最新情報へジャンプ 医薬部外品の全成分表示が、2006年4月から実施されています。 と、言っても、実際に法が施行されてから1年半は「猶予」が与えられていますから、2007年9月までは、今まで通り「中身に何が入っているか不明」って状態で売られる状態が続きます。 化粧品と医薬部外品は、全成分表示の「仕方」や「原料名称」が違っています。 例えば、化粧品の場合、「多いモノ順」で表記するのが基本姿勢です(ただし、1%以下は順不同)。しかし、医薬部外品は、「有効成分」と「その他の成分」に分けて表記します。また、大きく違うのは「水」の表記が医薬部外品にはありません。 具体的に、見てみましょうか。 化粧品の場合、医薬部外品と同じ濃度のビタミンC誘導体を配合できます。ですから、今回は、同じ%濃度の成分で処方された、「化粧品」と「医薬部外品」を比較してみましょう。 例えば、水にビタミンC誘導体(Na塩タイプ)を10%配合して、クエン酸、クエン酸Naをそれぞれ、0.9%配合、防腐にメチルパラベンを0.8%、ブチルパラベン0.7%配合したとします。 (注意、実際の処方で使われる%とはかけ離れた数値にしています。手作りでこの%を採用されるのはダメでしょうね) これを化粧品と医薬部外品で全成分表示してみますね。 化粧水の場合 水 アスコルビン酸Na クエン酸 クエン酸Na メチルパラベン ブチルパラベン (いつも通りですね) 医薬部外品の場合 例1(最も正当な表現方法を採用した場合) 有効成分 アスコルビン酸ナトリウム その他の成分 クエン酸 クエン酸Na パラオキシ安息香酸エステル (水の表記がないです。また、「ナトリウム」になっていますし、パラベンの区別もなくなっています) 例2(「別名」を採用した場合) 有効成分 アスコルビン酸ナトリウム その他の成分 クエン酸 クエン酸ナトリウム パラオキシ安息香酸メチル パラオキシ安息香酸ブチル (水の表記がないのはそのままです。パラベンの区別がつきましたね) 例3(「簡略名」を採用した場合) 有効成分 アスコルビン酸Na その他の成分 クエン酸 クエン酸Na メチルパラベン ブチルパラベン (最も化粧品に近い表現ですが、水はありません。しかも、この表記は「簡略名」なので、採用する企業は多くないかもしれません) 例4(「簡略名」を採用した場合) 有効成分 ビタミンC・Na その他の成分 クエン酸 クエン酸Na メチルパラベン ブチルパラベン (例3と同じなのですが、ビタミンC誘導体の表記の仕方が違います) と、なります。 医薬部外品には、「成分名」の他に、「別名」と「簡略名」が用意されています。 塩の部分が「ナトリウム」だったり「Na」だったり統一性がありません。また、パラベンに関しては、「最も正当な表記」が「最も何を配合しているのか分からない表記」になっています。 医薬部外品例1を再度見て下さい。化粧品の場合、メチルパラベン以外に、ブチルパラベンは入っていたら表記が2つになりますから、分かりますが、医薬部外品の場合、最悪、どのパラベンが入っているのか不明になります。 (因に、環境ホルモンとして、メチルパラベンはシロですが、ブチルパラベンは「環境ホルモンでないとは言いがたい」という微妙な位置にいます。) この医薬部外品の全成分表示の方法は、「購入者に購入前に何が入っているか判断して貰うことが目的」という大きな目的からすると、失敗じゃないの?と、思ってしまいます。 色も色々 医薬部外品の全成分表示の名称と化粧品の全成分表示の名称が違うというお話は前回しました。 今回は、ひつこくもその続きです(笑) 「ああ、また、細かい話なの?」 と、言わないで下さいね。今回はちょっと着目ですから! さて、何の話と言いますと、「色」です。そう、タール色素の話です。 化粧品の場合、赤や青の色を付ける為に「赤506」とか「青204」なんていう、色素原料を配合します。勿論、体にいいモノでもないので、嫌う方も多い訳です。 医薬部外品でも、この色素は使われる訳ですが、今回の医薬部外品全成分表示から、違った名称が採用になります。以下は一例です。右が「化粧品」の全成分名称、真ん中が「医薬部外品」新全成分表示の「表示名称」、左が「医薬部外品」新全成分表示の「別名称」です。特に、別名称に着目して下さい。
どうですか?化粧品の場合「色+数字」なので、どこか化学的なイメージが強くマイナスイメージを与えていましたが、医薬部外品の別名称で表示されますと「なんだかかっこ良く見える」のはなぜでしょうかね(苦笑) でも、黄4を「タートラジン」というと「いったい何色」なのか不明です(苦笑) 2006年アンケート調査 2006年週刊粧業(2006.7.17)のアンケート調査の結果をご紹介しましょう。 回答者は、264人 その内訳は下記の通りです。 (平均年齢29.9歳、未婚率60.3%、独身率18.0% 社会人率66.3%、専業主婦率22.3%、学制率9.2%) で、今回の回答では、・・・ これまで使った化粧品でベスト1メーカーはどこですか? スキンケア部門 1位 資生堂 10.6% 2位 コーセー 9.47% 3位 DHC 7.2% 4位 アルビオン 4.5% 5位 オルビス 3.8% となっていました。資生堂が1位なのですが、それでも10%程度しか押さえていません。 消費者の好みの多彩さを物語っていますね。 美白に関してのアンケートでは、 「美白化粧品の使用開始時期は?」との回答には、 10代から 17.3% 20〜24歳 29.8% 25〜29歳 23.1% 30〜34歳 6.9% 35歳以後 2.9% 使用していない 19.9% となっています。「美白をやってる方」は、20代の内に開始しているのですね。 しかし、着目点は、実は10代の結果です。10代から美白を始めるという回答は、2003年には9.1%だったので、随分アップしています!今では、小学生でも化粧ポーチを持っている時代になっていますからね。早期に美に目覚めることはいいことだと思いますよ。 しかし、「今までに美白効果が感じられた化粧品はありますか?」との回答では、 73.2%が「ない」と回答している(痛たたたぁ〜) 面白かったのは、一昔前に流行った「朝シャン」です。既に死語化しつつある言葉ですが・・・。 「朝、シャンプーしますか?」との質問には、「しない」が65.7%となっています。