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医薬品原料の化粧品への配合
2007年5月現在、化粧品原料の配合上限は、ネガティブリスト、ポジティブリストで規制されている以外は、自由だと思っている方が多いのではないでしょうか?しかし、実際は、そんなコトはなくて、旧粧配規の上限を基準としている場合が殆どでした。
しかし、2007年5月24日に「薬食審査発第0524001号」という通知が出されました。内容は、「医薬品原料扱いだけど、化粧品にも配合していい原料の記載と、その配合上限の例」です。
具体的に、そこには、オレンジ油やグリチルリチン酸ジカリウム、パントテニルアルコール、メントール、グリチルリチン酸、イオウ、アラントインなど33種が記載されています。
これは、過去の実際に使用された濃度の例に基づき、その配合量までの使用許可であり、且つ、それ以上の配合を行う際には、使用承認の前例の提示を必要とする旨となっています。
簡単に言うと、「政府で調査した結果、別表記載の濃度までの使用例があったので、その濃度までなら、化粧品として配合してOkだよ!」それから、「もっと配合したいなら、過去の事例を持ってきな!」って感じです。
例えば、旧粧配規では、グリチルリチン酸ジカリウムの塗り切りの配合上限は、0.3%でしたが、今回の通知で、0.5%にアップしています。D-パントテニルアルコールの塗り切りの配合上限は、1.0%でしたが、この通知で3.0%までアップ。DL-パントテニルアルコールなどは、1.0%から8.0%にアップしています。
また、イオウもこの通知ではれて、化粧品への配合が簡便となりました(配合上限1.68%ただし、唇や目元への使用は不可)。
ちょっと面白かったのは、医薬品成分に該当しないと判断された成分に、「レモン油、ローズ油、レチノール」が上げられているコトです。オレンジ油だけが医薬品扱いだったのですかね?チンピ系からの考えからかなぁ?(チンピはオレンジ皮由来ですからね。でも、有効成分は、ヘスペリジンとかシネフリンだとかなんですけどね)。
ただ、この通知、表現が難解で・・・、細かい理解に誤差がでそうに思います(汗)
ケミカルヘンナにご注意
ネットにて、ヘンナによる白髪染めで頭皮トラブルが生じている旨の記事がありました。
以下、H19.6.7 読売新聞のネット記事です。
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植物染料「ヘナ」を配合している白髪染め商品で、皮膚炎などの原因となる化学物質を含み、医薬部外品としての承認を受ける必要があるにもかかわらず、未承認で販売されている商品のあることが6日、国民生活センターの商品テストで分かった。
同センターは「薬事法に抵触する商品」として、業界団体に販売中止を、厚生労働省に指導の徹底を要望した。
同センターは今年1〜4月、「ヘナ配合の白髪染めを使ったところ、頭に湿疹(しっしん)やかゆみが出た」という消費者からの相談を受け、「ケミカルヘナ」「真っ黒に染まる」などと表示されているヘナ配合の白髪染め商品7銘柄を調べた。
その結果、すべてに、パラフェニレンジアミンという酸化染料が含まれ、薬事法上、医薬部外品としての承認を受けなければならないものだった。
以上
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この記事を見ると、ヘンナが医薬部外品として売られていたように見えたりもしますが、恐らく、雑貨なのに医薬部外品でしか謳えない「毛染め」を謳っていたのでしょうね。
髪を傷めず染めたい!その為には、化学製品よりも自然な植物成分がマイルドでいい!
そんな気持ちからヘンナを使用されている方が多いのではないでしょうか。
ヘンナはネットで少々調べると色々な情報が入ってきます。しかし、必ずしも皆がネットでの情報入手に心がけている訳ではありません。友人や店などを信じて使用されているのでしょう。
基本的にヘンナは赤茶色に染まります。黒く染まるコトはありません。黒く染める為には、鉄や化学成分が入っています。さて、今回問題になったケミカルヘナ!原因は、含有していたパラフェニレンジアミンだそうですね。
ちょっと、パラフェニレンジアミンについて、カキコしておきましょう。
パラフェニレンジアミンは、白髪の永久染毛剤の1液に0.5〜24%入っています。
別名では、ジアミノベンゼン、パラミン、p-ジアミノベンゼンとも言われます。
略号ではPPDです。ネットの情報ではこのPPDで呼ばれる場合が多いですね(だって名前長いですからね 笑)
パラフェニレンジアミンは、酸化染 料の原料となり、毛皮や毛髪を黒く染める。またアゾ染料や硫化染料の中間物になります。皮膚に触れると炎症を起こすコトがあります。
成人経口(推定)致死量:10gと言われています。ラットによるLD50値は8.0mg/kgです。
LD50とは、どのくらいの量を食べさせたら半数のネズミが死ぬかって量で、急性毒性の値になり、この値が高い程、安全♪ってコトになります。因に、メチルパラベンのLD50は、8.0g/kg以上(マウス)になります。まぁ、ラットとマウスの差がありますが、パラフェニレンジアミンは、メチルパラベンよりも1000倍以上毒性が高いってコトですね。
ヘアカラーの原料で、身近な存在であったコト、皮膚や肺から速やかに吸収されるコトから小説などでは、殺人の道具(毒)に用いられたりします。
とはいえ、医薬部外品で、きちんとした量と使い方を守ればちゃんと、使用可能な原料です。
ケミカルヘナや小説などの話題などで悪名が上がって、過敏に怖いモノ扱いされるのは、心苦しいですね(まぁ、肌には良くないので、頭皮に付けずに使って頂くに超したコトはない原料ですけどね)
まつ毛について
まつ毛についての悩みをお持ちの方も多いようですね。
今回は、そのまつ毛の生理現象のお話です。
通常、ヒトの頭髪は、男性で4年、女性で6年伸び続け、その後、一旦抜けて休みに入ります。この休みを休止期と言います。そして、伸びていた時期を成長期と言います。頭髪の場合、休止期は(健康なヒトで)3ヶ月と言われます。
まつ毛にも、同じ様に毛の伸びる時期と、休みになって毛の無い時期があります。
まつ毛の場合、伸びる期間は、40日と言われています。一方、休止期(生えない時期)は80日らしいです。合計で、120日周期で生えたり、抜けたりしているのですね。
因に、頭髪は、男性ホルモンリッチの条件で抜けます。一方、ヒゲは、男性ホルモンリッチで生えます!(ドーッピングなどしたら女性でもヒゲが生えたりしますよ)。
では、まつ毛や眉毛は?どうなのでしょうか?
基本的には、まつ毛や眉毛は男性ホルモンの影響かにないとされています。因に、まつ毛の1/3が薄い方がいますよね。そこの部分は、甲状腺ホルモンの影響下にあるのです。
データはないですが、まつ毛も眉毛も毛周期は同じ感じなら、眉毛を抜いたら・・・80日は復活しないってコトでしょうかね?
