最新情報へジャンプ 白金の2ナノの粒子に関しては、以前にカキコしたことがありますね。 今回は、フラーレンについてです。 フラーレンは、ビタミンCの何倍もの抗酸化力がある物質として着目されています。 構造的には、炭素の骨格でサッカーボールの形を作ったようなモノです。 炭素が60個も引っ付いてできたその形は、「美」に値します。見るからに合成物のようですが、実際には、天然界にもその存在が認められています(シュンガ石中に含有があるらしいです)。 まぁ、その構造を見ているだけでも楽しい(理系だからか?)ので、いくつかサイトを紹介しておきます。 http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/C60/C60.html http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/fullerene1/fullerene.html http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/fullerene/fullerene2.html http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/C60syn/C60syn.html http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/fullerene5/fullerene5.html まぁ、姿形はこの程度で・・・(いやぁ、美福眼♪・・・マニアック?) さて、本題です。 この世で怖いモノは、分解されないモノです。 フラーレンもその構造上、非常に安定です。構造が安定ってことは、少量でも体内に入ると長く仕事をする。その結果、何を起こすか分からないってことです。 例えば、トリチウムという物質があります。水爆の原料の1つの放射性物質です。 わたしも大学時代に使っていたのですが、トリチウム自体の放射線で生物を殺すことはありません。 しかし、そのエネルギーが半分になるのに、12年も掛かります。 エネルギーはわずかですから、この物質を生物の体内に入れても、生物を殺すことなく、どう代謝されるか、どう移動するか確認できます。しかし、その放射線はわずかですが、DNAの一部を切断するくらいのエネルギーはあるのです。通常は、切断されても修復しますからいいのですが、卵子や精子の細胞でDNAの切断が起こると次世代に影響します。 固体を殺さないエネルギーでも、分解の悪いモノは長い目で悪影響を出すと思います。 で、フラーレンの話です。 強い抗酸化力を保つフラーレン。その抗酸化力は、必ずしもいいコトばかりではありません。酸素呼吸を行う動物である以上、酸化還元は生物のエネルギー系で必要不可欠です。 分解性が悪いってコトは、蓄積もあるかもしれません。 このフラーレン、どういう経緯で化粧品に配合されているか知っていますか? 1)化粧品の規制緩和で、何でも化粧品に配合しやすくなった時代が来た(2001年4月) 2)医療機関でしかフラーレン配合の化粧品を販売しなかった。(つまり、何か起こればチェックが効く状況でしか販売しない) 3)一般の化粧品への配合も開始(2005年頃から) 今後は、こういった使用実績(という名の使用実験に思えますが)をバックに、医薬部外品や医薬品に配合を目指すと思います。非常に計算ずくめの様に思えます。 安全性がちゃんと確認できれば「非常に面白い原料」と思います。 ただ、大手化粧品屋はよく分かっているようで、白金ナノ(2ナノタイプ)とか、フラーレンを使っているのはマイナーな小さい会社か、医者系の「副作用アリ」の世界の会社です。本職化粧品屋では、「効果も大事ですが、安全性が最も大切!」と本分を忘れていません! フラーレンは、今後の動向を着目したいですね。 香料/精油のこぼれ話 香料はシャンプーなどの洗い流し商品だけでなく、化粧水などの塗り切り商品にも配合されます。 香料は、精油同様に様々な成分が何十と混ざってあの香りを出しているのです。つまり、単一の物質ではないのです。 化粧品業界と同様に香料業界ってのがあります。化粧品原料が自主規制ながら国際的な原料の規格や定義を持つように、香料の業界も自主規制で規格や定義を持っています。 規格は沢山あるのですが、その1例として、香料及び精油の使用部位への配合濃度上限の基準です。 2006年11月現在の話ですが(来年当たり更に細分化して規格が変わりますが)、大きく分けて3種です。 1)肌への塗り切りの場合の塗布濃度の上限 2)洗い流す商品への配合上限 3)直接肌に付けない場合の配合上限 です。 1つ目は、化粧水などですね。香水もこの仲間になります。 2つ目は、シャンプーなどですね。 3つ目は、部屋や衣服への香り付けですね。 例えば、精油の中でベルガモット油などは、 1)肌への塗り切りの場合の塗布濃度の上限 → 75% 2)洗い流す商品への配合上限 → 上限なし 3)直接肌に付けない場合の配合上限 → 上限なし です。 また、天然の精油も色々問題があるようです。 香料業界の最も重視すべき点は、「香り」です!まぁ、当然ですよね。 更に、彼らは香りのプロですから、精油の成分の中味の細かい成分も熟知していますし、どの成分が少ないとどう香りだちが変わるか分かっています。 精油は天然成分ですから、その年の気候条件や産地などで大きく香りが変わります。 もう一度、カキコしますね。「香料業界の最も重視すべき点は、「香り」です!」 そう、重要なのは「香り」なのです。 で、安い精油ってありますよね。ああいった精油は、「足りない成分」を補って同じ香りに調節されているモノが殆どだそうです。 しかし、精油の成績書としては、メーカー側から調整後のデータが添付されます(汗) 一般の方だけでなく、販売だけを行っている精油系の雑貨屋さんなどは、こういったコトを知らない場合が多いようです。 「わたしのトコの精油は、メーカーのデータがあるから天然だ!」 とは、いかないようです(汗) 最近のエキスの話その1 最近は、様々なエキス類がデータを添えた形でその効果を紹介されています。 昔は、「漢方薬として○○に有効であった」とかがエキスの謳いでしたが、今は、「ヒト培養細胞を用いた結果、◎◎のmRNAの発現が2倍になった」などといった分子レベルでのデータが多くなっています。 今回は、そんな新しいエキス達を美白効果を中心に羅列してみました。
同じ美白と言っても、メラニンの合成のどの部分を抑制するのかなどが違いますね。 まぁ、「メラニン生成抑制」とか「チロシナーゼ阻害」などと書かれているエキスの多くは、マッシュルームを使ったメラニン合成阻害の試験を行っているのでしょう。 マッシュルームの試験法とは、簡単で、マッシュルームを水中でバラバラにして濾過して得た水溶液を試験管に回収します。そのままですと、やがて空気酸化が進み、水溶液は黒くなります。この黒くなるのがメラニンです。 そこで、そのマッシュルーム液に、エキスを添加してやり、その黒くなる度合いをどれだけ抑制したか!で効果を確認します。大抵の対象はビタミンCだったりします。 殆どのエキスは、そのエキス中の有効成分が不明だったりしますが、ディオスコレア・コンポジータエキスのように、その有効成分の同定(1,3-ビス(2,4-ジハイドロキシフェニル)プロパン)が出来ているモノもあります。 他にも、面白いトコでは、ニワトコエキスなどではヒスタミン刺激抑制なんてのがありましたね。 ヒスタミンの刺激はメラニンの生成を誘発します。このエキスの場合、培養細胞としてメラノサイトを用いて、ヒスタミンによる形態の変化抑制、α-MSH刺激による細胞内刺激伝達物質であるcAMP量の上昇をヒスタミン特異的に抑制するなどが確認されています。 最近のエキスの話その2 最近は、様々なエキス類がデータを添えた形でその効果を紹介されています。 今回は、その第二段です。 昔は、「美白」とか「抗炎症」とか「抗シワ」などという表現が多かったのですが、最近では「抗老化」という表現が多く使われるようになっています。その背景には、複数の作用を持つコトを意味しているのです。 今回は、そんな新しいエキス達を抗老化効果を中心に羅列してみました。