因に毎朝朝シャンをする方は、12.0%だそうです。 さぁ、皆さんは、今回の結果をどう見られますか? オイルの二段階酸化 オイルは、酸化が始まると一気に臭いが発生したり、変色したりします。通常、徐々に変化すると思われがちですが、それまで、なんってことはなったオイルが、急激に変化します。 どうして、そんな急激な変化が起こるのでしょうか?実は、オイルは二段階で酸化しているのです。 二段階の酸化を、一次酸化、二次酸化といいます。 一次酸化は、フリーラジカル反応で、色も臭いもなヒドロペルオキシドが生まれます。 二次酸化は、このヒドロペルオキシドが分解し、アルデヒドやケトン等が生まれ、これが細胞に刺激を与えます。二次酸化では、臭いや色が発生します。 酸化されたオイルを使うと肌に悪いといいますが、一般の方が話題にされるのは、二次酸化の話になりますね。臭いや色の変化。ちょっと勉強されているかたは、「分解物が悪い」といいます。 しかし、プロになると、その1つ手前の、一次酸化も十分に気になります。フリーラジカル反応は、酸化の一種です。そこで発生した酸化反応は、十分に肌を傷めます。臭いも色も気にならないのに 「このオイル、肌に合わないのかなぁ?」 と、思ったら、一次酸化が進んでいるのかもしれません。そんなオイルは、ちょっとすると臭いや色が発生しだすでしょう。(単純に、べたつきが好みでない場合もありますが 笑) 油溶性ビタミンCを再認識 現在、ビタミンC誘導体と言っても多くの種類があります。 このビタミンC誘導体は、大きく分けて、2つに分類されます。1つは、水溶性のモノ。もう1つは、油溶性のモノです。 油溶性のビタミンC誘導体と言っても、多くがあるのですが、一番有名で、実績の高いモノと言えば「テトラヘキシルデカン酸アスコルビル」になるでしょう。 今回は、このテトラヘキシルデカン酸アスコルビルのお話です。 水溶性ビタミンC誘導体は、即効性が高いのが有名ですが、刺激が強くあります。一部のドクターズコスメや、皮膚科医の出す水溶性ビタミンC誘導体配合の化粧水の配合濃度は、10%を超える場合があります。これは、医薬部外品に於いて、「安全な配合濃度」を遥かに超えています。当然、肌トラブルや乾燥があってしかりです。 一方、油溶性ビタミンCで最も実績があり、あらゆる意味でデータ数が多いのがテトラヘキシルデカン酸アスコルビルです。油溶性ビタミンCは、水溶性のモノに比べて即効性に欠けます。しかし、じわじわ効果を活気するタイプす。特に着目すべきは、刺激性の低さでしょうね。 例えば、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルの場合、データ上の話になりますが、急性毒性を示す、LD50は、2000mg/kgとなっており、ほぼ無毒を意味します。ヒトパッチテストで希釈せずに使用(100%テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)で行った場合も、43名中刺激を示した被験者はいなかったそうです。 (まぁ、世に100%安全なモノはないので、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルこのデータが全てだとは思いませんが)。 また、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルの優れていることは、肌への浸透性です。 水溶性ビタミンC誘導体も美顔器などで、電気誘導してやると肌への浸透はグン!と上がります。 しかし、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルは、そんなコトをしなくても、肌への浸透は高いのです。 では、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルはなぜ、肌への浸透が高いのでしょうか? 一部のサイトでは、「油溶性ビタミンCの肌への浸透が高いのは、界面活性剤が入っている(界面活性剤の形になっている)からだ!」と、間違った解釈をされているようです。 実は、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルの肌への浸透の良さは、オリーブ油が肌へ浸透しやすいのと同じ原理なのです。 肌には、皮脂が存在します。肌へオイルが浸透しやすいのは、オイルが皮脂に溶ける為に、皮脂の中を通って、肌の深い部分まで浸透するのです。逆に、水溶性ビタミンC誘導体は、皮脂に邪魔されて入りにくいのですね。 さて、皮脂に馴染みのいいオイルの一種にパルミチン酸があります。テトラヘキシルデカン酸アスコルビルは、ビタミンCの四方をそのパルミチン酸でキャップするとこで、あたかもオイルのようになってビタミンCを肌の深部に送り込みます。つまり、肌バリアを破壊することなく浸透できる点が、界面活性剤と違う点ですね。 そんなテトラヘキシルデカン酸アスコルビルですが、手作り化粧品でも愛好家が多いようです。 そこで、ちょっとヒントを出しておきましょう。 テトラヘキシルデカン酸アスコルビルは、グリセリンや、BG、水には溶けません。しかし、瑠璃香オリーブ100など、100%オリーブ油には、簡単に溶解し、べたつきも減少されます。勿論、エタノールにも可溶ですが、そのエタノールを水希釈すると、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルが分離してしまいます。 テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、100%モノを間もなく、DSRから発売の予定です(ちょっと宣伝♪) 髪に付くモノ付かないモノ 髪はタンパク質でできています。タンパク質には等電点というものがあります。 等電点とは、イオン的に中性になる点です。 例えば、髪の場合、等電点は、pH3.67だと言われています。髪の周りの環境が、pH3.67より高い・・・例えば、弱酸性(pH5.4)だと、髪の表面はマイナスに帯電します。 マイナスに帯電した髪は、プラスに帯電したモノがよく引っ付きます。 プラスに帯電したモノって何があるのでしょうかね? 例えば、タバコの副流煙や焚き火の煙などがプラスに帯電しています。 化粧品の中ではどんなモノはあるのでしょうか? 