天然成分だけで化粧品をつくるコトはできないのか?−1
<合成原料は危険なのか?>
自然派化粧品とまではいかなくても、自然志向は化粧品の業界に根強くありますよね。
合成モノが悪としてもなお多くの化粧品原料が生まれてきます。
ロハスという考えもあり、「天然成分だけで化粧品をつくるコトはできないのか?」という発想から、素人の方が「手作り化粧品」を造っていますよね。
「じゃぁ、プロなんだから、天然成分だけで化粧品をつくるコトはできないのか?」
ってなりませんか?(汗)そこで、今回は、その辺のお話をしたいと思います。
まず、その話に入る前に、そもそも論として「合成原料は危険なのか?」、「天然成分の化粧品原料はあるのか?」という点をお話しましょうか。
一般的に天然成分と言われるモノは「石油由来成分を含まない」または、「石油由来でない成分」を意味するコトが多いですね。
ちょっと、具体的に見てみましょうか。
例えば、コハク酸とかアラントインなどは、天然界に存在する成分です。
しかし、化粧品原料として販売されているモノのほぼ全ては合成で作られます。
その理由は2つあります。
1)天然成分からの抽出、精製するには量が少なく、販売価格に合わない。
2)合成品の方が不純物が少なく、刺激性などは低い。
が理由です。主に、1)が大きな理由でしょうね。
植物や動物、昆虫から抽出されたという成分は、それが石油由来から同じモノを作られても、その成分自体の安全性や効果は違いがありません。違ってくるのは、上記の理由の2)です。そう、そこに含まれる不純物なのです。
且つて、石油由来で有名な原料に「ミネラルオイル」があります。昔の名称では「低比重流動パラフィン(1)」とか「低比重流動パラフィン(2)」、「流動パラフィン」と呼ばれていた成分です。
今では、ミネラルオイルはベビーオイルの主原料として使われる程、安全性の高い原料になっていますが、その昔は、「安い」コトを理由に工業用原料や精製の低い原料が使用され、その結果、そこに含まれていた「不純物」によって肌トラブルが生じて、「ミネラルオイルなどの鉱物油は肌に悪い!」と言われてしまった時代がありました。まぁ、携帯電話が今のように普及する前の時代の話ですけどね。
このように、「怖いのは不純物」なのです。
化粧品原料メーカーも処方担当者も最も危惧るのは「不純物の多さ」なのです。
例えば、グリセリンです。
今現在、日本の化粧品に使用されているグリセリンの90%以上は、植物由来です。且つてはウシ由来のグリセリンが主流でしたが、狂牛病の問題で今は植物由来になっています。
しかし、極一部には合成のグリセリンが使用されています。
一般的に「合成グリセリン」は「医薬品の分野」で使用されています。医薬分野で合成グリセリンが使用される理由は「不純物の少ないコト」が理由です。
最近では、合成しかなかったBG(1,3-ブチレングリコール)が発酵法で作られるようになりました。しかし、問題が残っています。それは「不純物」です。発酵法で生じる不純物も刺激につながる場合があります。例えば、ヒアルロン酸Naは天然由来(鶏トサカ由来)のモノと発酵法(俗にいうバイオタイプ)がありますが、長い間バイオヒアルロン酸は医薬品として使用で来ませんでした。それは、発酵時に使用した菌や培養液由来の不純物が原因です(トサカ由来のは使用できていました)。
このように、合成、天然ではなくて、そこに含まれる不純物が本来大きな問題になるのです。
ジエチレングリコールの話
中国産のグリセリン原料を使用した練り歯磨きによって死者がでています。原因は、中国製のグリセリンにジエチレングリコールが含有していたコトです。
これを危惧し、日本の厚生労働省も、化粧品製造業者に練り歯磨きの製造に於いてジエチレングリコールが含有していないか確認するように通達を出しています。
さて、なぜ、練り歯磨きにジエチレングリコールが含有していたのか?簡便にまとめると下記の通りです。
中国の会社2社が、約24%のジエチレングリコールを含んでいる物を、99.5%の純粋なグリセリンとうたって販売しました。その際に、ラベルも分析証明書も偽装しました。購入した海外の会社は、そのラベル及び分析証明書からグリセリンと思い込み(当然ですが)グリセリンとして練り歯磨き粉の原料に使用しました。その結果、パナマにて死者の出る自体が発生しました。
このジエチレングリコール。どうしてグリセリンに入っていて気づかなかったのでしょうか?そもそもジエチレングリコールって何なのでしょうか?
まずは、グリセリンの話からです。グリセリンは、粘度の高い透明な液体で、ちょっと甘みがあります。このジエチレングリコールも粘度のある透明な液体で甘みがあるのです。ようは、そっくりなんです。
また、元々、「工業用グリセリン」としてジエチレングリコールを含有したモノが使用されいる実績もあります。
では、ジエチレングリコールとはどんなモノなのでしょうか?
急性毒性は、 LD50 >2000 mg/kg (ラット)というデータがあります。また、14,800 mg/kg(経口、ラット)という値もあります。何れにしてもこの値は「低毒性」を示します。実際に、ジエチレングリコールは、溶剤、粘度低下剤として化粧品への配合が可能ですし、旧表示指定成分でもありません。
低毒性なのに食べたら死ぬの?
