 洗顔後突っ張るのは、洗顔の後、水道水で洗う際に、水道水中に含まれる金属イオンによって、石けんが水に溶けない金属石けんというものに変わり、それが肌に付着するからです。石けんシャンプーで髪がきしむのも同じ原理です。 我々のような研究室には、金属イオンを全く含まない水が蛇口からでます。その水のことを純水とかイオン交換水とかいいます。バッテリーに入れる水やコンタクトの洗浄に使う水と同じタイプです。 その水で、石けんシャンプーをすすぐと、全くきしみません。これは、金属石けんにならないので髪がきしまないのです(洗顔も同じです)。 ただ、脱脂力が強いと、肌が乾燥して、「乾いた感じ=ツッパリ感」と思われる方も多いので、多分にハズレではないのですが・・・。 洗浄力と泡立ちは全く関係ない。洗浄力とツッパリ感は、必ずしも関係はない。と、思って下さい。 |