例えば、シャンプーなどは、 水 ラウレス硫酸Na(アニオン界面活性剤) ポリクオタニウム-10 フェノキシエタノール クエン酸 香料 というシャンプーがあったとしましょう。 この手のシャンプーは、pH5〜6の弱酸性です。 髪を洗っている状態では、ラウレス硫酸Naは、 ラウレス硫酸Na → ラウレス硫酸(ー) 、Na(+) にイオン化します。 この時髪の表面は、マイナスに帯電していますから、ラウレス硫酸(-)は、髪に吸着することなく、流れていきます。 一方、ポリクオタニウム-10(植物由来の半合成高分子)は、プラスに帯電しています。ですから、すすぎの際に、ポリクオタニウム-10は、髪をコート(吸着)し、心地よいすすぎ感を与えます。 また、フェノキシエタノールは非イオン性ですし、クエン酸はマイナスになっていますから、髪には残りません。 最後に、香料ですが・・・ 香料には、沢山の化学物質が含まれています。その中には、プラスに帯電しているモノもマイナスに帯電しているモノもあります。しかし、基本は中性で、香料は極性がない(イオン化していない)ことが基本なので、髪に残りません。・・・と、言っても実際には香りが残りますよね。 それは、「オイルが如く髪にへばりついている」だけです。今回の話のイオンとかとは別の話です。 では、もう1つのシャンプーを見てみましょう。 水 コカミドプロピルベタイン(両性界面活性剤) ポリクオタニウム-10 フェノキシエタノール クエン酸 香料 さて、先ほどのシャンプーとの違いは、コカミドプロピルベタイン、つまり、両性界面活性剤が主剤になっているコトです。先ほどのラウレス硫酸Naがマイナスに帯電して髪に吸着しなかったコトに対して、コカミドプロピルベタインが、すすぎの時に、プラスに帯電します。そうなると、コカミドプロピルベタインは、髪をコート(吸着)します。これがコンディショニング効果であり、こういったシャンプーが「リンス イン シャンプー」と言われるグループになります。 「リンス イン シャンプー」って、リンス成分が入っていると思われがちなので、シリコンやオイルが入っていると思ってしまいますよね。でも、実は、両性界面活性剤が主剤のシャンプーのコトなのです。 大人のニキビとすすぎ 大人のニキビに悩んでおられる方は多いようですね。乳液やクリームなどオイルの補給し過ぎで起こるニキビとはちょっと違った感じです。 瑠璃香にもそういった相談は多いのですが、まず、「アゴのラインに発生する」、「おでこ、特に生え際にできやすい」の2点は、まず、すすぎの不十分が原因の場合が多いです。 アゴのラインの場合は、洗顔後のすすぎの一番最後に、右のアゴ5回、左のアゴ5回をすすいでみて下さい。アゴのラインって、すすぎ水が最後に滴って溜まる部分ですから、最後の最後にきちんとすすぐことで、ニキビは随分減るはずです。 おでこや髪の生え際も同じです。シャワーで髪を洗った後、すすぎの最後に、上を向いて(天井を向いて)、おでこから頭皮側にシャワーをしてみて下さい。その時、少しだけ生え際を手で擦るのもいいでしょうね(ゴシゴシする必要はないですよ)。 この2つは、「タダ」で出来る改善なので、一度試してみてみては如何でしょうか?特に、夏場は、汗もかきますからね。 それから、ニキビと言ったら、洗浄力の強い洗顔で洗うといい!と、思っていませんか? そりゃ、10代の「皮脂の過剰分泌」が原因のニキビの場合は、1つの方法かもしれません。 しかし、強い洗顔は、肌バリアも奪います。その結果、ニキビになりやすくなる場合もあります。ニキビとは、その原因は「アクネ菌」という菌が肌(毛穴・皮脂腺)で増殖するからです。肌バリアを大切にするコトもニキビ対策です。そうそう、強い洗顔の中には、水で洗い流せるクレンジングも含まれますよ。肌に合ったタイプを選びましょうね。 昔は、ニキビの改善にアクネ菌に効く殺菌成分を使用するコトが有効とされていましたが、今は、「皮脂の酸化を抑制する成分」が有効とされています。例えば、油溶性ビタミンCなどは有効ですね。でも、油溶性ビタミンC配合の化粧品って高額なんですよね。まぁ原料が高いですからね。 「すすぎ」はタダです(笑)見直してみませんか? イオウの配合禁止 化粧品へのイオウの配合は、随分昔から行われています。しかし、2006年5月24日に厚生労働省から「化粧品へのイオウの配合の禁止」がされました。 事の発端は、2006年5月12日に東京都福祉保険局健康安全室長から、厚生労働省医薬食品局審査管理課長へ「イオウは、医薬品成分に該当すると考えてよいか?」との質疑(18福保健薬第214号)があったことにあります。 この質疑への回答として、イオウは日本薬局方に記載されており、有効成分としてイオウを用いた医薬品があることから、医薬品成分に該当する。と、しています。 つまり、2006年5月24日をもって、化粧品へのイオウの配合はダメになったのです。 しかし、ネットで検索すると、イオウ配合の化粧品は沢山引っ掛かりますね。主なモノは医薬部外品なのですが、化粧品もまだまだあります。 イオウは、殺菌効果や角質の柔軟化、古い角質層の除去、ニキビの予防など作用の他、還元漂白作用があることから美白目的の配合もあります。 イオウ配合で有名なトコは、ロゼットの洗顔ですね。老舗と言ってもいいかもしれません。ロゼットの場合は、医薬部外品なので、今回の話には掛かってこないでしょう。と、言うのは、医薬部外品の場合、個別承認を受けていますからね。厚生労働省のお墨付きってコトです。 しかし、イオウの配合を謳いにしている化粧品屋には打撃のある回答が出てしまったって感じですね。 化粧品を使う時間と効果 コエンザイムQ10などは、空腹時に食べるか、食後に食べるかで効果に違いが生じます。 同じように、化粧品も使う時間によってその効果が違ってくる可能性のあるモノがあるようです。 例えば、化粧品原料として最近流行のペプチド原料の中に、ヒトオリゴペプチド-1ってのがあります。この成分は、本来、ヒトの体内にもある成分で、EGFと略されています。 EGFは、細胞に働きかけ、繊維芽細胞を増殖させます。つまり、肌をぷるるんっとするのに一役かっているのです。 増殖させるシステムは、 1)細胞表面にEGFが引っ付く鍵穴(レセプター)ができます。 2)EGFが分泌されて、先の鍵穴(レセプター)に引っ付きます。 