と、思いますよね。このジエチレングリコールは甘味であって致死量まで「食べるコトが可能」なんです。
また、他の毒性を見てみると、
皮膚腐食性:腐食性なし
皮膚刺激性:弱い刺激性あり
眼刺激性: 弱い刺激性あり
だそうです。しかし、実際に問題なのは・・・
このジエチレングリコールの急性毒性は、ヒトに対しての方が厳しいのです。
つまり、ラットの場合 LD50 >2000 mg/kgですが、ヒトの場合、1000mg/kgなのです。
瑠璃香でも使用しているグリセリンに対して、ジエチレングリコールの含有がないか調査を行っています(結果は当然シロですが)。
しかし、原料のボトルのラベルもその成績書も偽造されては、製造業者側としては頭を抱えざるえませんね。
天然成分だけで化粧品をつくるコトはできないのか?−2
<そもそも天然成分の化粧品原料はあるのか?>天然成分だけで化粧品を作るコトができるのか?という問いに答える前に、そもそも天然成分の化粧品原料はあるのか?というお話が必要です。
自然や天然という定義は非常に曖昧で、コト化粧品に於いては、自然派化粧品などその定義はありません。各社独自の考えで「自分のトコは自然派だ!」と主張しています。
さて、話を戻しましょう。
天然原料というモノの定義として、以下のようなコトに天然原料の定義付けをしてみました。
1)その成分は天然界に存在するコト
2)合成でも作れるが、石油由来物はその限りに入れない
3)その成分が1)の定義に合うモノで、水素付加や加水分解などの処理物は可とする
4)菌を使った発酵法で作り出した場合は、天然物とする
5)発酵法に用いた菌はDNA操作されたモノも可とする
と、しましょう。おそらく、この1〜5の定義全てを満たした成分を天然原料(天然成分、天然物)とするコトがより現実的な成分選びになると思います。
具体的に見てみましょうか。
例えば、エタノール。日本に於いて、薬局などで手に入る日局エタノールは上記の1〜5の定義に合います。つまり、発酵法で製造されます。ここでエタノールをまず取り上げたコトには理由があります。そう、多くの植物エキスの抽出液がエタノール抽出液だからです。
少し昔、そう、携帯電話が出始めのコロは、植物エキスに使用されるエタノールは合成系もありました。しかし、今現在、植物エキスに使用されるエタノールは、発酵法のモノを使用します。まぁ、その背景には、アルコール法の改正によって、安価な発酵アルコールが出回ったコトが理由の1つにもありまあす。
さて、次にオタネニンジンエキスを考えてみましょうか。
オタネニンジンは、本来野草です。しかし、オタネニンジンエキスは多くの化粧品に配合されていますよね。そんなに野草のオタネニンジンが入手できるはずもありません。今のオタネニンジンのほぼ全ては畑で栽培されたモノです。
この「畑で栽培」が重要になります。オタネニンジンの葉には虫が付きやすいのです。そので農薬が使われます。そして問題になるのが「残留農薬」の話になります。
いくら天然成分でも、農薬が残留していては何の意味もありません。そこで、日本の化粧品原料メーカーの多くは、契約農家のオタネニンジンを使用したり、そこまでしなくても、残留農薬の確認をした上で化粧品原料に加工します。それは、粧原基や日局に「ヒ素、重金属の含有の確認項目」があるからではなく、化粧品製造メーカーも原料メーカーもそういった「ややこしいモノ」を使用して一時的な利益をむさぼっても、会社を維持できないコトを重々知っていて、誠実に、いい品質のモノを扱うコトに競争を見いだしているからです。
化粧品の悪く(怖く)言って、売り出している本が多くありますが、こういった化粧品原料メーカーや製造メーカーの本当のトコは目をつぶって本にしています。まぁ、その方が売れるのでしょうね。
次に、消炎成分で有名なグリチルリチン酸2Kなどの起源となる漢方植物の甘草の場合をお話しましょう。甘草は、畑で育てると幹は太くなりますが、その中の成分(グリチルリチン酸等)の量は減ってしまいます。甘草は環境が過酷な野草でないとグリチルリチン酸の含有が低いのです。
そこで、化粧品原料メーカーは広大な土地を「畑」として、野草の甘草を育てています。「野草を育てる」と言うと変ですかね?では、ご説明しましょう。
ます、甘草の生えるA〜Eの土地を買って、今年はAの土地の野生の甘草を採取し、次の年はBの土地の甘草を採取し、AやC、D、Eの土地の甘草は休めます。このようにすると1つの土地は5年毎に採取するコトになり、5年モノの甘草を毎年入手可能となります。林業や松茸山の管理をご存知の方はイメージが湧きやすいかもしれませんね。
まぁ、その為には、非常に大きい土地は必要であって、費用も沢山掛かります。それでも、天然に拘ってグリチルリチン酸2Kは製造されているのです。
次に、スクワランと水添レシチンのお話をしましょう。
化粧品原料にあるスクワランは天然由来です。そう、「由来」なのです。その起源は、サメやオリーブ油に含まれる「スクワレン」という成分です。名前も似ていますが、構造もそっくりで、スクワレンとスクワランの違いは、「二重結合」という不安定な部分があるかどうかです(二重結合があるのがスクワレンの方です)。
化粧品原料としては、不安定なモノは困る場合が多いので、スクワレンを安定型のスクワランにする為に、不安定な部分に水素を結合させます。これを「水素添加=水添」と言います。
スクワランはスクワレンを水添という化学修飾したモノですから、合成だ!と言う方もいます。しかし、スクワランは天然界に通常に存在します。つまり、わたしは、
スクワレンという天然成分を水添処理して生まれたスクワランも、元々天然界にあるモノなのですから「天然成分」に分類しよう!
と、言っています。それが定義の「3」です。だって、本当にスクワランは天然界に存在する構造物なのですから。
同じように、水添レシチンもそうです。
レシチンは大豆や鶏卵から精製される成分ですが、不安定な「二重結合」があるので、水添処理されて作られます。しかし、水添レシチンの構造物は、生体内に存在するので、水添レシチンも天然成分と言えると思います。
このように、化粧品原料と言っても天然成分は多く存在するのです。
次回は「界面活性剤に天然成分のモノはあるのか?」のお話をしましょう。
天然成分だけで化粧品をつくるコトはできないのか?−3
<界面活性剤に天然成分のモノはあるのか?>前回お話しましたように、天然成分の条件を、
1)その成分は天然界に存在するコト
2)合成でも作れるが、石油由来物はその限りに入れない
3)その成分が1)の定義に合うモノで、水素付加や加水分解などの処理物は可とする
4)菌を使った発酵法で作り出した場合は、天然物とする
5)発酵法に用いた菌はDNA操作されたモノも可とする
とした場合、植物エキスなど、化粧品原料にも天然成分と言えるモノが沢山あります。
では、化粧品に使われる界面活性剤はどうでしょうか?
例えば、石けんです。
石けんは、脂肪酸とアルカリ(水酸化Naや水酸化Kやアルギニンなど)の中和で作られます。
脂肪酸は当然、天然界にあります。その昔は、ウシやクジラ由来の脂肪酸が多かったですが、今はほぼ100%ヤシ由来でしょう。
一方、水酸化Naはどうでしょうか?
日本の場合、海が周りにありますので、海水由来の水酸化Naも多くあります。電解法で生産されますから、・・・天然なのか?
しかし、天然界に水酸化Naという構造で存在するコトは極端な条件を除きありません。ですから、水酸化Naはやはり合成物になるのでしょうね。
また、アルギニンは発酵法がありますから天然成分です。
では、アルギニンで中和した石けん(アルギニン石けん)は天然物でしょうか?
いえいえ、通常、天然界にアルギニン石けんという構造物が存在するコトはありません。ですから、石けんは天然物ではありません。
同じように、ココイルグルタミン酸KやココイルアルギニンエチルPCAなどのアミノ酸系界面活性剤も、合成物になります。当然、ラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Naも合成物ですね。
では、天然界に界面活性剤はないのでしょうか?