基本的に「抗老化」の場合、2つの方向性があります。 1つ目は、コラーゲンやヒアルロン酸の合成促進です。 細胞増殖というのもありますが、主に、ヒアルロン酸やコラーゲンを産生する線維芽細胞を増やすコトですので、同じコトです。 2つ目は、コラーゲンやヒアルロン酸の分解酵素の働きを抑えるコトです。 分解酵素とは、上記でも出て来ていますが、コラゲナーゼやヒアルロニダーゼのコトです。 コラーゲンなどの分解は、紫外線や酵素以外でも、活性酸素などでも起こりますが、そういったコトを抑制する場合は、抗老化ではなくて、「抗酸化」と表現される場合が多いようです。 他にも、抗菌作用ではカワラヨモギが面白いデータを出しています。 他にも、桜エキスも線維芽細胞に於ける女性ホルモン物質(17β-エストラジオール)産生に高い効果を発揮しています。 こらからも、どんどんいいモノが生まれてくるでしょう。しかし、こういったエキスは、実験データと同じ濃度で化粧品に配合されている保証はありません。また、pHなどの影響も大きく受けると思います。我々処方担当者は、こういった良いデータをどこまで皆様に「商品として」お伝えできるか!ってトコが勝負になるのです。 原料屋の努力 クリームや美容液を作る際に、どうしても乳化剤などが必要になってきます。 その時に、使用感を取るか、刺激の低い乳化剤を選択するかは、メーカーのコンセプトによります。 基本的に、分子量の大きい乳剤は、少量での乳化が可能なコトと、肌への浸透性が低くなる為、刺激があまりない結果となります。例えば、水添ヒマシ油にポリオキシエチレン(PE)を付けたタイプなどがそういった乳化剤になります.具体的に言うなら「イソステアリン酸PEG−20水添ヒマシ油」などがソレに当たります。 しかし、こういった合成モノは、どういった方法で合成したのか?という、その合成の方法によって刺激が変わってきます。具体的に言うなら、水添ヒマシ油にポリオキシエチレンを着けるには、中和という方法を用います。 ポリオキシエチレンを着ける為の中和に用いる酸として、一般には酢酸が使われます。工業用の乳化剤を製造する場合は、大方この方法のようです。 しかし、酢酸によって中和して出来た、ポリオキシエチレンを付加された水添ヒマシ油はちょっと刺激があるのです。 そこで、化粧品用として、よりマイルドな中和方法として◎◎◎酸が使われるコトがあります(残念ながら◎◎◎は企業秘密です)。全てのメーカーがこの◎◎◎酸による中和を行っている訳ではなく、よりマイルドな製品作りに努力、研究したメーカーが採用しています。 では、◎◎◎酸を使っていないメーカーは企業努力をしていないのか? と、なるとそうでもないです。ポリオキシエチレンが20モルまでなら精製が可能なので、酢酸を極力削除します。 しかし、20モルを超えると、今度は、液状ではいられなくなり、粘稠な液体になります。そうすると、精製(濾過)が困難になります。そういった場合、限外濾過という非常に特殊な濾過法を用いて精製します。しかし、(これまたそうなのですが)全てのメーカーが限界濾過の装置を持っている訳ではありません。ありません。 我々、化粧品の処方担当者は、こういった原料屋さんのたゆまぬ努力の恩恵を沢山受けています。ただし、処方担当者も勉強をしないと、こういったコトも知らないただの混モノ屋に成り下がってしまいます。日々、勉強、勉強(^o^; アクアポリンに着目 細胞にはレセプターという鍵穴がります。そこに、ホルモンや増殖因子などが付くと細胞が活性化されて働きだします。 そして、レセプター以外に「水を通す穴」があるはずだとされてきました。その説を唱え始めたのは100年以上も前の話なのですが、実際に発見され、公になったのは2003年にこの件でノーベル賞が出てからでしょう。この「水を通す穴」の事をアクアポリンと言います。 最近は何でも遺伝しまで調べる傾向が高いですね。このアクアポリンも13種類の遺伝子が確認されています。この13個の遺伝子には名前が付いていて、その1つがAQP3遺伝子と言います。 なぜ、このアクアポリンが重要なのでしょうか? 通常の体内では、血管(毛細血管)を通して栄養や老廃物のやり取りがされます。しかし、肌の場合、毛細血管が存在しているのは、真皮層までです。表皮には血管は存在していません。生物学的には「体液」を通して細胞の栄養補給や老廃物の排出が行われているとされていますが、その流れを作っているのがこのアクアポリンだというのです。 カネボウの研究では、あるエキスが、AQP3遺伝子を発動させるコトを確認したそうです。 また、AQP3遺伝子を人工的に破壊した肌の場合、皮膚の厚さや形態は正常ですが、角質水分量と皮膚の弾力性が低いコトを確認したそうです。 で、今、そのエキスを売り込んでいます(^o^) 最近の化粧品原料は、このように、遺伝子レベルでの確認の上、商品化されます。 まぁ、昔と比べて遺伝子の発現、特にRNAの発現を確認する手法も簡便になって、PCR(RNAの発現を見る機械)なども扱いやすくなっていますからね。 薬事法的には、効果効能を謳えませんが、効果の確認のない原料は採用されませんからね・・・。 ちょっとした矛盾ですね(笑) 花王ニベアの自主回収 花王のメインを飾っているニベア、そのニベア商品が平成18年11月21日に自主回収の報告がでました。商品名は、ボディー用乳液「ニベアボディ センシティブバランス ボディミルク」(ピンク色のボトル) 。ロット番号というものがボトル底面に書かれているはずです。その番号は、1956、2566、2576、2586、2596、2626、2636、2646、2166、2206、2216、2226だそうです。 (詳しくは http://www.kao.co.jp/toppage/nivea061122.html にて参照してみて下さい。) 回収の理由は、保湿成分が結晶化し、粒が生じる製品がみつかった為で、10月上旬以降、自主検査で結晶化した製品が相次いで見つかり、消費者からも問い合わせが一日平均約10件寄せられたことから、自主回収を決めたそうです。 なお、花王の回答によりますと、肌の安全性に問題はないというコトです。 回収対象製品は、発売開始の9月30日から10月中旬までに全国へ出荷された商品(230グラム)約26万本と試供品(15グラム)約15万本というから半端な数ではないですね。 卸値など知りませんが、1個950円程度の商品でしたら、卸が300円としても 300 x 26万 = 7800万円 と、なります。既に使用済みで売り切ってしまっている商品やサンプルなども考慮しても1億円くらいのお金が損益となりますね。 実際に、こういった回収が起こった場合、ロット番号なんか関係なく「返品」の嵐になります。 花王さん大変だぁ。 まぁ、この辺のネタはネット上に沢山ありますから、おいときましょう。 さて、花王の扱うニベア!有名ですね。 実は、ニベア自体は海外ブランドなのです。それを日本で販売するにあたり、花王が手がけています。 この商品ではないのですが・・・、日本で売られているニベアクリームは、実は、海外バージョンと処方が違います。海外バージョンは皆パンテノールという成分が入っています。パンテノールとは、美肌ビタミン前駆体ですね。合成なのですが、肌に入ると速やかにパントテン酸になって美肌効果を発揮します。 では、なぜ、日本製はパンテノールが入っていないのでしょうか? ニベアの取り扱いは花王です。勿論、シャンプー市場を十分に意識する企業です。 パンテノール!聞いたコトがありませんか?そうです、プロビタミンB5の名で別のシャンプー大手が使っていますよね。 「なんで、他社の宣伝するような成分を配合せにゃならんねん!」 って、コトで、日本製のニベアにはパンテノールは配合されないコトになったようです(苦笑) ちょっとした裏話でした。 ナノ粒子への規制始まる ついに、ナノ粒子物質安全性確立に向けた試験戦略が海外で行われ始めました。ナノ粒子への規制がはじまりそうです。 まだ、研究所レベルの見解ですが、魚を用いた毒性の試験を遺伝子レベルで確認するようです。 ナノ粒子の特徴として、その化学組成、溶解性、表面積、表面特性、粒子径、形態などを分類基準にするようです。