3)EGFの引っ付いた繊維芽細胞が増殖します。 といった具合です。 先ほど「化粧品も使う時間によってその効果が違ってくる可能性のある」といいましたが、このEGFがまさにその一例です。 と、言うのは、細胞の表面に鍵穴(レセプター)ができるのは昼間なのです。 しかし、体内のEGFの分泌があるのは夜で、繊維芽細胞の増殖は夜間に行われます。 つまり、EGF(ヒトオリゴペプチド-1)の配合化粧品の場合、夜に使うことが有効って話になります。 まぁ、本来、ヒトの肌の自然回復時間は22時で、その時に寝ていることが大切だと言われます。寝ていると、肌の復活の最適体温になるそうです。EGFも肌の自然治癒の一環とすれば、この「22時に寝ておく」ってのも分かりますね。 ビタミンCの分解 ビタミンCは簡単に水に溶けます。しかし、水中に溶かしたビタミンCは酸化して分解してしまいがちだと言われます。さて、どのくらい分解してしまうのでしょうか?ってのは今回のお話です。 ビタミンCを水に溶かし、弱酸性(pH5.0)にした後に、37℃で静置した実験結果です。 横軸が保持日数、縦軸が%を示します。 0日目を100%とすると、1ヶ月程度で90%以下になってしまっています。3ヶ月目には60%をきっています。 「弱酸性の化粧水中にビタミンCを配合しても、思った程分解はないなぁ」 という印象でしょうか? 手作り化粧品ならこの程度ならいいのでしょうね。 手作り化粧水で、弱酸性のモノを作り、ビタミンCを配合して1週間で使い切り(保存は冷蔵庫)なら、ほぼ大丈夫そうですね。 また、粉のアルコルビン酸を水に溶いて直ぐに使うなら何ら問題ないってことです。 でも、実際に、商品になると話は別です。 化粧品の場合、3年間の変質しない保証が必要ですし、製造から店頭に並ぶまで3ヶ月以上経っているモノなどざらにありますからね。 商品として「アルコルビン酸」と書かれている液モノは、まず、使用時にはアルコルビン酸は分解状態で美白効果はないです。 そこで、考えられたのが、アルコルビン酸の誘導体です。 誘導体の場合、アスコルビン酸よりも安定性は遥かに優れています。例えば、アスコルビン酸に糖を付けた誘導体の場合、このグラフ条件では、3ヶ月目で98%程度までしか落ちません。ほぼ分解なし!ってことです。 他もに、アルコルビン酸のリン酸MgやNa塩は、アルカリ条件下ではここまで分解は進みません。 ビタミンCの誘導体にも安定性のいい条件ってのがあって、それを理解して処方された製品なら、それなりの効果があると思いますよ。 石鹸に残す数%の脂肪酸 石鹸やアミノ酸系界面活性剤を入手し、その原料を直接泡立てると、意外に泡立たないなぁと、思ったことはないでしょうか? 洗顔フォームなどの全成分表示を見てみると、ココイルグリシンNaなどのアミノ酸系界面活性剤以外に、ラウリン酸やミリスチン酸などの脂肪酸も配合されていることに気づかれると思います。 石鹸やアミノ酸系界面活性剤などは、その活性剤濃度が高いと泡立ちがよくなると思われがちです。 しかし、実際には、数%程度の脂肪酸を、それも2種類程度配合することで、100%界面活性剤だった場合よりもより良く泡立つのです。 また、高分子としてポリクオタニウム−7などを配合した洗顔フォームもあります。これもいい泡が立ちます。 少量の脂肪酸や高分子を配合した方が、泡立ちがいい原因は、泡に粘りがでるからです。 粘りを持った泡は、気泡後、なかなかはじけません。ですから、結果として、モコモコと泡量をアップさせることができるのです。 他にも粘りを出す成分としては、グリセリンがあります。グリセリンの場合、活性剤の倍量のグリセリンを配合すると効果がはっきりします。 手作り化粧品でも、少しでも泡を豊富にしようと、中和度をやたらあげる方がいます。勉強不足の方なら、100%中和の計算で、水酸化Naを配合してしまうかもしれません。 しかし、そんなコトをしたら、残留する水酸化Naで肌がやられるかもしれませんし、アルカリの高い(pH10以上)場合、脱脂力がやたら上がって、肌をバシバシにします。また、残留の脂肪酸が少なくなるので、意外に泡立ちが落ちます。 洗顔フォーム中の脂肪酸って、泡立ちアップの為の配合だったりするのですね。 オリーブ油の値上がりと植物性スクワランの裏 昨年に比べて、オリーブ油の値段が格段にアップしています。それは、化粧品の業界にも大きな影響を与えます。 オリーブ油だけでなく、天然系のオイルは、その収穫高で値段が急に跳ね上がったりします。例えば、ホホバ油などは、不作続きで3倍にも値段が上がったりします。 オリーブ油はその名の通り、オリーブから収穫されます。このオリーブ、元々、1年目は収穫できても、2年目は採れず、3年目はまた収穫ができると、言った感じで2年に1回ペースの収穫だそうです。しかし、昨年、収穫できるはずの年に収穫ができず、不作が連発したことが原因だそうです。 また、オリーブ油は日本でも食品に使いますが、本場ヨーロッパでは無くてはならない食用油です。 いくら不作とは言え、食用をきらしたり価格を急激にアップする分けにはいきません。 そこで、化粧品などの業界がまず、値段アップの影響を受けます。 (余談ですが、昔、日本の首相がヨーロッパ訪問をして、オリーブ油が合わなかったらしく腹を壊したそうです。日本人からすれば、「オイルなら合わないのもあるかなぁ」程度に感じますが、このコトを日本に置き換えると・・・「ヨーロッパの首相が、日本の味噌汁を飲んで、腹壊した」って感じになります。イメージ悪ですね。まぁ、そのくらい、オリーブ油はヨーロッパ文化では日常のモノなのです。) 更に植物性スクワランもその影響を受けるのは必須です。元々植物性スクワランは、オリーブ油を精製する際の、「不純物」として捨てられる部分(ステムと言います)に含まれているのです。本来、オリーブ油中のスクワラン濃度は0.5%と言われていますから、大本のオリーブ油が採れないと、スクワランの回収も少なくなります。 そこで・・・、ずるが生じます。ずると言うと・・・。 「え?サメ由来のスクワランを混ぜるの?」 と、思った方も多いかもしれません。まぁ、そこまであこぎなコトはしません。実は、オリーブ油から回収したステムもナタネ油などを混ぜるのです。ナタネ油にもスクワランが混在しています。こうして、「量」をアップしたモノ(ステム)から、スクワランを精製回収します。 