いえいえ、微妙に存在します。
例えば、サポニンやレシチンがそうです。
サポニンはオタネニンジンエキスやキラヤエキスなどに多く含まれます。レシチンは大豆や鶏卵由来のモノがあります。しかし、サポニンもレシチンも極々少量の油性の成分を乳化できるに過ぎず、髪は肌の垢や汚れを除去するレベルには達しません。
結果からすると、天然成分だけで化粧品を作るなら、化粧水や美容液は可能ですが、シャンプーや洗顔フォーム、固形石鹸は不可能というコトになりますね。
>天然成分だけで化粧品をつくるコトはできないのか?−4
<天然植物エキスは有効か?>では、早速、天然成分だけで化粧水を造ってみましょう。
植物エキスを主体にしてみましょうか。例えば、オタネニンジンエキスやビワ葉エキス、グレープフルーツ果実エキスを選んでみましょうか。
多くの植物エキスは、元々は、漢方の世界で使われていたとか、民間治療の経験から美容エキスとして選ばれました。しかし、それは、携帯電話がまだ世に一般化していなかった時代の話です。今現在、そういった「イメージ」だけでは商品へ採用してもらえない時代になっています。
例えば、オタネニンジンエキスは、細胞作用が謳われます。エキスには多くの成分が入っていますが、オタネニンジンの場合、その有効成分としてジンセノサイドRg1若しくはサポニンなどが確認されています。正確には、確認ではなく、「規格」として、ジンセノサイドRg1の確認やサポニン量の確認がされています。このように、植物エキスもその中の有効成分が確認されていて、その成分が入っているかどうか規格が設けられているのです。
また、ビワ葉エキスなどは、コロソリン酸が有効成分として、このビワ葉エキスが細胞にどう働き掛けるか遺伝子レベルで機能性が確認されています。具体的には、ヒト由来の細胞を培養し、そこにビワ葉エキスを添加し、細胞の中で遺伝子的に何が発現したかをPCRという機械を用いて解析します(PCRは、発言したRNAを確認できる機器です)。2007年では、植物エキス1つとっても、その機能性を確認するのは、昔(携帯電話が一般化していなかった時代)とは随分違うのです。
次いで、グレープルツ果実エキスなどは、抗炎症作用が謳われます。昔は、荒れ肌に塗布してそれが如何に改善されたか、赤くなった肌がどう改善されたかを写真などで確認しました。しかし、今は、抗炎症にも様々なモノがあるコトが分かり、データも細分化しています。例えば、グレープルツ果実エキスの場合、抗炎症効果を確認する為に、ヒアルロニダーゼ活性阻害やヒスタミンの分泌抑制などを培養細胞を用いて確認しています。
未だに肌バリアがあって「肌からは植物エキスは浸透しない」と昔の情報にしがみついている古い評論家や大学教授がいます。そういった方々は既にいい歳になっていて、今のエキスの効能を確認方法(上記参照)や三次元培養を用いての浸透性の確認など新しい技術の知識が乏しい場合があります。
勿論、化粧品は商品ですから、売れなくてはいけません。その為には、「本気濃度で配合されたエキス」と「イメージアップや話題性のコトだけを考えて配合するエキス」の2通りがあります。つまり、「中身」と「リボン」にあたるエキスが混合されて入っているのです。体感できる効果がそのまま謳いの成分とは限らないのが実際ですけどね。
天然成分だけで化粧品をつくるコトはできないのか?−5
<表示指定成分とは>天然成分で化粧品を作りたい!と、思うの気持ちは、「表示指定成分などの刺激のある成分を配合したくない!」と、いう気持ちが見え隠れします。
表示指定成分とは(今は、もうないので、正確には「旧表示指定成分」ですが・・・)、メチルパラベンやEDTA-2Na、EDTA-4Na、ラウレス硫酸Na、ラウレス硫酸アンモニウム、セタノール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコールなどが有名ですね。
表示指定成分とはいったいどんなモノだったのでしょうか?
基本的には、「特定のヒトには刺激を感じる場合がある成分」です。しかし、具体的に上げた上記の成分は、非常に多くの化粧品に配合されていますね。
なぜ、こういった成分は多く配合されているのでしょうか?
それは、「機能性が優れているからです。」と、言うと「安全性は無視か?!」と怒られる方もいるでしょう。しかし、表示指定成分は、わたしから見れば、化粧品原料の中で、最も早い時期に安全性について調査、分析確認された成分だと言えると思います。
例えば、メチルパラベンの場合、非常に少量(例えば、0.1〜0.2%程度)で大腸菌(グラム陰性菌)やブドウ球菌(グラム陽性菌)、酵母菌、カビなど多くの種に対応可能です。
これを天然成分のローズマリーエキスやグレープフルーツ種子エキス、ファルネソールで考えると、大腸菌には効きますが、ブドウ球菌やカビには効果が低かったりします。しかも、配合濃度は、原料として数%配合の必要があります。臭いや残留農薬の危惧も残ります。万能じゃないのですよね。
セタノール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコールは乳液の為の乳化剤なのですが、基剤の安定性と使用感としは抜群です。また、何れも植物由来です。確かに表示指定成分ですが、実際にこの成分にアレルギーが出たってヒトは、殆どありません(まぁ、配合濃度も配慮されていますからね)。
こういった表示指定成分とされていた成分は、その安全性とアレルギー性がいち早く分析されていた成分と言えます。例えば、メチルパラの場合、急性毒性を示すLD50の値が、>8.0g/kg(マウス経口)となっています。これは、表示指定成分ではないフェノキシエタノールの1.0g/kg(ラット経口)よりも遥かに安全な値です。
また、新規原料を(化粧品の原料規格である)粧配規に新たに載せる為には、急性毒性やパッチテストなどいくつもの安全性の確認項目を必要とし、表示指定成分だけが、肌トラブルを生じさせる訳ではないコトが周知になってきました。こういった背景もあって、表示指定成分だけが「悪い」訳ではないコトをお分かり頂けたでしょうか。
逆に言えば、表示指定成分同様に、ヒトによっては刺激があるにも関わらず、配合上限も設けられず野放しになっている原料もあった訳です。表示指定成分だけが肌トラブルの原因ではないって、コトだけでなく、表示指定成分として掲げるコト、他の危惧が軽んじされる可能性が高くなったのです。
ですから、化粧品は全成分表示に踏切りました。医薬部外品も2007年4月から全成分表示になっています(猶予期間が1年半程ありますけどね)。
天然原料だけで機能性のある化粧品を作るコトは可能です。しかし、そこにだけ目が行って・・・いいえ、そこにだけ目を行かせられて、本当の危惧すべき点を見落とさないように気をつけて化粧品を考える必要があるのです。
良い化粧品の条件とは
よく、「この化粧品は良いですよぉ」とかを、販売員やネット、雑誌や友人から奨められた経験があるでしょう。その反面、化粧品の批判本では「この化粧品は危ない!」なんて話もお読みになったでしょう。そういった様々な意見がある中、化粧品選びに迷ってしまいませんか?