つまり、同じ物質(化学組成が同じ)でも粒子径(大きさ、直径)が異なると、別物扱いで検査/評価するってことです。 他に、表面特性とは、粉体をシリコンや脂肪酸でコートしているか否かでしょう。 形態は、その粉体が、丸いのか、板状なのか、針状なのか、フトボール型なのかなどのコトでしょうね。実際にアスベストは針状になっています。日焼け止めの酸化チタンも、水に流れにくいタイプは、フットボール状ですし、ファンデーションなどは、美しい仕上がりの為に板状を採用したります。結構、形って大事です。 表面積ってありますが、粉体が10ナノよりも小さくなると、体積あたりの表面積の比率が異常に大きくなって、二次凝集や分散性に差がでるのです。 一般的には100ナノ以上の粒子では経皮吸収を認めた例がないとしています。逆に言えば、100ナノよりも小さいと、安全性の保証外ってコトです。今現在、酸化チタンや酸化亜鉛の経皮吸収はないようです(FDA発表)。 しかし、今現在、新規物質の定義には大きさの規制はなく、ナノ化した粉体物を「新規物質として安全性を取り直す」コトは困難な状態でもあるようです。 今までの例を考慮しても、日本は一番遅くにスタートでしょうね。既に、ヨーロッパ、アメリカでの規制が出来てからそれをまねて規制を作るでしょうから・・・日本のでの規制は、数年〜十数年後かなぁ(汗)その間に、第二のアスベストのような症状がでなければいいですが・・・。 ヒトオリゴペプチド-13について 最近はEGF(ヒトオリゴペプチド-1)なる細胞の増殖因子が化粧品に配合されつつありますね。 それに加えて、FGFという細胞増殖因子も化粧品への配合登録がされているようです。 が!ちょっと、気になるコトがあります。 化粧品への配合原料の条件に以下のような項目があります。 1)ホルモンが禁止 2)医薬品原料は禁止 です。 細胞の増殖因子は、ホルモンではありませんので、配合に関してはOKだと思っています。 しかし、問題は2)の項目です。特にFGFに関してです。 化粧品に配合される原料登録にヒトオリゴペプチド−13というモノがあります。これが俗にいうFGF-1(別名をaFGF)になります。FGF-1には類似因子があり、その名もFGF-2(別名をbFGF)と言われるモノです。 FGFとは、線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor)のコトです。FGFには、増殖させる線維芽細胞の位置によって1〜23までの番号が付いています。因に、資生堂のアデノゲンで有名になった発毛促進因子は、このお仲間のFGF-7です。(ただし、資生堂さんのは、FGFが直接入っている訳ではありません) さて、このFGF-2とうモノは、海外で肌再生の医薬品として使用されています。その近縁種にあたるFGF-1を化粧品に配合する・・・。効果は高いですが、副作用とかどうなんでしょうかね? かつて、医薬品原料だからという理由で、化粧品への配合が出来なくなったモノには、ビタミンK、コエンザイムQ10(ユビデカレノンですが、今は、配合上限を守れば化粧品への配合が可能)、リポ酸、硫黄などがあります。ヒトオリゴペプチド-13(FGF-1)に関しては、類似因子のFGF-2が医薬品原料であるコト。製造しているトコが、データをバンバン記載して宣伝する方向にあり、それに関して、厚生労働省に呼び出しをくらっていると言う噂があるコト。などから、・・・使えなくなる可能性も高いなぁ・・・、って思っています。面白い原料なんですけどね。 構造をどう見るか 合成とか天然などと乳化剤などを分類して、指摘しているサイトが多くあります。 そもそも、合成だから危険だとか天然だから安全なんて考えま間違っていて、天然、合成で善悪を分けるのは、化粧品メーカーの宣伝戦略の1つでしかないのです。 例えば、「イソステアリン酸PEG−30グリセリル」という乳化剤があります。 この原料を「天然が売り」の化粧品メーカーが使う場合、 「脂肪酸(イソステアリン酸)やヤシ由来のグリセリンからなるマイルドな乳化剤」 と、表現するのでしょう。 一方、合成系を排除するコトで売っている化粧品メーカーは、 「石油由来の成分PEG(ポリオキシエチレングリコール)の乳化剤です」 と、表現するでしょう。 ちょっと知識のある方は、「PEG」は体によくなかかったはず!と、記憶されているかもしれません。実際に、短い長さのPEGは肌によくないデータがあります。しかし、乳化に使われているPEGは、30と記すように、長いタイプが使用されます。 では、そもそも、PEGをなぜ、構造上に入れるのでしょうか? 例えば、悪名高いラウリル硫酸Naを例に挙げましょう。 ラウリル硫酸Naは、分子量も小さく、オイルを水中に抱え込む力が非常に大きい原料です。今でも、機器の洗浄だけでなく、練り歯磨きや液状歯磨きの成分にも使用されています。 肌へこの成分は残留した場合、浸透して肌のバリア成分のバランスをめちゃくちゃにする可能性があります。そこで、肌への浸透を極力抑える為に、分子量を大きくする工夫がされました。それが、このラウリル硫酸Naにエチレン鎖を付けた「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」つまり、今で表現する「ラウレス硫酸Na」なのです。 分子量を大きくすることで、肌への浸透を抑え、結果として肌への負担を小さくする。そんな工夫の為に石油合成系の「PEG」とか「ポリオキシエチレン」とか表現されるモノが使われます。 化粧品原料は、今、石油系原料と天然系原料のコラボイレーション構造によって、より安全なモノになってきています。 その昔、石油系が悪者だったのは、精製度の悪い粗悪品や、工業用の原料が使用されていたからです。今の日本では、そんな粗悪品の原料を使用するにも原料メーカーが卸してもくれません。原料メーカーも安全な原料を提供するコトに熱意を持ってますからね。 入浴剤の摘発 群馬県・草津温泉の土産品販売業者らが、原油から生産された硫黄などを混ぜた入浴剤を、温泉成分が沈殿した「湯の花」であるかのように表示・販売していたことがわかり、公正取引委員会は14日、景品表示法違反(優良誤認)で4業者に排除命令を出すとともに、6業者を注意した。 硫黄と炭酸カルシウムを混ぜた入浴剤の包装袋に「天下の名湯 草津温泉湯の花」などと表示し、約500円で販売。年間で計約3000万円を売り上げていた。 と言う記事がネットに出ていました。 そもそも湯の花とはどういったモノなのでしょうか? 湯の花とは、「温泉水が冷えるときに、硫黄や硫化物が結晶化して固まったモノ」だそうです。具体的には、硫酸バリウムなどの硫酸塩の結晶だそうです。まぁ、炭酸カルシウムで出来た湯の華もあるそうですから、成分的な定義は、ちょっと不明ですが、「温泉水から得た結晶(固形)物」ってコトのようです。 さて、今回の事件は、「原油から生産された硫黄など」を配合して、それを「温泉成分が沈殿した「湯の花」であるかのように表示・販売」したコトが問題としています。 はて、「原油」とな!?「源湯」じゃないのですね(汗) イオウの入手ルートの1つは石油です。その中の硫化物は邪魔なので、削除され、その削除された側(廃棄物)からイオウを精製します。日本の場合、火山国ですから、直接イオウも入手可能ですが、工業的には、石油由来のイオウが多いですね。 イオウは、2006年5月に、化粧品への配合が禁止なりました。理由は、「医薬品原料だから」です。 しかし、医薬部外品では使用してOKです。 入浴剤ってのには、実は3種類あります。 1)雑貨、2)化粧品、3)医薬部外品 です。 1)の雑貨の場合は、ヒトへ使う事が前提ではないので、使って肌荒れしても保証はないです(苦笑)それなら、やるなよぉ!って話ですが、漢方薬やハーブを袋に詰めてお風呂に入れているモノがありますよね。ああいった類いのモノになります。 2)の化粧品は、入浴料と表現しています。 3)の医薬部外品は入浴剤と表現されて、硫酸Naなどの有効成分が入っています。勿論、今回の場合、イオウを配合していますから、医薬部外品だったのでしょう。 