勿論、表示は、「植物性スクワラン」ってことに間違いはありませんよ♪ サメ由来スクワラン価格向上 石油の値段が上がっています。これって、化粧品の分野でも大きく影響しています。 単純に言えば、容器です。石油由来の容器は沢山ありますからね。まぁ、これは想像付きますよね。 意外なトコと言えば、サメ由来のスクワランです。石油と一見関係のなさそうな、サメ由来原料がなぜ値上がりするのでしょうか? ご存知の通り、スクワランには動物由来のモノと植物由来のモノがあります。動物由来のモノは、深海ザメの肝臓から抽出されます。 通常の魚の場合、「浮き袋」という器官が体の中にあるコトをご存知でしょうか?浮き袋とは、その名の通り、中に空気の入った袋で、これによって魚は浮いて泳げるのです。そう、魚って、浮き袋無しでは泳げない、金槌の動物なのです(笑) ところが、深海はすごい水圧です。ですから、浮き袋がぺちゃんこになって機能しません。そこで、深海ザメは、空気の入った浮き袋の代わりに、オイルの詰まった肝臓を持っているのです。オイルも水よりも軽いですから、浮きますからね。でも、空気よりも浮かないので、必然的にオイルは多く必要になります。ですから、肝臓もでかくなります。深海ザメの肝臓の60%以上がスクワレンで出来ているそうです。 話を戻しましょう。その深海ザメを捕まえるのは、漁師の方々です。漁師の方はサメを専門に取っている訳ではないのです。漁船を動かすのは、石油です。同じ石油を使うなら、儲けの高いモノを捕まえたいですよね。ですから、サメの漁獲高は下がってしまいます。結果として、スクワランの値段が上がるのです。 「風が吹いたら桶屋が儲ける」そんな話です。 VCの酸化を防ごう 水中にビタミンCのリン酸Mg塩タイプを溶かすとやがて酸化されて、水溶液は黄色く変化します。 これは、ビタミンC誘導体がMgイオンを手放すことで、活性化してしまい自分で勝手に酸化してしまうのです。 つまり、「Mgイオンを手放す」ということは、 ビタミンC誘導体〜Mg ↓ ビタミンC誘導体(ー) 、 Mg++ と、なることです。まぁ、Mgという蓋がしてあったのに、その「蓋が取れた」と思って下さい。 では、逆の発想をしてみましょう。もし、Mgイオンが離れなかったら・・・ビタミンC誘導体のリン酸Mg塩タイプは黄色くならないのか? 答えは、「黄色くなりません」 ではでは、どうすればMgイオンは離れないのか? 方法は、3つあります。 その1:水に溶かさない。 単純なようですが有効です。実際に、原料メーカーから供給されるビタミンC誘導体は、白色の粉で売られてきます。しかし、Mg塩タイプは、水に溶けにくいのが欠点で、粉を入手しても使いにくいですね。 その2:アルカリ性の化粧水に配合する 何度かここでも話題になっていますが、ビタミンC誘導体でリン酸Mg塩タイプの市販化粧水(医薬部外品も含む)は、アルカリ性に処方されます。その理由は、pHの関係で、アルカリ溶液中ではMgイオンの遊離があまりしない(Mgイオンを手放すことがない)からです。 その3:特定の高分子を使用する ある特定の高分子は、その性質上、ビタミンC誘導体からMgイオンが離れることを阻止する性質があるモノがあります。どの高分子でもそうではなくて、極限られた高分子の性質です。ビタミンC誘導体のリン酸Mg塩タイプの水溶液にこの高分子を配合すると、加熱などの厳しい環境下でも、ビタミンC誘導体の酸化を抑えることができます。 「え?どんな高分子かって?」 そ、それは・・・企業の都合で公開できないのが残念です(汗) なら、言うなってか(自爆) SK-II報道問題に関して 2006年9月15日に中国の国家質量監督検験検疫総局が、日本から輸入されたマックスファクター「SK−II」シリーズの乳液など9種類の化粧品から、使用が禁止されているクロムとネオジムを検出したとの報道がありました。クロムとネオジムは、それぞれ長期使用により湿疹(しっしん)や肝障害を引き起こす可能性があると報道しています。 このことは、日本政府が5月末に残留農薬規制を強化するポジティブリスト制度を導入、中国産農産物の対日輸出が減少したことへの対抗措置という、政治的な背景を含む可能性があるようです。 この報道に関して、マックスファクター側は、HPを通して、 「当社では、SK-IIのすべての製品において、今回、中国で報道された成分を原材料として配合しておりません。」 と、しています。 そりゃそうです。日本の化粧品って、商売だけでなく、結構ブライドもって商品化をしている処方担当者が作っているのです。セコイ真似はしませんよ。 また、HPでのコメント上に 「また、中国への輸出においても、当社での品質検査はもとより、中国の輸出入管理当局で承認を得たものが市場に出荷されており、安全性上の問題はないと確信しております。」 とあります。このコトは、このクロムとネオジムが検出した商品が、輸出時に確認された訳ではなくて、店頭に並んだ後、つまり店頭品を回収チェックした際に確認された可能性を意味します。 つまり、本当に「バージン品」だったのか?という疑問が生じます。 しかし、逆に、大きな工場で生産する場合、その配管部品や、貯蔵タンク内の錆びや劣化部分から金属イオンとしてクロムなどが溶出する可能性・・・あるかなぁ?大抵は、化粧品の場合、ステンレス製のタンクや部品を使いますからね・・・。と、思ったら・・・。 そうかぁ、ステンレスかぁ・・・(一人で納得するなってか 汗) クロムは鉄の錆を抑制するので、クロムメッキなどとして使用されます。口紅などを作る鋳型のメッキに使用された例などもあります。名称をクロムメッキとすると、分かりやすいのですが、10.5%以上のクロムを含む鉄の合金をステンレス鋼と言うのです。 ただ、クロムそのモノは必ずしも悪役ではなくて、ヒトにとって必須元素の1つです。クロムの不足は、インスリンが不活化につながります(勿論、六価クロムは特に人体に有害であり、土壌汚染でしばしば問題になったりしています。)。 また、ネオジウムの場合、その酸化物はガラスの着色剤に使用されます。SK-IIがどんな資材の容器を使用していたのかは不明ですが、ガラス容器の成分が化粧品中に要出する可能性は実際にあります。 いずれにしても、情報が少ない中での報道です。今後を見守りたいですね。 たまにはパラベンの話を パラベンは大嫌いと言って、使用しない方が多いですが、化粧品の業界の中では、最も安全性の高く抗菌効果も高い成分として使われています。 