ネットを開けば、様々な化粧品の情報が数多入手できます。にも関わらず、化粧品ジプシーの方が多いコト、多いコト。一体、なぜなのでしょうか?
それは、はっきりと「良い化粧品の条件」という話をしていないからです。ここでは、特定の粧品を売り込みたい為に書かれた化粧品メーカーの広告や批判本や雑誌にも書かれるコトのなかった「良い化粧品の条件」を書いてみましょう。
まず、良い化粧品の条件とは!
「あなたにとって良い化粧品」
と、言うコトです。もっとはっきり言うなら、
「あなたにとって、都合の良い化粧品」
と、言うコトです。
「なぁんだ、当たり前のコトじゃないですかぁ」
と、言っている方程、この言葉の意味をご理解頂きたいです。
まず、病気の場合を考えると分かりやすいので、極端なお話から入りますね。
図1をご覧下さい。
図1
変んな矢印とハートマークがありますね。これが、肌の様子と、薬の投与を意味しているとしましょう。矢印が病気の具合です。
はじめに健康であった状態から、病気になったとします。矢印は、0からマイナス側に下がります。そこで、薬を投与する(ハートマーク)と、病状は回復します。まぁ、これは薬が効いた場合です。もし、薬が効かないと、図2のようになります。
図2
医薬品は、基本的に、患者の細胞や菌やウイルスそのものに作用します。今の医薬品の多くは、ウイルスの細胞分裂時の仕組みに作用するモノが多いでしょうかね。病状もはっきりマイナスって分かる場合が殆どです。例えば、熱が出るとか、咳が出るなどです。
では、話を戻しましょう。
化粧品の場合、病気の改善が目的はありません。そこまで、極端な症状はなく、乾燥肌とか脂性肌、敏感肌などの表現になります。こういった病気ではないですが、健康な状態からちょっとズレた状態を未病とかQOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)などと最近では言うようにもなっています。肥満や禿げなどもその分類に含まれるコトも多くあります。
さて、肌の場合、化粧品を使っての話をしましょう。
まず、何らかの原因で、肌が乾燥肌になってしまった場合を考えます。そこでクレンジングや洗顔フォームを変えたとします。変えた化粧品の脱脂力と自分の肌事情が都合がいい状態であったならば、図3の様になるのは想像がつくでしょう。まぁ、こういう期待のもと、化粧品を購入される訳ですからね。
図3
しかし、世には色々な情報があり、「◯◯さんが奇麗になったから!」と言う話に飛びついたりしていませんか?それは、「あなたに都合がいい化粧品」ではなくて「◯◯さんに都合がいい化粧品」なのです。そういった自分に合っていない化粧品を使った場合、図4のように、いっそう乾燥を招く場合があります。他にも「何が何でも石鹸主義」とか「細かい泡だからマイルド」なども同じで、「それは、あなたに都合の良い化粧品ですか?」と考えて頂きたいです。
図4
逆に、脂性肌の方を見てみましょう。通常の状態よりも、季節や食生活、ストレスなどで皮脂が多くなったとします。「◯◯さんが奇麗な肌だから、同じ美容液を使えば、美肌になるはず!」と「◯◯さんに都合の良い化粧品」を使ったとします。
◯◯さんと肌質が同じであれば、図5のようになるでしょう。
図5
しかし、元々脂性肌だったりすると化粧品でオイルが過剰に補われるコトになって、肌の皮脂量は図6のようになってしまいます。その結果、ニキビができたり、テカったりします。
図6
これは、意外に多い失敗なのです。例えば、顔1つとっても、乾燥した部分と皮脂の多い部分ってありますよね。本当は、クリームや乳液などオイルを補給する化粧品は、「部分的に使う」コトが美肌への上手な使い方なのです。
この様に、化粧品は「あなたにとって、都合の良い化粧品選び」がそのまま「あなたにとって、都合の良い化粧品」になるのです。
安全性の高い化粧品とは
他にも、成分の特徴をよく知らずに使ってのトラブルもあります。例えば、水溶性ビタミンC誘導体は、数%配合していれば美白効果が期待されます。医薬部外品などはその例ですね。
水溶性ビタミンC誘導体は、1%よりも3%、3%よりも5%といったように、高濃度の方が美白効果が高いデータがあります。医者が処方する場合、10%なんてトンでもない濃度の場合もあります。
勿論、「美白」という綿だけを見れば、高濃度の方が有効です。しかし、水溶性ビタミンC誘導体には、高濃度では、赤みや痛みを伴う刺激や乾燥などの作用も出ます。ですから、美白という肌のメラニン量からすると、高濃度配合の場合図7の様になるでしょう。しかし、肌の状態からすると(下に行く程悪化しているとすると)図8のようになります。
図7
図8
かといって、美白効果のない濃度の水溶性ビタミンC誘導体しか入っていない化粧品を使っていると、メラニン量は、図9のようになって、払ったお金だけ損ですね。
図9
薬事法は、ちょっと別に置いて於いて、あえて表記するなら、今の化粧品に消費者は「効果」を求めています。しかし、薬事法が示すように、化粧品は毎日使うモノであり、それが故に、肌への副作用があってはいけないのです。因に、医薬品は、「病気の期間だけ使用する」ので、副作用と効果のバランスを考えて使用されます。しかし、実際に、アトピーのこどもを持った親からすれば、医薬品もほぼ毎日使いますよね。
今の時代で言う「安全性の高い化粧品」とは、副作用のない化粧品を指すのではなく、「効果と肌トラブルの無さのバランスの取れた化粧品」というコトになります。
例えば、UVカット化粧料などがそうです。
UVカット化粧料の歴史は、メイクや化粧水、育毛剤の歴史に比べると遥かに、遥かに短いです。ここ10年、20年で生まれてきた分野の化粧品です。歴史の浅い化粧品は、効果とトラブルのバランスの落としどころが定まっていなかったりします。
例えば、紫外線をカットする方法で、酸化チタンなどの紫外線乱反射剤を使用する場合があります。この紫外線乱反射剤は、金属の粉です。金属アレルギーや、肌に塗布した時のヨレ、白浮き、皮脂や汗で流れてしまうなどの問題点もあります。そこで、粉体をシリコンや脂肪酸で被膜し、肌への直接の接触を避けたり、粉体の形状や粒子径を変えるコトで、皮脂や水に強くしたり、白浮きしなくしたりしました。ついには、ナノサイズまで小さい粉体まで作り出しました。
しかし、そこまで来ると、今度は、ナノ化された粉体の安全性が危惧される様になりました。このコトについては、厚生労働省が調査を行うと共に、文部科学省もナノ粒子に関する調査研究を独立行政法人を使って確認するなど、大事になっています。
また、紫外線乱反射剤は、金属の粉体ですから、重いのです。こういった粉体をうまく分散させる基剤の処方技術も上がりました。
しかし、今は、紫外線吸収剤も見直しが掛かっています。処方上、紫外線乱反射剤をうまく分散させ、高いSPFを得るコトは、ちょっと技術が必要です。しかし、紫外線吸収剤は液体であって、オイル扱いでに簡単に高SPFの処方を組むコトが可能です。ナノ粒子という厄介な問題もありません。そこで、この数年、紫外線吸収剤の配合が増えています。
また、最近では、シャンプーなどにも紫外線吸収剤を配合する場合が出ています。これは髪を紫外線から守る為ではなく、シャンプーの香りや色を守るためです。店頭に並ぶシャンプーは、太陽や蛍光灯の紫外線を受けますからね。
でも、紫外線吸収剤は、充分に紫外線を吸収/処理すると、自己崩壊を起します。紫外線吸収剤の多くはベンゼン環を持っており、分解物が肌に安全である保証はありません。ただ、使う側がそれを知っていて、必要に応じて塗り直しをして頂けていれば、問題の多くは解決します。
このように、安全性の高い化粧品とは、
1)「効果」と「問題点」を購入し使用する側が知っているコト
2)「効果」と「問題点」のバランスのとれた処方組になっているコト
が条件になるのです。
成分が分かれば善し悪しが分かるのか?