医薬部外品は、まだまだ、国(厚生労働省)の管轄下にありますし、今回の温泉の名も有名ですし、売り上げも結構ある(多くの人が使っている)、過去に温泉なのに入浴剤を配合して大きな話題になっている(ココの温泉ではないですが)コトから、手厳しい処置になったのでしょうね。 JOJOBAはご存知? さぁ、皆さん、以下の文字を何と読むでしょうか? 「 JOJOBA 」 考える間・・・・・ 答えは・・・・・ 「 ホホバ 」です♪ てな訳で今回は、ホホバのお話です。 ホホバ油は、マンサク科の植物であるホホバの種子より圧搾法にて液状ワックスを得て、それを原液とします。 そのホホバワックス原液を、脱臭及びろ過したモノが黄色い方です。また、ホホバワックス原液を分子蒸留により刺激や酸化の原因になる低級アルコールや低級脂肪酸を除去したモノが、透明なタイプです。 共に臭いは全くありません。 化粧品の表示名称では、ホホバ油で有名ですが、今は、ホホバ種子油と表現するようです。上記の2つ共、、ホホバ種子油としての化粧品原料になります。同じ名称でも、随分違いますでしょ。 勿論、ホホバ油と言う表現登録もあります。 ホホバ種子油(旧 ホホバ油)とは、定義として、 ホホバ Buxus chinensis の種子から得られる脂肪油である。 となっています。 他にも、ホホバワックスって登録もあり、定義は、 ホホバ種子油(*)の半固体画分である。 と、なっています。 ホホバ油は本来オイルというよりも液状ワックスの構造物です。ホホバ種子油はその液状ワックスであり、厳密にはオイル(油)ではないのですけどね。ほんでもって、ホホバワックスと表記の場合は、液状ではない(固形物)ってコトで区別しているようです。 他にも、ホホバ種子エキスといって、これは水溶性のエキスですね。 最近では、こういった植物由来のオイルなどでも、その植物に関して「畑」から管理します。 例えば、「◯◯国限定」とか「有機農法/無農薬農法」だとかです。 植物の場合、同じ品種でも、土地や機構、栄養条件、農薬条件で得られるモノが違うコトは周知でしょう。 ここでホホバ種子油の成分を見てみましょう。 ロウエステルと言われるワックス構造物が96.73%です。一番多いモノは、C-42(炭素が42個繋がったモノ)で49.5%です。続いてC-40が30.56%です。 他にも遊離アルコールが1.11%、ステロールが0.38%、遊離脂肪酸が0.96%入っています。 ホホバとは話題下反れますが、こういった原料はどういった「規格」で管理されているのでしょうか?例を挙げてみましょう。 ここで挙げる例は、ホホバ種子油に限らず、植物エキスでも同様な規格で原料管理されています。 1)性状:色や臭いを目視若しくは嗅覚で確認 2)確認試験:制が緯線スペクトルやHPLCなど によってその成分の特徴を確認する。 3)比重:液体の原料にはよく表記されます。 4)屈折率:精油やオイルなどでは一般ですが、 水溶性のエキスではあまり起用しません。 5)酸価:オイルや脂肪酸にはほぼ必須の確認項目 6)けん化化:オイルや脂肪酸にはほぼ必須の確認項目 7)ヨウ素化:オイルや脂肪酸にはほぼ必須の確認項目 8)乾燥減量:粉体モノではよく見かけます 9)強熱残分:ミネラル系の可能性がある原料には みかけます 10)純度試験:具体的には、重金属やヒ素の含有 が◯◯ppm以下であることを確認する などの項目があります。上記の試験は、各ロット毎に確認されます。 その他にも、ヒトパッチ試験や、光毒性試験、感作性の確認、急性毒性などの試験も一度は確認されますが、必須ではありませんので、見てない原料もあります。 日本の化粧品原料は、品質管理や安全性管理は、かなりしっかりしているのですよ。 ナノ粒子と健康被害 ナノ粒子が未だに扱われていますね。2ナノとか100ナノとか言われる微粒子が化粧品に配合されています。 さて、その大きさっていったいどのくらいのモノなのでしょうか? よく0.00000001メートルって言われても、???って感じですよね。 例えば、100ナノとは、腸の中にいる大腸菌に取り付くバクテリアの頭の大きさです。ちょっと生物学が好きなヒトに説明するなら、「バクテリオファージ」の頭の部分の大きさが100ナノです。 じゃぁ、2ナノってどんな大きさなのでしょうか?DNAの螺旋の1ねじれ分です。つまり、細胞よりも遥かに遥かに小さいのです。 ナノ粒子に関する規制は、アメリカ(カルフォルニア州)だったと思いますが、銀のナノ粒子に関する規制があるくらいです。ただ、この規制は、ヒトに対する健康被害対策ではなく、「環境保護」が目的です。具体的には、銀の粒子を家庭用の洗剤に配合すると、部屋干ししても臭いがでないそうで、銀のナノ粒子を洗剤に配合するコトに関する規制です。まぁ、川や池などの水質問題対策ですね。 また、100ナノ以上の粒子は、肌への浸透性がないらしく、逆に問題視されているナノ粒子は100ナノよりも小さいタイプに対しての評価らしいです。因に、ナノ粒子の定義はきちんとしたモノはなくて、「構図物の一辺でも100ナノ程度のモノ」という感覚らしいです。この「構図物の一辺でも」とは、粒子が必ず球形ではなくて、糸状たっだ場合、その糸の直径が100ナノでもナノ粒子扱いするってコトらしいです。 現在、ナノ粒子に関しては、国も調査中ですが、アスベストを除くと、ナノ粒子が原因であると断定できる健康被害はないそうです(2006年12月現在)。しかしながら、2040年にはアスベストによる死亡者は、日本では10万人、ヨーロッパでは40万人になるという計算があります。アスベストが使用されて、30年後に分かった(実は当時から言われていたコトらしいですが)健康被害の結果は大きく、2006年現在で結構被害がなくても、この先、どうなるか不明です。 因に、国系が20億円掛けてナノ粒子と健康被害の関係を研究機関を用いて研究し始めたのは、2005年らしく・・・まだまだ、結果待ちですね。 肌と化粧品の基礎知識−1 ヒトの肌は大きく分けて3つの層からなっています。一番表面から、「表皮」、「真皮」、「皮下組織」の3層です。少し勉強されている方ならご存知話でしょう。 もう少し、詳しいお話をしましょう。 この表皮を詳しく見ると、表面から、「角質層」、「顆粒層」、「有棘層(ゆうきょくそう)」、「基底層」の4層からなっています。 基本的に、この表皮層の4層が化粧品が効果を発揮する場所になります。 更に最近の化粧品は、表皮の下の真皮にまで働くタイプが増えています。 具体的に見てみましょう。 この角質層は、肌バリア機能のある場所です。セラミドなどの肌バリア成分はここに濃縮されています。セラミド配合化粧品などはこの部分のフォローをするのです。 この角質層の厚さは、0.1mmにも満足りません。非常に薄い層です。ちゃんと角質層が働いている場合は、充分な肌バリア層があります。しかし、角質層の分化が不十分であったり、強いクレンジングで荒らされていたり、体質的に皮脂が少なかったりすると、この角質層の中のセラミドなどの肌バリア成分が、角質層から流れ出してしまいます。逆に言えば、そういった肌質の場合、表面からの補うだけの出入り可能な「穴」がある場合が多いのです。ですから、セラミド系の補給を目的とする化粧品の使用は有効になります。 この角質層の下にあるのが顆粒層です。この顆粒層は、1〜2層程度の薄い層です。 顆粒層の細胞は、その名の通り細胞の中に粒(顆粒)を持っています。詳しく言いますとこの顆粒のコトをケラトヒアリン顆粒と言います。この層にあるケラトヒアリン顆粒は、ガラス質状の顆粒で、光を強く屈折させ紫外線を反射させる性質があると言われています。 肌表面で充分な保湿がありますと、この顆粒層のガラス質のが充分機能して肌のツヤ感をアップさせます。その仕事をするのがグリセリンなどの保湿成分です。実は、同じ保湿成分として思われがちなBGは、この角質層の下まで届いて蓄積したりしません。それは、多くの保湿データが証明しています。 例えば、レシチンなども保湿性を維持する成分になるのですが、グリセリンとの併用が保湿条件です。BGとの併用では、高い保湿性は維持できません。 (ここんトコの詳しい話は「化粧品屋の独り言 → vol.3 → 化粧水の内臓-保湿剤編」を参考にしてみて下さい。) また、肌の表面からこの顆粒層までの厚さは0.1mmにも満足ないので、肌に浸透しないと分かっているヒアルロン酸Naなどの配合した高保湿成分を含む美容液を使うコトで、特にビタミンC系がなくても肌は美しく見えるようになります。更に言うなら、ヒアルロン酸Naとグリセリンを併用することが高い保湿を維持する条件であることからも、肌にグリセリンを補給するコトは「美肌」の第一歩と言えるでしょう。 肌と化粧品の基礎知識−2 前回は、肌の表面から2層まで(角質層、顆粒層)の話をしました。 どうも、図がないとイメージしにくいので、今回は、図の参上です。 さて、顆粒層の下には、有棘層と言う層があります。細胞が10個程度の厚さになっている層です。 ここの部分で重要なのは、この有棘層の中にいるランゲルハンス細胞と言うヤツです。 このランゲルハンス細胞とは、言わば「体の門番」です。肌から侵入して来た異物を一番最初に「異物」として認識して、免疫系のシステムに連絡します。肌で起こる炎症の最初の引き金でもあります。 つまり、炎症が生じる場合、10~20層あると言われる角質層を突破して、その下の顆粒層(1〜2層)も突破されて初めて炎症につながるのです。如何に炎症の起こっている場所の肌バリアがボロボロの状態かお分かり頂けるでしょうか? 変な表現ですが、角質層と顆粒層は、みかんで例えると外皮です。そこに「穴」が開く、若しくは外皮から染み込んで中の果肉部分(有棘層)にまで達しているのです。そりゃぁ、炎症信号出しますわね。 さて、その下にある基底層。これは1層の細胞の膜なのですが、ここで重要なのは、 1)この細胞層から下は真皮 2)この細胞層にメラニン色素を出すメラノサイトがいる の2点です。 図に示したように、基底層にいるメラノサイトは、有棘層の細胞にメラニンを植え付けます。 メラニンを植え付けられた有棘層の細胞は、肌サイクルに基づいて徐々に上に上がります。すると、黒い細胞の立て列ができます。これが、肌を黒く見せる原因です。 ビタミンC誘導体は、肌の有棘層まで浸透し、そこでビタミンCになって有棘細胞内のメラニンを黒から透明に変化させます。ですから、肌への浸透のいい油溶性ビタミンCなどは、有棘層まで早く達して美白効果を発揮します。また、水溶性ビタミンCもイオン導入などの機器を使うと、いち早く有棘層に達して、美白効果を発揮します。 結構、深いトコで美白成分は働いているのですね。 更に、言うと、ハイドロキノンなどの薬剤は、この有棘層の細胞中のメラニンを漂白するだけでなく、基底層のメラニンを酸化させて殺します。つまり、基底層に傷をつけるのです。 特に、病的な症状の場合、医師の管理下でハイドロキノンは(日本でも)使用されています。まぁ、それはいいでしょう。 問題は、海外からの個人輸入です。 白人は、肌からメラニンがなくなっても目立たないですが、黄色人種の場合、黄色くあるべき部分が白くなってしまいますから問題です! さて、次回は、真皮の世界に入っていきましょうか。最近では、この真皮層にまで化粧品が作用します。 α-リポ酸復活か 厚生労働省医薬食品審査管理課より、平成19年1月9日に、「化粧品基準に一部を改正する件」というモノが出されました。 今回の内容を簡単に言いますと、「リポ酸を使ってもいいよぉ〜、でも配合上限とか、使っていい部位、いけない部位なんかが決まったよぉ〜」ってコトに関する「案」です。 (他にも、紫外線吸収剤が1品登録される予定です) α-リポ酸は現在(平成19年1月18日)化粧品への配合が出来ません。それは、平成16年12月28日に事件(?)が発端です。 どこかのメーカーが、厚生労働省に「チオクト酸(α−リポ酸)は、医薬品の成分ですか?」と、聞いてしまったのです。 それに対して、厚生労働省側は、 「チオクト酸(リポ酸)は、医薬品の承認書に記載されている有効成分であり、化粧品で使用するなら、関係書類を提出するように」 と、回答をだしました(薬食審査発第1228005号) (詳しくは、「化粧品屋の独り言 → vol.9 → リポ酸について」を参照して下さい) つまり、コウジ酸のように、発がん性が危惧されて、一時使えなくなったのではなくて、「α-リポ酸は、医薬品原料扱いだから化粧品じゃつかっちゃダメよぉ」っとなったのです。 しかし、コエンサムQ10(ユビデカレノン or ユビキノン)しかり、復活の予定です。 (因に、コウジ酸は平成17年11月2日に復活済みです) α-リポ酸は、チオクト酸として表記されています。同じ物なのですが、名が違うだけです。 配合は、0.01%です。ユビデカレノン(コエンザイムQ10)の1/3濃度ですね。 使っていい部位は、 1)粘膜に使用されることのない化粧品のうち 洗い流すものに0.01% 2)粘膜に使用されることのない化粧品のうち 洗い流さないものに0.01% 3)粘膜に使用される化粧品への配合は禁止 です。 「粘膜」とは、具体的には、唇と思って下さい。つまり、口紅なんかへの配合はダメってコトです。 ユビデカレノンもちょっと下火になってきましたので、次回はチオクト酸(α-リポ酸)がブームになるかな? でも、チオクト酸(α-リポ酸)は、その構造の中にSS結合という構造を持ちます。ヘアサロン系の方ならご損じでしょうね。パーマなどの話で髪の構造の中でも出てくる結合です。 そう、つまり、硫黄を含みます。 ですから、処方組する場合、自己酸化して分解してしまって硫黄臭が出てしまう可能性があります。その当たりの改善を処方担当的には苦労するでしょうね。 安息香酸とビタミンCでベンゼン発生か 紫外線吸収剤が紫外線を十分に吸収して崩壊した場合に、毒性のある成分が出来る可能性があります。その成分の1つがベンゼンです。ベンゼンは、発がん性が確認されている成分でもあります。 清涼飲料水中でのベンゼン検出の話題は、1990年に最初の報告があり、平成17年11月でも米国のFDAでは再検査が行われ、平成18年4月には韓国でも飲料中からベンゼンの検出があった報道があります。 日本食品添加物協会に対して、厚生労働省医薬食品局から「清涼飲料水中のベンゼンについて」と言うのが出されています。そこには、「米国等において、安息香酸とアスコルビン酸(ビタミンC)の両剤を添加した清涼飲料水からベンゼンが検出されたと海外情報を入手した。」と表記されています(平成18年7月28日)。 日本に於いて、食品中のベンゼンに関する法定の基準値はないようです。(水道水中に関する基準値はあります)。因に「WHO飲料水ガイドライン(第3版)」のベンゼンに関するガイドライン値、及び水道法での水道水のベンゼンに関する基準値は10ppb以下です。(米国飲料水水質基準は5ppb以下です。) ( 10ppb = 0.0000010% = 10μg/L = 0.01ppm ) 日本に於いても、上記の基準(10ppb)を超えた73.6ppbのベンゼンが検出された商品(DHC製 アロエベラ)が回収を行うように要求された例があります。 上記に述べたように、安息香酸とアスコルビン酸を共に配合しただけでは、ベンゼンは発生しません。しかし、アスコルビン酸は美白の成分です。安息香酸は実質、殺菌目的や抗酸化目的での配合がされています。まぁ、最近では、基礎化粧品への安息香酸塩の配合はないですが、シャンプーにはまだ配合されている例はいくつもあります。 もし、塗り切り化粧品に、ビタミンC誘導体と安息香酸塩が入っていたとしましょう。特に金属イオンの配合をしない限り、瓶の中でベンゼンが出来ることはないでしょう。しかし、肌に塗って紫外線を浴びた場合・・・、当然、お薦めできないでしょうね・・・。 ただ、ベンゼンは、大気中にも存在していて、ヒトは毎日200μg吸引していると言われています。上記にもカキコしましたが、安息香酸とアスコルビン酸を共に配合しただけでは、ベンゼンは検出されないようです(1ppb以下)。そこに、熱、紫外線、金属イオン等の条件が兼ね備わることがベンゼンで合成されてしまうようです。 不思議なのは、こういった話題が化粧品ではまだあまりメジャーに出回っていません。こらから指摘や調査が行われるのか・・・。 (医薬品又は医薬部外品のドリング剤に関しては、平成18年8月7日に厚生労働省医薬食品局から連絡がでています) 上記に述べたように、安息香酸とアスコルビン酸を共に配合しただけでは、ベンゼンは発生しません。しかし、アスコルビン酸は美白の成分です。安息香酸は実質、殺菌目的や抗酸化目的での配合がされています。まぁ、最近では、基礎化粧品への安息香酸塩の配合はないですが、シャンプーにはまだ配合されている例はいくつもあります。 もし、塗り切り化粧品に、ビタミンC誘導体と安息香酸塩が入っていたとしましょう。特に金属イオンの配合をしない限り、瓶の中でベンゼンが出来ることはないでしょう。しかし、肌に塗って紫外線を浴びた場合・・・、当然、お薦めできないでしょうね・・・。 ただ、ベンゼンは、大気中にも存在していて、ヒトは毎日200μg吸引していると言われています。また、ベンゼンの暴露源として最も重要なのはタバコだそうです。タバコ1本でベンゼン50〜150μgのベンゼンに暴露されると考えられているそうです。 実際のところ、ベンゼンの毒性についてですが、ベンゼンの摂取許容量(時間荷重平均濃度 1 ppm、40年暴露での白血病リスク増加はみとめられなかった)を定量的に考慮すると、直ちに健康被害が発生するとは考えづらいようです。 肌と化粧品の基礎知識−3 且つて、化粧品は、表皮にしか効かない、真皮には浸透しないと言われた時代がありました。ヒトの肌バリアはそう簡単に異物(化粧品)を通しはしないだろうから、ってのが、その根拠でした。 しかし、実際に、ちょっと考えてみるとそんな訳ないのですよね。トウガラシエキスやセンブリエキスは、血行促進を促します。また、PCA-Naなどの淡白系も結構促進を促すコトがデータとしても古くから知られていました。 この血行促進という現象は、まさに「真皮」に働きかけている効果なのです。 なざなら(って言うか当たり前ですが)、血管って表皮にはなくて、真皮に存在しているからです。 また、皮膚への浸透は、油溶性成分が優れていると言われてきました。実際に、オイルは気化しないはずなのに、肌に塗ったらなくなりますよね。あれは、当然、肌に吸い込まれたからです。 逆に、水溶性成分は、肌への浸透は難しいと言われてきました。 しかし、実際には、水溶性のビタミンC誘導体が肌の真皮に浸透していく様をデータ化した報告は多くあります。
このように、実際に化粧品レベルで、水溶性成分でも真皮にたどり着き、効果を発揮する成分もあるのです。 しかし、実際には、肌への浸透はその分子量の大きさに左右されます 。 例えば、低分子量のヒアルロン酸Naでも分子量は5万以上です。決して肌には入りません。 また、ヒアルロン酸Naを生産させる成分(誘導因子など)の1つに、FGF-1(ヒトオリゴペプチド−13)があります。この成分は、タンパク質(正確にはペプチドですが)なので、水溶性です。このFGF-1は、分子量約17000くらいだそうで、通常は、肌への浸透は難しいと考えられます。しかし、実際にFGF-1を肌へ塗布して、ヒアルロン酸Naを分泌する線維芽細胞の増殖などが確認されています。 つまり、通常の肌状態では、浸透しない分子量でも、肌バリアが傷ついている場合なら浸透の可能性があるってコトです。 まぁ、肌バリアが弱ってる、又は、傷ついているから、肌の中に成分が逃げ出し易い訳ですから、逆に通常入らない大きさの成分(分子量2万以下)のも入る可能性があるのでしょうね。 シリコンを見直そう シリコンと言うと、水にも脂にも馴染まない、撥水性のあるモノってイメージでしょうか。 それは逆に言えば、免疫系の激しい傷の部分やもっと言えば体内にも入れることができます。 例えば、豊胸手術などで、胸の中にシリコンパッドを入れるなんて話は有名ですね。つまり、シリコンは生物学的に反応に疎い物質。免疫反応の起こりにくい物質なのです。 他にも、絆創膏のようにシリコンを傷口に貼付けるコトで、傷部分の肌の自己再生を促進するなど医療現場でも使用されます。 さて、化粧品現場では、シリコンと言えば、リンスやコンディショナーのイメージが強いですね。リンス中のシリコンは、撥水性が強いので、お風呂での使用時に水から逃げ出し、疎水性の髪にしがみつきます。その結果、髪がコートされるのです。 シリコンが悪名になったのは、まだ、化粧品業界が上手にシリコンを扱えなかった時代の話です。今は、そうではありません。 体内バッドにも使われる免疫的に安全なシリコンを、「石油系だから危ない」と勝手に勘違いしてるサイトが多いのは驚きです。 肌を皮膜するコトで、外界からの刺激をシャットダウンしたり、皮脂や汗に負けるコトなく塗布感を向上させたり・・・。今やスキンケアでも常用の原料の1つとなっています。 皮膜と言うと、「肌呼吸が・・・」なんて気にされる方もしますが、全く大丈夫です。ストッキンの如く網目状ですからね。肌呼吸の邪魔はしません。 最近では、シリコン以上のモノとして、フッ素系の原料も出てきていますが・・・。まだ、ちょっと扱いにくいですね。だって、撥水性が強すぎで、安定した乳化が困難なんです(汗) でも、この先5年くらいで、多く使用されるようになるかもしれませんよ。 化粧品タブー原料−1 最近、こどもと動物園に行き、ふと気がついたコトがあります。 オオカミのオリの前に「ネコ目 イヌ科」と表記がありました。 「うむ?ネコ目 イヌ科???猫?犬?」 時代は変わっていくのですね。昔は「肉食目」と言われた分類が「ネコ目」に変更になっていたのです。その他にもですから、今は、イヌは「ネコ目」に分類されます。何だか変な気分です。 「霊長目」ってのも「サル目」に変更になっていました。「偶蹄目(ぐうていもく)」は「ウシ目」に変更・・・。 わたしは、動物が好きで、これでも、昔は、こういった分類に詳しかったのですが、・・・。 時代は変わるものですね(汗) そういえば、昔、化粧品の世界でも動物園と問題になった話があったそうです。 その依頼は、「動物園で使用する安全な洗浄剤が欲しい」とのコトでした。 依頼を受けたのは、化粧品関連の会社で、「動物が食べても大丈夫であるコト。動物の体臭を落とせるコト。」をクリアする原料を選択して見事クリア!売り手良し、買い手良しの円満な洗浄剤が出来たのです。実際に、動物園の「動物臭い匂い」は改善され、衛生面でも良い方向になりました。選んだ界面活性剤も、脱脂力まで配慮されており、動物達の肌を荒らすコトもなかったそうです。 ところが、問題が生じました。そう、近江商人でいう「売り手良し、買い手良し、環境良し」の「環境」にケチがついたのです。 動物が求愛行動を取らない。中には、ストレス状態の動物が出る。 などの状況になったのです。 その原因は、「匂いがなくなったから」でした。 ヒトにとって良い商品であるコトは、動物にとって良いって訳ではないのですね。 その原料は、仕事として非常に優秀なのですが、動物園や集団飼育を行う団体には「採用しない(化粧品業界側が販売しようとしない)」タブー原料となってしまいました(汗) しかし、その使用されたマイルドな界面活性剤は、今も、ヒト用では採用されています(って、言うか、ヒト用の原料を動物用に採用したって順番なのですが)。また、一部のイヌ用シャンプーにも高価格シャンプーで採用されています。高価格ってのは、ショーに出る高級犬に採用されているってコトです。実際にドッグショーなどの会場は、100匹近いイヌがいるにも係らす、イヌ臭くありません! 話は、変わりますが、実は、イヌは、体から発汗しません。ですから、脱脂力の強い界面活性剤は肌荒れを招きます。ヒトの数倍もイヌは脱脂力に弱い肌とも言えるでしょう。 そうそう、その動物園で、面白いモノをやっていました。 本来、動物の入っていたオリを解放して、ヒトが出入りできるようにしているのです。 動物園のオリの中側がら、観覧してくるヒトを見たコトってありますか? しかも、その動物園、面白い「標識」のオマケ付きです(写真参照) 笑 化粧品タブー原料−2 手作り化粧品ではちょっと有名な防腐の原料として「グレープフルーツ種子エキス」があります。 天然エキスでの防腐としては、一部の会社の出しているローズマリーエキスがありますが、原料の安定性などに疑問を感じます。他にも、チョウジエキスなども防腐のデータがありますね。 