しかし、このパラベン、入っていれば効果があるという訳でもないのです。パラベンと一緒に何を配合するかで、パラベンは不活化したり、逆に効果をアップしたりします。効果がアップするなら当然パラベンの配合量も減らすことができます。処方担当者もパラベンフリーがいいとは思っていても商品を最後まで使って頂くには仕方なくパラベンを配合するのです。だから、少しでも少ない量の配合でカバーできるように工夫しよう!というのが、プロの処方担当の仕事になります。 例えば、 パラベンにグリセリンやソルビトール(糖の一種)を配合しても防腐能力は善くも悪くもなりません。 しかし、BGを配合すると防腐力がアップします。それは、BGも防腐力があるからと言う訳ではないのです。 パラベンというのはいくつか種類がありますが、共通して言えるのは、 1)油系に溶けやすい 2)でも少し水に溶ける 3)その水に溶けた分が防腐効果を発揮する という具合です。 実は、水中にBGが混ざっていると、パラベンが水の方に溶けやすくなります。そうなると必然的に防腐力があがるのです。 化粧水の基本処方を見ると 化粧水1 : 水/グリセリン/BG/エキス/パラベン 化粧水2 : 水/グリセリン/エキス/パラベン という2種を比較してみましょう。 一般的な見方では、化粧水1は「グリセリンとBGで使用感を調節している」と考えがちです。まぁ、外れてはません。 でも、プロの目線では、「BGを入れてることで、パラベンの防腐力アップさせているなぁ。つまり、こっちの方が処方中のパラベン濃度は低くなるように工夫されているなぁ」と、見ます。 一見、同じ化粧水でも、安全性への配慮って細かくされているのですよ♪ カオリンの殺菌 原料自体も殺菌ってのを行ってから商品化されています。こと、粉の原料では、ガズ滅菌ってのが行われます。例えば、手作り化粧品でも有名なカオリンなどは、輸入される際に、ガズ滅菌という方法を使って殺菌するのが一般的です。 しかし、ガス滅菌すると、微量ながら酸化エチレンガスが残留します。 カオリンは、手作り化粧品以外にも、医薬品としても使用されますので、この酸化エチレンガスの残留を嫌う医薬品メーカーもいます。そういったメーカーは、わざわざ熱殺菌を行っている原料メーカーを探すのです。まぁ、わたしの知る限りでは、カオリンを熱殺菌してる大手輸入メーカーは、一社だけですね。 通常の化粧品メーカーも、自分のトコで使っているカオリンがどんな殺菌法で処理されているのか?などとチェックしているトコは、多くはないようです(まぁ、流石に大手メーカーさんはやってるでしょうけど)。 因に、酸化エチレンガスは、発がん性があるようです。しかし、粉モノの殺菌としては優れています。たまぁ〜に、生薬やスパイス系の輸入時に、殺菌&殺虫を兼ねて、タンカー(輸入船)の中でガズ滅菌が行われていたと言う話も聞いたことがあります(今はどうか知りませんが)。 でも、世にはいいモノもありまして、酸化エチレンガスによるガス滅菌後、酸化エチレンガスを除去する専用の機械が売られています。 粉モノって、その間に空気が入っていますから、そこに菌やカビ、虫なんかが入っちゃうんですよね。どういった殺菌法が最適か!今後も知識を高めたい点です。 ウンデシレン酸グリセリルについて
ウンデシレン酸は、炭素鎖11個という、珍しい奇数タイプです。思い出して下さい、ラウリン酸は12個、ミリスチン酸は14個、パルミチン酸は16個、ステアリン酸は18個・・・、と、基本は偶数なのです。 このウンデシレン酸、天然界にないのか?というとそうではありません。涙に含まれているようです。 元々、このウンデシレン酸が抗菌作用があるので、それをグリセリンに付加して、抗菌性のある乳化剤として誕生したのが、ウンデシレン酸グリセリルです。 ウンデシレン酸グリセリルは、モノ脂肪酸グリセリルの仲間で、ノニオン界面活性剤です。界面活性剤の種類の中では、塗り切りにも使用されるなど、安全性の高い種類に属します。 抗菌性は?となると、以下の通りです。数値が小さい程、少量で抗菌性を発揮しているコトになります。 大腸菌 ウンデシレン酸グリセリル 310μg/mL メチルパラベン 2000μg/mL プロピルパラベン 500μg/mL 酵母菌 ウンデシレン酸グリセリル 630μg/mL メチルパラベン 1000μg/mL プロピルパラベン 250μg/mL カビ ウンデシレン酸グリセリル 630μg/mL メチルパラベン 1000μg/mL プロピルパラベン 250μg/mL と、プロピルパラベンには劣りますが、メチルパラベンよりも優れた抗菌性の一面を持ちます。 24時間閉塞ヒトパッチテストを8人程度で行った場合(3%水溶液で試験)、刺激はなかったそうです。 なかなかの優れものなのですが、使用する際に、基剤が柔らかくなってしまう場合があるのが玉に傷ですが、そこは処方担当者の技術力でカバーできる範囲だと思います。 面白い原料ですね。 プロが考えるパラベンの話 菌は生き物です。化粧水の中で増殖して、変な臭いを発生させたり、有害な成分を発生させる原因になる菌は、そう、生き物なのです(当たり前ですが)。 生き物が生きる為には、「水」が不可欠です。ですから、菌は、水中で増殖します。 「何の話?」 と、お思いかもしれませんが、化粧水の防腐の話です。 化粧水、特に乳液やクリームには、「水」と「オイル」が入っています。菌は、その中の水相で増えます。つまり、抗菌剤や殺菌剤は、その水相に存在しないと効果を発揮しません。抗菌剤が、オイル側に溶けていたら、菌のいる水相での防腐剤濃度が低くなり、抗菌性を発揮しないのです。 例えば、0.1%パラベンを入れたとしましょう。 乳液中全体のパラベン濃度は、0.1%です。 この乳液は、90%が水で、10%がオイルだったとします(ややこしいので活性剤%は無視です)。 1)パラベンが水に全部溶けていたら、乳液中の抗菌効果のあるパラベン濃度は、 水90にパラベンが0.1溶けているので、 効果のあるパラベンは、0.1/90(%) = 0.11% と、なります。 2)このパラベンが全部オイルに溶けてしまったとしたら、乳液中の抗菌効果のあるパラベン濃度は、 水90にパラベンが0溶けているので、 効果のあるパラベンは、0/90(%) = 0% となります。 