全成分表示の基本的な見方と上手な活用方法
化粧品に続き、医薬部外品も全成分表示化しました(2007年4月より)。ただし、医薬部外品が完全に全成分表示なるには1年半の猶予がありますがね。
さて、この全成分表示、本来は、購入者が、購入前に自分に合ったモノであるか自己判断して頂く為に用意されたモノです。しかし、その表現は難解です。例えば、ラウリル硫酸Naとラウレス硫酸Naなどの違いは、まず無理でしょう。
では、全成分表示をどう見ていけばいいのでしょうか?
まず、具体的にUVカット化粧料から見てみましょう。
ポイントは、3つあります。
1)日焼けで赤く火照らないか?
2)日焼けで黒くならないか?
3)専用のクレンジングが必要か?
です。
まず、1と2は簡単です。1はSPFの値、2はPAの値を見ます。
「え?赤くなるのと、黒くなるのは別?」
と、思った方も多いでしょうね。別なのです。紫外線は肌を赤くし炎症を招くB波と、黒くするA波の2つがあります。B波の多くは、硝子窓などでカットされますが、A波は意外に侵入します。
まず、SPF18以下は、日常生活用。30以上がスポーツやお出かけや汗をかきやすい環境用、40や50は海や山やスポーツ用です。
PA値は、日常生活では+若しくは++あれば問題ないでしょう。
さて、3)専用のクレンジングが必要か? これは重要です。
肌トラブルの原因の多くは、このクレンジングにあります。少しでもマイルドなモノを使いたいならクレンジング選びから重要です。
さて、専用クレンジングという意味の多くは、「シリコンを落とせるか否か」というコトです。UVかっと化粧品は多くのシリコンが使用されている場合がありますからね。
では、どう、全盛部表示を見たらいいのでしょうか?具体的に上げてみましょうか。
1)上位3位の内に、2つ以上シリコン系成分がある
2)上位3位以内に、1つしかシリコン系はないが、一番上位がシリコンである
この2つのどちらかの条件を満たしている場合、専用のクレンジングを使用されるコトをお薦めします。その多くのウォータープルーフだったり、通常のクレンジングでは肌にシリコンや粉が残ったりします。UVカット化粧品を選ぶ場合、チェックしてみて下さい。
次に、美容液などは何を見るべきでしょうか?それは、過去に自分の肌と合わなかった成分が入っていないかです。その為には、下記の項目をチェックしてみて下さい。
今使っていて、問題ない化粧品に下記の成分が入っているなら、あなたの肌質にはその成分は問題ないってコトになります。
チェック項目
□パラベン(メチルパラベン、プロピルパラベン等)表記がある
□フェノキシエタノール表記がある
□上位5番目までにPG表記がある
□上位5番目までにDPG表記がある
□口紅の場合に限り「水」表記がある
□日本製である
以上です。意外に簡単でしょう。
旧表示指定成分を、まるまる避けようとする方もしますが、そこまでする必要はありません。
あなた自身が合うかどうかであって、長期使用していてどんどん悪くなるモノではありません。
因に口紅中に「水」があるとトラブルが多くなる傾向はあります。「最近の口紅は合わないのが多い!色素の製かなぁ?」と思われている方は、チェックしてみて下さいね。
パラベンですが、0.25%以上だと刺激を感じる方がいます。日本の処方の場合、0.25%も配合しない場合が殆どです。ネットでも確認できると思いますが、国立医薬品食品衛生研究所発表では、42品目の市販化粧水を調べた結果、パラベン全体の濃度は0.01〜0.27%で平均0.12%。42品目中31品目にフェノキシエタノールが入っていて、その平均濃度は0.27%だったそうです。また、パラベン、フェノキシエタノール共に0.1%以下で更にエタノールフリーの化粧水も7品目あったそうです。おそらく敏感肌タイプの化粧水なのでしょうね。
日本の化粧品業界の流れは、「肌に優しく」がモットウです。一方、海外では、「商品が腐る」コトを最も危惧しますので、日本の数倍のパラベンやフェノキシエタノールが配合されています。
この程度なら、辞書片手に全成分表示を見る必要もないでしょう。
自然化粧品とか無添加化粧品って何?
自然とか無添加とかむやみに良さげですね。でも、自然を謳う化粧品でもその使用される原料は様々です。例えば、有効成分が植物由来であればいい会社(具体的には、エキスは植物由来を選ぶが、カルボマーや乳化剤は使用している)、配合する植物エキスに使用している基剤まで合成物の使用をが禁止している会社(具体的には、BGエキスのタイプは使用しない)、成分の一部に植物由来部分があれば自然と謳っている会社(具体的には、パルミチン酸セチルなどのエステル油までは使用可能とか)など様々です。
実際、自然化粧品の定義はなく、各社独特の謳いで、「自分トコは自然だ!」と言っています。
では、無添加化粧品は如何でしょうか?
無添加って何を入れていないのでしょうかね?全ての旧表示指定成分である場合が多いですが、パラベンに関しては入れていないとか、エタノールフリーとか意味は様々です。
ちょっと専門書をひも解いてみると、「医薬品・化粧品等広告の実際 追補 2002」に「無添加等無配合を意味する用語」という項目があり、そこには、
『 「無添加」、「無配合」、「不使用」等ある種の成分を配合しないことを意味する用語を表記する場合は、何を配合していないかを明確に表示して使用する。』
と、あります。なる程、やはり何が入っていないか表記する必要があるようです。
シリコンや合成の高分子は肌に悪いのか?