さて、このグレープフルーツ種子エキスですが、原料自体はかなり昔からあるのですが、未だに日本の化粧品業界は使用しようとしません。正確には、「しませんでした」。 と、言うのは、最近になって、再び販売促進されつつあるようです。 その背景には、「パラベンフリーの処方を望む市場の流れ」と、「処方担当者の時代交代」が伺えます。 まぁ、「パラベンフリーの処方を望む市場の流れ」というのは、イメージできますよね。 「処方担当者の時代交代」とは何でしょうか?それは、このグレープフルーツ種子エキスが、化粧品業界のタブー原料だからです。ですから、昔(わたしもか? 汗)の処方担当者は、このエキスを採用しようとはしません。 では、なぜ、グレープフルーツ種子エキスがタブー原料なのでしょうか? パラベンフリーの処方を願ったのは、処方担当者も同じです。もう、十数年前に、そういうブームが起きようとしていました。その中、参上したのが、このグレープフルーツ種子エキスです。 当時は、まだ、防腐能力を持ったローズマリーエキスもなく、チョウジも着目されていませんでした。そんな中、このグレープフルーツ種子エキスは、天然防腐剤として「すごい!」と思われていました。当然、パラベン程の防腐力はないのですが、天然原料としてはすごかったのです。 そこで、日本の大手企業が、パラベンを止めて、このエキスに変更しようとしました。 当然、大手ですので、動く原料の量や費用も大きいモノです。 さて、処方も切り替え、いざ販売の流れになった時に、「事件」は起きました。 このグレープフルーツ種子エキス内に、残留農薬が確認されたのです。 で、もっと根本的に考えて・・・ グレープフルーツ種子エキスの防腐の能力は、このエキス内に残留していた農薬の効果だったのではないか?って話にまでなったのです。 防腐効果の疑問もそうですが、大手企業は大損desu! これが、タブー原料になった大きな理由です。 残留農薬に関しては、今は、食品業界の方が厳しくなってきますね。 海外での畑で使用される農薬以外にも、タンカーで運ばれる間に、船のコンテナの中で虫がわかないように使用される農薬までチェックが入っています。 しかし、意外にも、医薬品原料ではそういった残留農薬のチェックはまだ不十分です。 具体的には、オタネニンジンを食品や酒用に輸入すると、残留農薬のチェックが掛かります。 しかし、医薬品原料といて輸入した場合、残留農薬のチェックは掛かりません(汗) さて、話を戻しましょう。 今の時代背景の中、残留農薬チェックは厳しくなっています。当然、グレープフルーツ種子エキスも同じでしょう。しかし、原料メーカーで、このグレープフルーツ種子エキスの残留農薬に関するデータ(農薬が確認されなかったというデータ)まで持ってるトコって・・・どれだけあるのかなぁ? グレープフルーツ種子エキスにはわたしも興味があります。しかし、・・・確認すべきトコをちゃんとみないで使用するのは(わたしは昔組ですから)怖いですね(汗) ヒトオリゴペプチドについて 最近今回は、流行の、「ヒトオリゴペプチドー数字」についてちょっとお話しましょう。 「ヒトオリゴペプチドー数字」とは、わたしの知る限り、1〜13までがあります。 先ほど「わたしの知る限り」と言いましたが、その中でもわたしが知っているのは、1と2、5、13だけです。ちょっと紹介してみますね。 ヒトオリゴペプチド−1: EGF(上皮細胞増殖因子):表皮細胞の増殖 ヒトオリゴペプチド−2: IGF(インスリン様成長因子):細胞分裂誘導 ヒトオリゴペプチド−5: KGF(FGF-7)(ケラチノ細胞増殖因子):表皮や毛母細胞増殖 ヒトオリゴペプチド−13: FGF-1(線維芽細胞増殖因子):真皮細胞の増殖 何れも、「増殖因子」と呼ばれるモノです。つまり、特定種の細胞の増殖を促す因子ですね。 この増殖因子をホルモンと間違える方も多くおられますが、定義が異なります。 もしホルモンであるなら、化粧品への配合は禁止されます。 さて、日本に於ける、化粧品への登録とは今はどうなっているのでしょうか? 昔は、国(厚生労働省)に管理下にあって、安全性やなんやかんや提出の義務があり、なかなか化粧品原料として登録するには苦労が必要でした。 しかし、今は、 1)アメリカのFDA(日本の厚生労働省みたいな感じのトコ)に定義と名称を登録。 2)FDAからINCI名を貰って、そのINCI名を添えて日本名を日本化粧品工業会に登録 以上です。 つまり、化粧品原料として登録されているからって、安全性データがある訳でもなく、医薬品だから使えないはずのモノでも登録だけはできてしまうのです。その背景は、「化粧品でのトラブルは、企業責任」って定義になっているからです。 ついでに、上記にヒトオリゴペプチドー数字の定義を書きましたが、これは正確な定義ではありません。例えば、「ヒトオリゴペプチド−2」は、IGFだとわたしはカキコしていますね。実際に現物として販売されている「化粧品全成分表示でヒトオリゴペプチド−2と言われるペプチド」の構造は、IGFと一緒です。しかし、日本化粧品工業会に尊くされているヒトオリゴペプチド−2の定義は、 「本品は、大腸菌により産生された単鎖の糖のないヒト遺伝子組換えペプチドである。メチオニン(*)、ヒスチジン(*)、グルタミン酸(*)、ロイシン(*)、バリン(*)、アスパラギン酸(*)、アラニン(*)、グルタミン(*)、フェニルアラニン(*)、システイン(*)、トレオニン(*)、グリシン(*)、チロシン(*)、セリン(*)、アルギニン(*)、プロリン(*)、アスパラギン(*)、リシン(*)及びイソロイシン(*)で構成された70個のアミノ酸からなる。」 と、なっています。つまり、実際には、上記の定義さえ守れば、IGFじゃなくてもいいのです。 「何のこっちゃ?」 と思ってしまいますよね(汗) 酵素やホルモン、今回の増殖因子などは、その構成するアミノ酸が同じでも立体構造が異なると仕事をしなくなるのです。 建物の例えますと、上記のメチオニンとか、ヒスチジン、グルタミン酸などは、ドアや柱、コンクリート、鉄筋を意味します。しかし、同じ、ドアや柱、コンクリートで作っても、コンビニができたり、住居が出来たりしますよね。コンビニの構造の家に人は住めません。住居を作っても誰もコンビトニとは思わず機能しませんよね。 同じよ言うに、ペプチドはその立体構造が重要なのです。しかし、このヒトオリゴペプチド−2に定義にはその旨がありません。 ここ数年で「ヒトオリゴペプチド−1」に関しては、多く出回ると思います。大手メーカーも原料の製造に取りかかりつつありますからね。そうなると、「ちゃんと機能する構造になっているか」がメーカー品質の1つになるでしょうね。 アシル化とシリル化 化粧品の原料は、日々、躍進的に発展しています。新しい原料が多くどんどん生まれています。 その中でも、最近流行なのは、水溶性の原料(例えば、ビタミンCやアミノ酸など)を油溶性にして肌馴染みをアップさせ、浸透性を上げる原料です。 そういった手段としては、「アシル化」という合成を行います。 アシル化って聞き慣れない言葉ですね。アシルとは脂肪酸のコトだとお考え下さい。ですから、アシル化とは、「脂肪酸を引っ付けるコト」です。 このアシル化として使われる脂肪酸の1つにパルミチン酸があります。C16であるパルミチン酸は、、皮脂との馴染みが良いので、ビタミンCのアシル化やアミノ酸のアシル化に使われます。 何度かココでもご紹介しています、油溶性ビタミンCも本来は水溶性であるビタミンCをアシル化(パルミチン酸を引っ付ける)するコトで油溶性にしたモノです。 アミノ酸では、コラーゲンに特徴的に含有するヒドロキシプロリンをアシル化したモノもあります。 一方、水にも脂にも馴染みを「悪くする」合成もあります。それが「シリル化」です。 「水にも脂にも馴染みを悪くする」と言うと「何の意味があるのか?」とお思いになりますよね。 このシリル化とは、その構造物の一部にSi(ケイ素)を付けるコトなのです。Si、つまり、シリコン構造部分を付けるコトなのです。 具体的には、加水分解したケラチンをシリル化したモノがあります。 さて、どんな様に使われるのでしょうか? 例えば、髪など健康な部分はキューティクルに覆われて疎水性です。