まぁ、分かりやすいように極端な例を挙げましたが、乳液中に0.1%パラベンがあるからといって、効果のあるパラベンの割合が、0.1%ではないのです。 でも、1)でも2)でも肌に塗るパラベンの濃度は同じになります。 実際に処方される場合、2)は、乳液中のパラベン濃度が0.1%では、防腐を獲得できませんから、0.5%とか配合しちゃう可能性もあります。そうなると、塗った人への負担が大きくなりますよね。 如何に、パラベンを水相に溶かし、少量で効果を発揮させるか!パラベン濃度を減らコトも処方担当者の技量になります。 SK-IIの重金属含有問題その後 SK-IIにクロムやネオジウムといった重金属が含まれていた話題は尾をひいていますね。 検出された、検出された!と、報道では言っていますが、その量の話はお聞きになった方はいるでしょうか? 今回、中国当局から指摘されたクロムの量は、世界保健機構(WHO)が日常の食生活で摂取された場合でも安全と考えられる最大量の1/100以下です。ネオジウムに当たっては、WHOがが日常の食生活で摂取された場合でも安全と考えられる最大量の1/1000以下です。 この規格は、重金属とかにうるさい日本やヨーロッパでも安全とされている値です。 因に、日本の化粧品の場合、純度試験という原料での規格があり、そこで、ヒ素と鉛の含有量を確認しています。通常の規格は、20ppm以下ですが、最近は自社規格で10ppm以下でないとダメ!としているトコが多いです。 検出されるということと、それがどの位の量なのかは全く別モノです。 更に、そこに国のイメージが付加されますと、こういった混乱も起きるかもしれません。 我々だって、異国のイメージを勝手に持っています。例えば、フランスの香水なら良さそうだとかもそうです。アロマやアーユルヴェーダに魅力を感じるのも異文化に対する感情の1つです。 化粧品がイメージ商品である以上、避けられない反応だったのかもしれませんね。 金コトイドの話
また、妊娠検査薬で、陽性なら赤く表示されますよね。あそこにも微粒子の金が使われています。 最近は、白金だの銀だの金だのと、ナノ粒子化した原料が化粧品に配合されていますね。 ああ言ったナノ粒子を作る技術は元々は、写真やペンキの世界で発達したモノです。 例えば、写真の印画紙に銀が使用されて、その銀が微粒子であるほど、美しく繊細に表現されます。 塗料では、白金やチタンなど太陽の光エネルギーを利用し活性酸素を発生させる性質を利用して、汚れない白壁などに使用されます。 また、白金は酸化触媒機能があるので、車のマフラーの中に仕込まれて、一酸化炭素を二酸化炭素に変換したりしています。 こういった金属微粒子は、むき出しというか、表面コートされていないのが一般です。 しかし、化粧品に配合される酸化チタンなどは、表面に、シリコンや脂肪酸などのコートがされて、直接、肌に金属が触れないようになっています。また、コートすることで、フリーラジカルの発生を抑え、肌への被害を抑えています。 コートと言えば、紫外線吸収剤をコートして安心です!なんて商品の謳いもありますが、安心じゃないです(笑)紫外線吸収剤は基本的に液体です。液体は必ずしみ出します。 他にも、油溶性ビタミンやオイルをナノ化するなどの表現がありますが、あれは、牛乳みたいな感じで、水にオイルが細かく分散してるのです。ですから、金属の微粒子のナノの話とはちょっと違ったモノになりますね。 金属のナノ粒子が危惧されているのは、2ナノの大きさなら細胞の穴(レセプターなど)から細胞内に入ってしまう可能性があるからです。 入るから出るって訳ではないですよね。例えば、貯金箱にお金は入りますが、振っても出ませんものね。細胞内で蓄積した金属そのモノは無害でも、真珠貝の真珠のようにそれをコアにして何が起こるか分かりません。 ただ、100ナノとかの大きさになると流石に細胞には入らないようですけどね。 カルボマーの話 カルボマーという成分を全成分表示でよく見かけると思います。 カルボマーは石油由来原料の一種で、高分子です。水溶性のビニルポリマーという種類に分類されます。 手作りコスメなどでは、ゲルを作る原料として有名ですよね。 カルボマーは、石油系ですが、安全性が非常に高い原料です。しかも、微生物汚染に強い為、素人の方が扱っても使いやすい原料の1つでしょう。何よりも、少量でかなりいい感じのゲルを作ることが出来ますしね。 ただ、カルボマーにも使い方があります。まず、第一に、水に分散させるコトに時間が掛かります。 そうですねぇ〜、ちょっと古いタイプのカルボマーでしたら、水に分散させるのに1時間近く撹拌しておくのが良好なゲルを作るコツになります。しかし、最新のカルボマーは、水に分散させるのに5分程度でOKなタイプも出ています。これは、同じカルボマーという名でも、水酸基の量などが異なる為です。 また、カルボマーは、水に分散させた後に、アルカリ剤で中和することで初めてゲル化します。 通常は、水酸化Naや水酸化Kで中和しますが、アルカリ性のアミノ酸であるアルギニンでも中和が可能です。しかし、アルギニンで中和した場合、水酸化Naで中和した場合よりもゲルが柔らかい感じになり、ぷるぷる感が劣ります。しかし、その変わりに、中和の計算ミスで、ゲルがアルカリに行き過ぎるってことはありません。そこがアミノ酸で中和するコトの利点でもあります。 先ほど言いましたように、カルボマーは簡単にゲルを作ることができます。 基本は、まず、ゲルを作ってから入れたい成分を加えるのが手順となります。 例えば、グリセリンとかBGなどはゲル化させてから加えるのがいいでしょう。 植物エキスやエタノールも簡単に添加できます(ただ、高濃度エタノールで処方するのは困難ですが)。 しかし、カルボマーのゲルも万能ではありません。入れるとゲルが崩れて液化してしまう成分もあります。その代表は、「塩」です。塩化Naやにがりなどの塩が入ると極端にゲルが崩れます。 塩と同じ効果を持つモノに界面活性剤があります。アニオン界面活性剤は、イオン化して、一方は活性剤になってもう一方は塩(カリウムイオンやナトリウムイオン)になります。そういったモノがカルボマーのゲルに入ると液化してしまいます。ですから、カルボマーと一緒に入れる乳化剤は、ノニオン界面活性剤が多いです。ノニオン界面活性剤はイオン化しませんから、塩がでませんからね。 