合成モノは肌に悪い!という表現をされる方がいます。本当でしょうか?
とある本などは、肌に常在菌があり、菌達はその合成の高分子を食べるコトができないので死滅する旨の話が載った本もありました。本当でしょうか?
まず、肌に合成の高分子があって、それを肌常在菌が食べるコトができないから死ぬというのは、ナンセンスです(その話を持ってくるなら、ウンデシレン酸などの奇数鎖脂肪酸の話で活用して頂きたいです)。なぜなら、肌は絶えず、皮脂や汗など皮膚常在菌の餌を分泌していますからね。
合成高分子と言ってもさまざまです。スキンケアで使用されるモノの多くは、シリコン系かカルボマーでしょうね。
シリコンは、ケイ素を含んでいて、撥水性があり、つるっとした使用感を出します。ただ、肌に塗った場合、ラップのように被膜されるコトをイメージされる方も多いようですがそうではないのです。ストッキングのように網目状に被膜しますので、肌の呼吸を抑えるコトはありません。しかも、生物学的に分解もしませんし安定していますから、アレルゲンにもなりません。分子量も大きく、肌への浸透もないので、非常に安全性の高い原料の1つです。勿論、肌常在菌に対しても良きも悪しきも何もしないと想像できます。
次にカルボマーです。その使用の歴史は古く、安全性の高い原料の1つです。合成ですが、敏感肌の方でも安心して使用して頂けます。また、配合量も非常に少なくてもゲル化しますので、量からくる肌への負担もありません。
一方、高分子がフケ菌や肌の悪玉菌をやっつけてくれる場合もあります。それは、カチオン性の性質を持った高分子です。天然界の成分ではキトサンなどがそうですね。
キトサンは、その高分子に電荷を持ちます。この電荷に菌が吸い寄せられるのです。イメージでいうと、静電気シートに埃が引っ付くみたいな感じです。
キトサンは人工皮膚の原料になる程、アレルギー性の低い原料です。
しかし、人工的に作られた原料にもカチオン性のモノもあります。例えば、トリートメントで使用される四級カチオンなどがそうです。
この四級カチオンの多くは旧表示指定成分に属します。四級カチオンは、菌もやっつけます。また、同様の原理で、髪にも吸着します。その髪へ吸着した使用感が「しっとり感」になるのです。
しかし、四級カチオンの多くは、先に述べましたように、旧表示指定成分であり、肌トラブルの原因になる場合もあります。リンス効果や髪の修復効果を期待して、すすぎをいい加減にすると、頭皮やおでこのトラブルの原因になります。四級カチオンは髪にしっかり付きますから、洗い流しても効果が低くなるコトはありません。「効果」と「安全性」のバランスからして、しっかり洗い流すコトがトラブルも減っていいでしょう。
因に、四級カチオンの例を挙げておきますね。
ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド ( ↑ ただし、旧表示指定成分ではない)
ステアルトリモニウムクロリド(旧表示指定成分)
ジステアリルジモニウムクロリド(旧表示指定成分)
ベヘントリモニウムクロリド(旧表示指定成分) ( ↑ ラックス、パンテーンなどに配合)
ステアラルコニウムクロリド(旧表示指定成分)
ステアルトリモニウムクロリド(旧表示指定成分)
最近では、四級カチオンよりも刺激の少ない三級カチオン(3級アミン)を使用するメーカーも増えて来ていますね。三級カチオン(3級アミン)の例も挙げておきましょう。
ベヘナミドプロピルジメチルアミン
(いち髪が使っていますね。)
ステアリルPGジメチルアミン
(スーパーマイルド チカラとか
TIBAKIが使っていますね。)
ステアロキシプロピルジメチルアミン
(セグレタ、アジエンスが使っていますね)
こう見ると、日本の大手メーカーさんは、既に、よりマイルドな処方へ移行が進んでいますね。
キレート剤は体に悪いか?
化粧品原料の中に、キレート剤というモノがあります。このキレート剤は、水中の二価の金属イオン(具体的には、カルシウムイオンなど)を奪う仕事をします。シャンプーや石けん以外にも、化粧水など広い化粧品分野で配合されています。具体的にはどんな仕事をしているのでしょうか?
例えば、化粧品原料に石ケン素地という原料があります。30%石けん水溶液です。この石ケン素地には、よくキレート剤が入っています。配合の理由は、石けんが水中の二価の金属イオンと結合すると金属石けん(石けんカスとも言いますが)という不溶性のモノになって、沈殿が生じ、商品価値が下がるからです。
では、どのメーカーの石ケン素地でもキレート剤は入っているのか?と、なるとそうでもないです。
同じ石ケン素地でも、キレート剤の入っていない、品質の高いモノもあります。それは、反応に使う「水」に精製度の高い「水」を使用しているメーカーです。
他にもヘアシャンプーやボディーシャンプー、洗顔フォームなどにキレート剤が入っている場合があります。
その理由は、4つあります。
1)泡量改善
2)変色防止
3)変臭防止
4)沈殿防止
です。
1の泡質は、使用する水道水中の二価のイオンが界面活性剤と反応して、泡量を抑えるコトがあります。その対策として、水中の金属イオンを除去すべくキレート剤が配合されます。キレート剤を配合するコトで、カルシウムイオンや鉄イオンなどのミネラル分を水中で封鎖して、一見イオン交換水のような水を作り出します。そうするコトで、泡量の低減を抑えるコトができるのです。
また、2)〜4)は、着色料や香料、植物エキスや高分子などが、二価の金属イオンを反応して変質するコト抑制する目的です。この場合、主に「処方中に含まれる二価のイオン」との反応を抑制する為です。
さて、はじめにカキコしました、石ケン素地を思い出して下さい。そう、製造するトキに使用される「水」など様々な原料の品質を向上させれば、シャンプー中のキレート剤は不要になります。
しかし、大手メーカーなど、何トンという大きさでシャンプーを作りますので、いくら配合する為の「水」を精製しても配管などから金属イオンが入ってしまう可能性が危惧されます。そこで、どうしても配合しなくてはいけなくなります。逆に、小さいメーカーで、配管での輸送をしない工場では、キレート剤未配合で処方を組めます。
この様に、キレート剤は、「処方中の水に含まれる二価の金属イオンを抑えるコト」と「使用時に使われる水道水中の二価の金属イオンを抑えるコト」の2通りの目的で配合されます。
また、最近では、減りましたが、化粧水にキレート剤が入っている場合もあります。特に自然原料を多用したり、防腐剤濃度を下げている商品に配合される例があります。
その理由は、上記の2〜4なのですが、もう1つの理由は、
5)抗菌
です。
本来、キレート剤自体に抗菌効果はありません。では、どうして、抗菌目的で配合されるのでしょうか?