しかし、傷んだ部分は、タンパク質がむき出しになっていて親水性つまり水馴染みが良くなっています。この水馴染みのいい部分には水溶性のモノが付きやすいのです。つまり、髪の成分であるケラチンを加水分解した「加水分解ケラチン」などは、髪の傷んだ部分選択的に吸着します。しかし、そのままでは、すすぐ際に流されてしまいますよね。そこで、加水分解ケラチンをシリル化することで、加水分解ケラチンの一部を疎水性にします。すると、加水分解ケラチンの部分は髪の傷んだ部分にひっつき、その背にシリコンでフタをする形になりますので、すすいでも流れ落ちにくくなります。 単純に髪全体をシリコンコートするとどうしても重くなります。しかし、傷んだ部分にだけシリコンを皮膜できれば、髪は軽いまま健康な状態に導けます。 これがシリル化の利用法です。 進化し続ける化粧品原料!これからも徐々に紹介していきますね。 肌荒れ事情 患者の遺伝子の個人差を血液1滴、30分で診断する方法を開発したらしいですね。医薬品分野では、発展が期待されているようです。 さて、化粧品のかぶれや合わないなどの原因は、昔は「特定物質に対して体内に抗体が出来た為」とか、「長期使用で蓄積した為」などと言われていました。確かに、未だにそういった成分は存在します。 しかし、現在の化粧品トラブルの何割かは、こういった特定の物質が原因ではない場合があるのです。例えば、昨日まで使えていた化粧水が、今日は使えない。でも、1週間程したらまた使うコトが出来た。なんて経験は多くされているのではないでしょうか。 肌の肌バリア成分は、ホルモンや気温、紫外線やクーラーによる乾燥などの影響を受けて、強くなったり弱くなったりしています。感情やストレスなどは、ホルモンの調子を左右しますし、食生活や職場環境なども肌のエネルギー源に影響します。 化粧品に於いて、最も大切なコトは、この肌バリア成分を壊さないコトです。 昔の化粧品の概念では、「しっかり奪って、しっかり補給」でした。 しかし、今は、洗顔コソが美肌の第一歩なのです。 肌バリアを根こそぎ奪う、クレンジングや洗顔フォームを選んでいると、どんなに高い美粧液を使っていても限界があります。何よりも、高くついて仕方がない(苦笑)。最近では、大人のニキビの原因も、洗顔時の脱脂が原因と言われています。 「まず、奪うな!」 これが美肌の第一歩です。 また、肌の中の(表皮)有棘層には、ランゲルハンス細胞がいて、それが肌の中にある最初の免疫系の細胞になります。当然、肌バリア近くにいますから、肌バリアが壊れると刺激を受けますし、丈夫だと刺激を感じません。角層の下、顆粒層の下にいるランゲルハンス細胞を刺激しないコトが痒みやかぶれの防止の第一歩なんですよね。 冒頭で書きました「患者の遺伝子の個人差を血液1滴、30分で診断する方法」は医薬品の効果やアルコール耐性の確認は出来ても、化粧品の相性判断としては使えなさそうですね(汗) 防腐剤の使用数 アメリカの厚生労働省みたいな機関にFDAと言うトコがあります。アメリカの機関なので、日本に影響はないように思いがちですが、全くもってそうではありません!実は、化粧品の新しい原料名を日本の化粧品工業会に登録しようとする時に、INCI名を先に取得しなくてはいけません。INCI名とは、国際的に共通して使用される化粧品原料名前です。そのINCI名がなくては、今は、日本の化粧品工業会に新しい化粧品の名前を登録できないのです。そのINCI名を登録する先がこのFDAです。 さてさて、今回は、そんな話ではありません。防腐剤の話です。 そのFDAがアメリカの商品を調査した結果を下記の図に示します。 横軸は「年」を、縦軸はその防腐成分を含有した化粧品の種類数を示します。 上グラフを見て頂けると分かると思いますが、メチルパラベンの使用が他のモノよりも遥かに多いコトが分かります。実際、それだけの実績と安全性のある防腐剤なのです。 さて、メチルパラベンがあると、他のモノが見えないので、メチルパラベンを除外して同じグラフを作ったのが、下グラフです。 下のグラフを見ると、ブチルパラベンの使用が上がっているのが分かると思います。実際、クリームなどのオイル成分の多い処方には、メチルパラベンよりもブチルパラベンの方が防腐を獲得しやすいのです。しかし、ブチルパラベンは「環境ホルモンではないと言い切れない」という微妙な存在です(メチルパラベンは「シロ」と判明しています)。 次に、フェノキシエタノールが伸び上がっていますね。上グラフでブチルパラベン、フェノキシエタノールの伸び上がる1990~2000年に掛けて、若干メチルパラベンが下がってしますが、これはフェノキシエタノールへの移行があったと思われます。 また、日本では配合を禁止されているホルムアルデヒドはアメリカではOKです。しかし、年々その数は減っています。 驚いたのは、フェニル酢酸水銀なんてのを配合した化粧品が少数と言えど未だにアメリカでは存在しているのですね(汗) 今、日本に限らず、パラベンフリー処方の流れがあります。この上グラフからパラベンが右肩下がりになる時代は・・・いつかなぁ。 香料とフレバーについて 「香料」という言葉はよく耳にされるのではないでしょうか。それと、同様の意味を持ちながらその違いが今一分かりにくい言葉に「フレバー」という言葉があります。「香料」と「フレバー」ってどう違うのでしょうか? 「香料」も「フレバー」も共に、匂いを付ける為の原料です。 「香料」は、主に化粧品などに使用される匂い原料で、その規格は日本薬事法に準じます。しかし、実際には、薬事法で香料に関して述べられている部分は非常に少ないのが現実です。そこで、香料に関しては、香料業界が自主的に設けた規格であるIFRA(イフラ)に準じて規格がされます。 IFRAについては、以前にも「香料/精油のこぼれ話」としてちょっと触れました。 香料の規格は大きく3つに分類されます。 1)肌への塗り切りの場合の塗布濃度の上限 2)洗い流す商品への配合上限 3)直接肌に付けない場合の配合上限 例えば、柑橘系の精油の場合、1)肌への塗り切りの場合の塗布濃度の上限の場合は、光毒性物質であるフロクマリン濃度は非常に厳しい濃度に設定されます。しかし、2)洗い流す商品への配合上限の場合は、もう少し緩和な値になります。 しかし、実際に化粧品原料として精油や香料を用いる場合、薬事法より厳しいIFRAよりも更に厳しい規格に合わせます。 「香料業界の自主基準のIFRAよりも厳しい規格とは!」 それは、「化粧品メーカー規格」です。そう、各化粧品がメーカーが独自の規格を持っていて、その規格は各メーカーで異なるのですが、いずれにしてもIFRAより厳しい規格なのです。 そんな中、1つの基準として「資生堂」の規格に準じる、といった場合が多いようです。 しかし、実は、「化粧品メーカー規格」でも資生堂の規格は甘い方だそうです。ポーラさんなどはある種の天然系の精油は採用しない!なんてコトにもなってるらしいです。地域や天候、土壌のや農薬の影響を受けやすい天然系の精油よりも精製度の高い合成系の香料の方が安全だ!と、言う考えなのでしょう(単にわたしの推測ですが)。でも、その考えは正しいかもしれません。 実際に、植物由来のグリセリンがいいと思っているのは化粧品業界で、医薬品では合成系のグリセリンの方が不純物がなくて安全だ!と、言う考えを持っています。 さてさて、続きにいきましょう。 一方、「フレバー」はどうなのでしょうか? フレバーは、食品に使われる匂い付け原料を言います。ですから、規格は薬事法でなくて「商品衛生法」になります。フレバーは食べてしまいますから、食品としての規格になるのですね。 また、柑橘系の精油に含まれる光毒性物質のフロクマリンは除去されません。そりゃそうでしょう。食べてしまえば、胃の中には光は届きませんからね(笑) フレバーと香料の違いはそれだけではありません。基本的に香料は加工されていない匂い原料です。ですから配合は微量になります。0.001〜0.9%以下が通常でしょう。 しかし、フレバーは匂い原料を更に加工しているのが普通です。例えば、粉体に吸着させたりしています。ですから、数%配合になります。つまり、フレバーは香料の10倍量配合されるのが通常です。 概ね、香料とフレバーの違い、分かって頂けたでしょうか。 |