化粧品業界のナノ金属のもっぱらの背景 金属ナノコロイドがもてはやされていますね。 特に小さいサイズ、2ナノなどといった大きさのサイズの白金などが流行っているようです。 ヨーロッパでは、2ナノの大きさの金属は、金属本来の性質は別として、第二のアスベストになるのでは無いかと危惧し、使用の収束に掛かっています。 一方、日本では、アスベスト問題が大きく話題になり、2ナノの白金なども収束に掛かっていたのですが、そんな中、ロートさんが2ナノの白金を美容液等で採用されました。 これが、化粧品業界の引き金になったようです。 ロートといえば医薬品の会社です。医薬品レベルの仕事をしているのだろう!と誰もが思います。 安全性が危惧されて、使用を迷っていた化粧品屋は、 「大手医薬品の会社が使うなら当面の安全性は大丈夫だろう!」 と、踏んだようです。そこで、化粧品業界の一部も2ナノの白金を採用し始めました。 そこに加えて、宣伝上手なDHCさんがバァ〜ンと、2ナノの白金を採用。 今、まさに2ナノの白金は、大手を降って一般に受け入れられようとしています。 しかし、2ナノでの長期安全性や蓄積のデータはないのです。 また、白金は食品添加物でOkが出ているし、蓄積データもないとのコメントもありますが、あのデータは、2ナノサイズでの実験結果ではありません。異なる古いデータを活用して商売に走り切ってしまって今の流れが怖いですね。 わたしの知る限り、2ナノの白金を作って化粧品業界に販売している会社は、2〜3社です。いずれも抗酸化力などのデータは出していますが、食べたり塗ったりした時のデータは、2ナノサイズでのデータはありません。また、長期使用での安全性データなどどこも持っていません。なのに、売っています(ToT) 商売と割り切れば、何やって尾いいのか?安全性の問題で足をすくわれるのは、結局消費者ですからね。 角質層の水分量 化粧水に配合される代表的な保湿剤に、グリセリンやBG(ブチレングリコール)やPG(プロピレングリコール)、DPG(ジプロピレングリコール)があります。お持ちの化粧水にもどれか1つか2つは入っていると思います。 今回は、その保湿に関する比較データがありましたので、ご紹介します。 グリセリンやBGなどをそれぞれ10%配合したローションを作り、肌に塗り、その塗った部分に30分間送風し、強制乾燥させたデータです。(湿度40%、風速7m/s) グリセリンの保湿性の高さが伺えるデータですね。 また、BGやPG、DPGも保湿はするのですが、やはりグリセリンにはかないません。 乾燥してしまうと、オイル系に走りがちですが、やはり乾燥にはグリセリンの効果がある場合があります。しかし、同じ保湿系でもBGなどでは、乾燥肌を改善するまでの効果はないようですね。 肌色という表現 化粧品に於いて、色というとファンデーションや口紅、アイカラーの類いでしょうか。 ファンデーションの場合、肌色をその濃さからオークルとかピンク、ベージュとか表現しています。 もうお馴染みの表現でしょうかね。 しかし、1998年頃には、この「肌色」という表現が差別用語になりかねない!という議論があったことをご存知でしょうか? 本来「肌色」とは英語ではflesh colorと表記され、当初は「肉色」と訳されていました。 いやぁ、「肉色ファンデーション」・・・ちょっと嫌だなぁ(汗) 話を戻しましょう。 やがて、肉色は、「肌色」と表現されるようになりました。 そもそも何で「肌色」が差別用語なのでしょうか?と、思うでしょう。 「本人の意思、努力に関係なく、身体的特徴をもって区別する表現」を差別用語としています。 だから「オシ」、「メクラ」は差別用語です。また、「ノッポ」、「チビ」も差別用語になります。 ですから、お笑いの殿堂である吉本新喜劇の池野めだかさんなどは、小さい事をギャグにしていますが、新喜劇の台詞の中に「チビ」などの表現は採用されません。 つまり、肌色という表現は、肌色よりも黒い色味の肌の方や、白みの強い肌の方への差別用語に成り兼ねないというのです。 さてさて、話を戻しましょう(汗)。 それでもって、クレヨンなどの色は、JISにちゃんと「肌色」という規格があります。 クレヨンなどは、その規格に乗っ取って作製されますから、色の表記も当然「肌色」です。 そこで、最近は、JISの規格を外してでも、肌色と表現しないように配慮している旨があるようです。 じゃぁ、化粧品の研究の人は肌色をどう表現しているのでしょうか? 化粧品の研究の場合、Lab値を使われる方が多いようです。 Lab値とは、L値(白〜黒の具合)、a値(赤みの具合)、b値(青み、黄みの具合)をさします。 言葉では表現しきれないですから、数値化してしまいます。他にもXYZ値とかxyz値とか使いますが、RBG値は化粧品の業界では、使わないんですねぇ〜。 ヘクトライトについて 化粧品に於ける「泥」と言えば、ベントナイトが有名でしょうか。 同じ泥でもヘクトライトというモノがあります。 このヘクトライトは、最近では美容液などにも採用されているようですね。 ベントナイトもそうなのですが、このヘクトライトも水を沢山抱える泥です。1%以下でも水を抱えてゲル状にしてくれます。今まで、美容液のトロトロ感(コク感)を出していたのはヒアルロン酸Naが主力だったのですが、ヒアルロン酸Naは大量に添加するとベタベタしますし、何よりも高価です! 他にゲルを作る有名なモノにカルボマーがあります。安全性はピカイチなのですが、合成系を好まれない企業は避けたりします。 そこで、割と安価でコク感を出せるモノとしてヘクトライトが流行ってきています。 ベントナイトとヘクトライトの違いを下記に列記しましょう。 ベントナイト 水を抱えてゲル化する 鉄成分を含有する 針状シリカの結晶を含む為に、第二のアスベストとしての懸念がある 粒径が大きく密着感がある アニオニックな性質を持つ ヘクトライト 水を抱えてゲル化する 鉄成分を含有しない 針状シリカの結晶を含まない 粒径が細かくさらさら感がある アニオニックな性質を持つ その他にも、ヘクトライトは、チキソトロピー的な性質があります。 まぁ、簡単に言えば、普段はゲル状なのですが、振ると液状になります。 その性質を利用して有名どころのスプレー式の制汗剤などに配合されています。 分散は簡単で、撹拌しながら水に混ぜるだけです。 1%以下で、角立つゲルを作ります。面白い原料ですよ。 |