大腸菌などの微生物は、その細胞膜にMgなどの二価に金属イオンを保持して、細胞膜を安定化させています。キレート剤は、この菌の細胞膜の二価の金属イオンを奪うコトで、菌の細胞膜の安定性を崩し、その結果、少量の防腐剤でも菌を殺す条件(菌への防腐剤の浸透性向上条件)を作りだすコトができるのです。
ですから、キレート剤を肌に塗った場合、肌常在菌の細胞膜も不安定になる可能性がありますが、菌が死ぬコトはありません。キレート剤が抗菌性として使われるには、防腐剤との併用が必須条件ですからね。
ですから、「キレート剤が肌常在菌を殺すので、肌に悪い」という話は嘘になります。
ただし、キレート剤の代表的なモノは、EDTA-2NaとかEDTA-4Naです。このEDTA-◯Naは、旧表示指定成分です。従って、特定の肌質の方には相性が悪い場合があります。ですから、化粧水などの塗り切り商品では、EDTAの入った商品はやはり要チェックです。
ああ、それから、「キレート剤=悪」ではありません。代表的なキレート剤のEDTAがたまたま旧表示指定成分だったのです。EDTAはその構造に2カ所3級アミンを持つなど構造的な刺激が危惧されましたが、「キレート作用」自体は「悪」ではありません。
最後に、EDTA以外のキレート剤を上げておきましょう。
エチドロン酸、エチドロン酸4Na:
旧表示指定成分ではないので、 EDTAタイプの次によく使用されます。
フィチン酸:
玄米の糠などに含まれる天然成分。 食品の分野でも使用されます。
化粧品では、保湿能のデータも紹介されています。
ピロ亜硫酸Na:
化粧品の分野よりも食品の分野で主に使用されます。
化粧品では、アスコルビン酸の酸化防止等の 目的で配合されます。
クエン酸:
以外に認知されていませんが、 キレート効果も持ちます。
キトサン:
食品関係でも使用されます。
ピロリン酸4Na:
化粧品以外に、歯磨きなどにも入っています。
アスパラギン酸ジ酢酸4Na:
イミノジコハク酸4Na:
更に、最近では、環境へのエコを考えて生分解性の高いキレート剤も出ています。
グルタミン酸ジ酢酸4Na:
生分解性のあるアミノ酸系キレート剤
エチレンジアミンジコハク酸3Na:
生分解性のあるキレート剤
キレート剤にも種類が沢山あるのですね。
紫外線吸収剤のお話
酸化チタンなどの紫外線乱反射剤がどうやって紫外線をカットするかと言いますと、正に、鏡の役目のように、光を反射して肌への紫外線の到達を抑制します。
では、紫外線吸収剤とは、どうでしょうか?
その名からして、紫外線を吸収してしまう、と、言うイメージから「肌の中に紫外線を溜め込む」と思っている方も意外に多くいます。実は、紫外線吸収剤の殆どは、無色透明の液体なのです。
では、どうやって吸収し、その紫外線を処理しているのでしょうか?
紫外線は一種のエネルギーです。ですから、「変換」するコトが可能です。紫外線吸収剤とは、当たってきた紫外線を受け止めて、「熱」に変換して処理しているのです(ちょっと荒い表現ですが)。つまり、紫外線吸収剤も肌の中や肌の表面に紫外線を溜め込んでいる訳ではなくて、しっかり熱として放出しているのです。しかし、形あるもの皆壊れるってコトもあり、使い続けると分解します。紫外線吸収剤はその構造上、ベンゼン環を持っていて、崩壊するとフェノール構造を持った肌に有害なモノになる可能性もあります。ですから、変質するコトのない紫外線乱反射剤(酸化チタンや酸化亜鉛)と比べて、肌への負担は大きいと考えるべきだと思います。
紫外線吸収剤の分解を避けるには、「塗り直し」や「寝るまでには洗浄する」コトが大切になりますね。
紫外線吸収剤無配合のUVカット化粧料を作るには、紫外線乱反射剤配合の方法があります。これには、酸化チタンや酸化亜鉛などの表記があります。昔は、紫外線B波を酸化チタンが抑え、紫外線Aは酸化亜鉛が抑えるといった具合でしたが、粉体の結晶構造や粒子系も著しく進化し、今では、単一の粉体でもA波もB波も抑えるタイプもでています。
しかし、平成19年夏現在で、紫外線吸収剤無配合で高SPF、高PA値のUVカッと化粧品を探すのは一苦労がいります。ヨーロッパでも紫外線吸収剤を配合したUVカット化粧品の新しいSPFやPA値にあたる規格が準備されつつあります。
紫外線吸収剤も「怖い怖い」といって避けてばかりいられなくなってきていますね。(汗)
有効成分は高濃度程効果は高いか?
例えば、水溶性ビタミンC誘導体は、濃度が高いと効果が上がるが、刺激も上がるコトをお話したと思います。これをちょっと斬ってみましょうか。
美白の仕事をする上では、水溶性ビタミンC誘導体からできたビタミンCによる還元作用は有効です。水溶性ビタミンC誘導体は肌に入りにくいですから、濃度が高い程、肌へは多く入るか可能性が上がります。
しかし、その一方、ビタミンCは酸性なので、まわりのpHが極端に下がります。それが肌の乾燥や刺激を導きます。
そこで考えられるのが、「如何に能率良くビタミンC誘導体を肌に入れるか?」です。
肌に塗った量の数%しか届いていないのでは能率が悪いし、刺激も高いし、値段も高いです(笑)
1つの方法が、イオン導入器です。水溶性ビタミンC誘導体はイオン化しますから、イオン導入器を使えば、かなりの導入率があがります。
もう1つが、ナノカプセル化です。
ナノカプセルと言っても色々な種類がありますが、水溶性の成分を刺激無く、能率良く肌に浸透させるには、リポソームという特殊な構造の二重膜カプセルに内包する方法が図られています。これがナノテクを使った高機能コスメと言われるモノです。(なお、リポソームを作るナノ膜は、レシチンなどであり、酸化チタンや白金などの金属のナノ粒子の話とは一別されます。)
二重膜のリポソームは、中味の空っぽの細胞のような構造です。その中空には、水溶性の成分を内包し、二重の膜の間には油溶性の成分(ユビキノンやアスタキサンチンなど)を内包します。そうするコトで、「有効成分が届く」だけでなく「量による刺激」も緩和されるのです。
今や、有効成分は、濃度だけではなく、その浸透方法でも効果や安全性に差がでる時代になってきました。つまり、高濃度で効果もあったけど刺激もあった時代から、低濃度でも処方を工夫するコトで、浸透を上げ、効果はあるが刺激はない商品が生まれつつあるのです。
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